脱窒槽とは排水中の硝酸態窒素を微生物の働きで窒素ガスに変換し除去するための槽で、排水処理において重要な役割を果たしています。脱窒槽での水質測定項目としてはpH、ORP、溶存酸素、アンモニア態窒素、硝酸態窒素等があげられます。その中でもpHを適切に保つことは微生物の働きを活発にするため非常に重要です。微生物は最適なpH下では高い処理効率を発揮する一方、微生物代謝の進行や不適切な曝気によりpHが変化すると処理効率が低下します。pHが変化した際には適切な処置(中和剤添加、曝気量調整など)が必要です。脱窒槽でのpH測定では電極に有機物による汚れが付着することが多く、指示値のずれを防ぐために頻繁なメンテナンスが必要となるケースがあります。そのような場合、現場作業に要する工数はとても大きく、継続的な水処理プラントの運営のための課題の1つといえます。
図1︓工業用無補充式セルフクリーニングpH電極の原理
有機物による汚れが測定に影響を与える場合、安定した連続測定のためには有機汚れに強い電極が適切です。HORIBAの工業用無補充式セルフクリーニングpH電極は、pH応答ガラス膜を多孔質TiO₂でコーティングし、電極内部からUV光を照射しています。それにより活性化したTiO₂が持つ光誘起親水性の効果により、表面に水の膜(親水層)ができることで有機汚れの付着を防止します。また活性化したTiO₂はH₂OやO₂をラジカル化し、電極外部に付着した有機汚れを分解します。
ある半導体工場の有機排水処理プロセスでは脱窒槽にてpHの連続測定をしていますが、有機物の影響で電極の汚れがひどく、1週間に洗浄を2回、校正1回の計3回メンテナンスを実施していました。同現場にて従来電極とセルフクリーニングpH電極を用いてメンテナンスにかかる工数を削減できるか実装評価を行いました。
■ 防汚性
設置後、セルフクリーニングpH電極の汚れの付着具合を定期的に目視で確認しました。確認後はpH電極を清掃することなく再度排水槽に設置し、汚れ影響の確認を継続しました。設置から1か月経過しても汚れの付着は見られませんでした。
■ 計測値比較
既設pH計とのトレンド比較をするため、両電極を用いて約1か月間の連続測定を実施しました。その結果が図2です。同設置箇所は数値変動が比較的見られない箇所ではありますが、少しの変動に対しても追従しています。ここから設置後1か月以上メンテナンスをしなくても計測値に影響をきたすような事象が発生していないことを確認できました。
■メンテナンス頻度と費用対効果
従来電極では水とスポンジを用いた洗浄作業を週2回、酸洗浄を含めた校正作業を週1回の計3回実施していましたが、セルフクリーニングpH電極では月1回まで軽減しました。評価結果をもとに10年間のメンテナンスにかかる作業費をシミュレーションしたところ、セルフクリーニングpH電極では約90%削減が可能です。
有機排水処理プロセスの脱窒槽では、安定した連続測定のために有機汚れに強い電極が適しています。
光触媒効果を利用した自己洗浄機能を有するセルフクリーニングpH電極なら有機汚れを分解し、正確で安定した連続測定が可能です。メンテナンス周期が伸びることで現場での作業コスト削減を実現します。
本ページでご紹介した事例を資料にまとめております。下記よりダウンロードいただけます。


