
HORIBAは、試験機関に認められた独自の計測技術で確実なEuro 7対応をサポートします。
2022年11月に欧州委員会より立案されたEuro 7案では、排ガス認証試験法を、ラボからRDE(Real Driving Emission、実路試験)へ変更することが提案されていました。しかし、2024年5月8日に採択されたEU Regulation 2024/1257では、Euro 6同様にラボとRDE両方の排ガス試験を行う必要があるものの、LDVに関しては新たな規制成分が設けられておらず、委員会初期案から緩和されることになりました。実路排ガス試験では、車載型計測装置が持つ「不確からしさ(計測精度)」や環境変化に対する「ロバスト性」が、試験結果に大きく影響を与えます。計測器に要求されているドリフト要件を満たすことが出来ず、試験そのものが無効になってしまうことで試験のやり直しが発生することもあります。
HDVでは、ラボとRDE両方で規制値が強化され、新たな規制成分が追加される予定です。必要に応じて低濃度分析計や新たな成分の計測器の導入をすることや、より複雑な条件を検討したうえで「適切な開発目標値」を設定する必要が出てきます。
一方で、多岐にわたる自動車開発が進む中で業務の効率化も求められており、「手戻りの低減」も必要となってきます。
HORIBAは長年の排ガス事業で培ったノウハウを活かし、お客様の課題を解決し支える幅広いソリューションを提供します。本項では、このソリューションを支えているキーテクノロジー“IRLAMTM”、“Intelligent Lab”についてご紹介します。
IRLAM技術とは、HORIBAが独自に開発した次世代赤外分析技術です。従来の赤外ガス分析技術では感度不足や干渉影響などによって計測が難しかったガスについても、リアルタイムでの計測を実現しています。
また、温度や湿度、振動、圧力といった外部環境に対するロバスト性が向上し、実路での計測バラつきを抑えることが出来ています。さらにNH3(アンモニア)やHCHO(ホルムアルデヒド)といった計測が難しいとされる成分も高精度な計測を実現しています。
既にこの技術を使った車載型計測装置や定置型計測装置を販売しており、 現在 Euro 7で規制されるCO, CO2, NO, NO2, NH3, N2O, HCHO, CH4(THC)を計測する新たな可搬型排ガス計測システムを開発しています。(計測原理はQCL-IRを採用)
実際に、欧州委員会の共同研究センター(JRC:Joint Research Centre)にて試作機を評価いただいた結果、車載可能なコンパクトな計測器であるにも関わらず、従来の定置型装置と同等の性能を示し、他社の装置と比べてばらつきが小さく、場合によっては検出限界もさらに優れている、と高評価いただきました。
In general, the “alternative” techniques (i.e., IRLAM and FTIR) demonstrated equivalent performance with the standard techniques of the laboratory grade analyzers. In particular, the IRLAM, even though a portable system, had small differences from the means of the rest instrument and in some cases an even better limit of detection. Victor Valverde 1 , Yosuke Kondo 2 , Yoshinori Otsuki 2 , Torsten Krenz 3, Anastasios Melas 1, Ricardo Suarez-Bertoa 1 and Barouch Giechaskiel 1,* |
ハードウェア・ソフトウェアとともに、長年の排出ガス計測で培ったノウハウを結集させたIRLAMは、Euro 7のエミッション計測においてキーテクノロジーとして機能します。
※1 IRLAMは、株式会社堀場製作所の日本およびその他の国における登録商標または商標です。
RDEでの規制値に対応するためには、より複雑な条件を検討し「適切な開発目標値」を設定するとともに、網羅的な検証が必要になります。これまで以上に厳しい開発目標値に対してスピーディーかつロバスト性のある開発を実現するためには、ラボ試験の段階からRDEで起こりうるホットスポット(急所)を見つけ出すことが重要です。また、抽出したワーストケースに対する改善だけでなく、改善後に他のワーストケースが発生していないかの検証が改めて必要となります。
Intelligent Labは、複雑化が進む車両開発においてシステム開発の課題を解決するMBDソリューションで、スピーディーかつ網羅的な検証を含めた開発に必須となるMBDを支援します。バーチャル走行環境の構築や、バーチャル環境と実機と連携した評価環境の構築だけでなく、長年培った計測技術を持つHORIBAだからこそモデルの作成・検証に関わる計測データを考慮した提案が可能です。
といった声にお応えする、
などを提供します。
Intelligent Labの詳細についてはお問い合わせください。
HORIBAは、Euro 7の適合に向け、新たに規制追加が検討されているSPN10(粒子径10nm 以上の固体粒子数)を含む各種ガス・粒子を、高精度に測定するラボ向けの設備をトータルで提供します。
HDV向けラボ設備
HDVのEuro 7の適合に向け、新たに規制追加が検討されている、NH3(アンモニア)、N2O(亜酸化窒素)、NMOG(非メタン有機ガス※2)、SPN10(粒子径10nm 以上の固体粒子数)を含む各種ガス・粒子を、高精度に測定するラボ向けの設備をトータルで提案します。NH3やPNは吸着性や流路上の損失が発生する特性を持ちます。HORIBAは、認証試験で起こりうる排出量を、開発時に正しく計測することが重要だと考え、Direct測定が可能な設備をラインアップしています。RDEと同様な演算手法であるダイレクトモーダルにも対応したテストオートメーションシステムも提供します。また、計測法や計測器の差をしっかりと把握いただける、従来の認証試験手法であるDilute測定に対応した計測システムも提供します。
※2 非メタン有機ガスの欧州における定義は、含酸素HCと非含酸素HCの和からメタンを引いたもの、計算式については検討中
Euro 7では、実路走行時の排出ガス(RDE)にも焦点が当てられます。HORIBAは、従来規制に対応したPEMS(車載型排出ガス計測システム)であるOBS-ONE GS/PM/PNに加え、Euro 7の動向に応じて、2021年にはNH3/N2Oに対応したOBS-ONE IRLAMを、2022年にはSPN10に対応したOBS-ONE SPN10をリリースしました。
また、HORIBAが独自に開発したIRLAMTMを採用し、温度や湿度、振動、圧力といった外部環境に対するロバスト性が非常に高い新たな可搬型分析計を、2024年にリリースします。新型分析計は、CO、CO2、NO、NO2、NH3、N2O、HCHO、CH4計にIRLAMを採用、さらにTHC測定用のFID計も搭載しています。
→IRLAMの詳細はこちら:RDEに最適な非常に高いロバスト性を誇る 新技術 “IRLAM”
これからもRDE用の排出ガス計測システムはHORIBAにお任せください。
Euro 7では、低温でのBEV・PEVの全電気航続距離の試験を追加することが検討されています。
STARS Automation は、車両、エンジン、パワートレイン、Eモーター、ブレーキ、コンポーネント試験など、幅広いタイプの試験に応じた各種試験の制御・演算・帳票出力を自動化し、試験の効率化・省人化をサポートします。
自動運転システム ADS EVOは、シャシダイナモメータ上の走行試験を自動化する装置で、ドライバーの負荷を減らし試験の再現性を担保することが出来ます。-40℃~80℃の環境試験に対応し※3、ペダルの操作だけではなく、エアコンやACC※4といった各種ボタンの操作も可能なため、従来のエミッション試験だけでなく、電動化や耐久期間の増加により長時間化した走行試験の自動化・省人化を実現します。
※3 環境仕様の場合
※4 ACC:Adaptive Cruise Control
HORIBAは、より効率的なラボ・実路でのEuro 7開発を支援するエンジニアリング・試験サービスを提供します。
カーボンニュートラルな社会の実現に向けて、自動車業界を取り巻く環境とお客様のチャレンジは多様化しています。しかし、実際の現場はヒト・モノ・時間の配分が難しく、問題の事後対応や、増殖するチェックリスト、運用・管理の手間に対応する必要もあります。HORIBAは、お客様のチャレンジに寄り添うために、進化×深化を続けています。