原水槽のpH管理 -機械工場での事例-

pH測定の目的と課題

原水槽にてpH測定をする目的は大きく2つあります。1つ目は異常の検知です。原水槽でpH測定をすれば、工場で発生している異常を早期に検知し、迅速な対応が可能です。例えば、通常のpH指示値から大きな変動があった場合、排水に有害な物質が混入している可能性があるので、早急な調査が必要です。2つ目は中和処理の制御です。多くの排水処理プロセスでは中和槽にて適正なpH範囲になるよう調整をしています。原水槽でのpH測定値をもとに薬品の添加量を自動調整するといった適切な中和処理の制御が可能です。
原水槽は処理工程の最初の段階のため、連続測定をしようとすると有機化合物や微生物によるpH応答ガラスの汚れや、比較電極液絡部の目詰まりが発生しやすいです。安定して正確な測定を行うためには、定期的な洗浄や校正が必要であり、作業者への負荷や安全上のリスクがあることが課題といえます。

 

機械工場の原水槽での実証実験

ある機械工場の有機系排水の処理設備は24時間稼働しており、原水槽にて流入水を測定するpH電極の汚れが激しく、1日に3回作業者によるふき取り洗浄を行っていました。この現場で工業用無補充式セルフクリーニングpH電極を用いて、実証実験を行いました。
a)の従来電極は、ガラス部が全体的に汚れで覆われており、標準液に浸漬してもわずかしか応答しませんでした。一方でb)のセルフクリーニングpH電極は、ガラス表面および液絡部周辺が清浄に保たれており、標準液に対して遅延なく応答しました。その際、標準液6.86における指示値は6.83を示し、差はわずか0.03でした。また標準液4.01および9.18間の感度は96.0%、標準液6.86と4.01間の感度は97.5%を維持しました。この実証実験により、試験期間中にメンテナンスを行わなくても、設備の運用に必要な精度でpH測定が可能であることが確認されました。

 

写真1:43日間連続測定したあとの電極の状況

a)従来の電極
b)工業用無補充式セルフクリーニングpH電極

出典:分析化学 工業用無補充式セルフクリーニングpH電極の製品開発 西尾 友志,室賀 樹興,髙味 拓永,橋本 忠範,石原 篤著 
日本分析化学会 Vol.73, No.4・5, pp.171-183(2024)

まとめ

原水槽にてpH測定をすることで異常検知や中和処理の制御が可能ですが、連続測定時は定期的な有機汚れの洗浄や校正などメンテナンス作業の負荷が高くなることがあります。光触媒効果を利用した自己洗浄機能を有するセルフクリーニングpH電極は有機汚れを分解し、正確で安定したpHの連続測定を実現します。

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