JISでは、pHをどのように定義しているのか、紹介しましょう。
<JIS Z 8802-2011年確認> 抜粋
この規格でいうpHとは、次のpH目盛の定義に基づいて定められる量であって、厳密な意味での物理化学的な意義をもちません。
備考 特定の水溶液、たとえば濃度0.1mol/L以下、pHが3〜10の範囲にある緩衝液については、式(1)であらわされると考えられています。
同温度の2種類の水溶液XおよびSのそれぞれのpHを、pH(X)およびpH(S)であらわすと、それらのpHの差は、式(2)で定義されます。
ここに
EX:水溶液X中で、ガラス電極と比較電極とを組み合わせた電池の起電力
ES:水溶液S中で、ガラス電極と比較電極とを組み合わせた電池の起電力
R:ガス定数 8.3144J/℃・mol
T:絶対温度 t ℃+273.15
F:ファラデー定数 96485 C/mol
式(2)において、分子、分母の単位は等しく選ばなければなりません。mV単位であらわされた各温度における2.3026RT/Fの値を表1に示します。
温度℃ | 2.3026RT/F mV | 温度℃ | 2.3026RT/F mV |
---|---|---|---|
0 | 54.20 | 50 | 64.12 |
5 | 55.19 | 55 | 65.11 |
10 | 56.18 | 60 | 66.10 |
15 | 57.17 | 65 | 67.09 |
20 | 58.17 | 70 | 68.09 |
25 | 59.16 | 75 | 69.08 |
30 | 60.15 | 80 | 70.07 |
35 | 61.14 | 85 | 71.06 |
38 | 61.74 | 90 | 72.05 |
40 | 62.13 | 95 | 73.05 |
45 | 63.13 | 100 | 74.04 |
(数値をmVに換算して四捨五入した値を表示)
【引用文献】
Bates 「Determin of pH」 John Willy & Sons(1973)
式(2)の定義は、ある1種類の水溶液のpHを定めることによって、他のすべての水溶液のpHが定まることを意味しています。この基準として0.05mol/Lフタル酸塩水溶液を選び、このpHは15℃において4.000と定義します。
JIS Z8802をはじめとしたpHに関するJISや、法規・規格については「法規とpH計」のページにも紹介します。
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