フッ酸排水処理プロセスにおけるカルシウムイオン濃度の連続測定

排水のフッ素除去プロセスにおける課題

フッ酸は半導体や電子部品の製造に広く利用されており、その製造過程で発生する工場排水にも多く含まれています。フッ酸に含まれるフッ素は有用な用途を持つ一方で過剰に摂取すると人体への有害性があるため、環境省は排水中に含まれるフッ素濃度に基準値を定めています。
フッ酸排水の処理方法の一つに、消石灰などのカルシウム系薬品を注入し、不溶性の沈殿物であるフッ化カルシウムとして沈殿させる凝集沈殿法があります。凝集沈殿法では、薬品の注入量を固定して処理されることが多い一方、排水中のフッ素濃度は製造工程やその中で使用される薬品の種類・濃度などにより変動するため、薬品の量が不足したり、逆に過剰に注入される可能性があります。また、フッ素を確実に処理するためにカルシウム系薬品を過剰注入すると、スケールの付着による処理効率の低下や設備への負荷増大、さらには運用コストの増加を招く可能性がある点が課題です。


 

これらの課題に対する解決策として、カルシウムイオン計を用いた連続測定が有効です。
フッ化物イオン濃度だけでなく、カルシウムイオン濃度を測定することで、
・適切な薬品注入ができているかを確認できる
・薬品の過不足を早期に把握し、処理のばらつきを抑えて安定運転につなげられる
といったメリットがあります。

薬品使用量の最適化に貢献する計測ソリューション

カルシウム系薬品の注入量を適切に管理するためには、前段の調整槽でフッ化物イオン濃度をモニタリングすることが不可欠です。さらに、後段の沈殿槽でカルシウムイオン濃度をモニタリングすることで、カルシウム系薬品の注入量が妥当であったかを確認することができます。
このようにフッ化物イオン濃度だけでなく、カルシウムイオン濃度を連続測定することで、排水の処理状況を適切に把握でき、無駄のない薬品注入が可能になります。その結果、ランニングコストの削減や、環境負荷の低減が期待できます。
HORIBAのカルシウムイオン計は、イオン電極法を採用し、カルシウムイオン濃度の安定したモニタリングが可能です。

 

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 半導体工場のフッ酸排水処理プロセスで、カルシウムイオン濃度を連続測定したデータをご紹介します。詳しくは下記の資料からご確認ください。

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