1200℃燃焼酸化(無触媒)方式によるTOC(全有機体炭素)濃度のオンライン測定

 はじめに

TOC(Total Organic Carbon:全有機体炭素)とは、液体中の有機物の総量を炭素量として表すものです。有機物による汚染指標の一つであるとともに、さまざまな生産プロセスのコントロール指標でもあります。
日本の事業場からの排出水の場合、水質汚濁防止法においてBOD(Biochemical Oxygen Demand:生物化学的酸素要求量)やCOD(Chemical Oxygen Demand:化学的酸素要求量)などに対して排水基準が設定されています1)。しかしながら、BODやCODには「測定に時間を要する」「有機物の種類により値が異なる」「難分解性有機物の分析が困難」などの難点があります。そのため、BOD/COD測定の補完・代替手段としてのTOC測定に対する関心が高まっています。
プロセスコントロールの分野では、水道水の場合、水道法によりTOCは3 mg/L以下という水質基準が設定されています2)。製薬用水の場合、日本薬局方の参考情報において、「精製水」および「注射用水」のTOCの量はいずれも0.50 mg/L以下という規格限度値が設定されています3)。食品工場からの排出水の場合、製品の漏洩事故を迅速に検知する目的でTOC測定が行われています。また欧米では、火力発電所などで用いられる大型ボイラ復水の監視項目として、TOCの管理基準値が設定されています。この分野においては、より短時間での測定が求められるため、測定に1時間から数日を要するBODやCODよりも、1分から3分で測定可能なTOCの方が適しています。

このようにTOC測定のアプリケーションは多岐にわたるため、TOC計に求められる性能はさまざまです。例えば、製薬用水には塩分やSS(Suspended Solids:浮遊物質)分が含まれていないため、TOC測定を行う際の前処理は容易です。しかし、1 mg/L以下の低濃度域を高精度に測定できる性能が求められます。食品工場からの排出水には、油脂分・でんぷん・タンパク質・アルカリ性洗浄液などの難分解性有機物が含まれるため、前処理やTOC測定には困難が伴います。大型ボイラ復水の測定では、復水中のTOC値が上昇を始めた場合、一刻も早くボイラ設備の稼働を止めなければ、設備の重大なトラブルを引き起こすため、迅速にTOC測定を行うことが求められます。

弊社では、UV酸化導電率方式を採用した医薬製造用水向けTOC計「HT-110」に加え、弊社グループ会社であるHORIBA TOCADERO社(ドイツ)が開発した1200℃燃焼酸化(無触媒)方式TOC計「TOCADERO ONE」(図1)の販売も行っています。本報告では、TOCADERO ONEの測定原理、TOC測定の一般的な課題、TOCADERO ONEのコンセプトと特徴、SDGsへの貢献、アプリケーション例について紹介します。

図1 TOCADERO ONE

 TOC計の測定原理

図2に液体中炭素の形態別分類を示します4)。TC(Total Carbon:全炭素)とは、液体中のTOC(Total Organic Carbon:全有機体炭素)とIC(Inorganic Carbon:無機体炭素)の総量です。代表的なIC成分としては、二酸化炭素・炭酸・重炭酸塩・炭酸塩・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムなどがあります。TOCは、NPOC(Non-Purgeable Organic Carbon:不揮発性有機体炭素)とVOC/POC(Volatile/Purgeable Organic Carbon:揮発性有機体炭素)に分類されます。代表的なVOC/POC成分としては、クロロホルム・ベンゼン・塩化メチレンなどがあります。NPOCはさらに、DOC(Dissolved Organic Carbon:不揮発性溶存有機体炭素)とNDOC(Non-Dissolved Organic Carbon:不揮発性懸濁有機体炭素)に分類されます。代表的なDOC成分としては、フミン酸・芳香族アミン・脂肪酸・多糖類・砂糖・洗剤・アルコールなどがあります。また、代表的なNDOC成分としては、石油・PVC接着剤・樹脂などがあります。
全有機体炭素・無機体炭素ともに、酸化すると二酸化炭素に変換されるため、NDIR(Non Dispersive Infrared:非分散赤外吸収法)により測定が可能です。TCのうちTOCのみを選択的に酸化させる方法は存在しないため、TOCの測定方法としては、以下の3法が多用されています。

<TC法>
TOCとICを分離せず、すべて測定する方法です。ICを分離するための前処理を行わないため、迅速な測定が可能です。TOCだけでなくICも測定したい場合や、ICの量が非常に少ない場合に有用です。

<TC-IC法:TOC-differential法>
TCを測定した後にICも測定し、その差分を求める方法です。TC中のIC割合が少ない場合には有用ですが、測定を2回行うため、TC中のIC割合が大きい場合には測定誤差が大きくなります。

<NPOC法:TOC-direct法>
測定前の試料に酸を添加し、通気処理を行うと、ICは二酸化炭素に変換・遊離されます。この前処理を行ってから測定を行う方法です。通気処理を行う際にVOC/POCも遊離してしまうため、TC中のIC割合が大きい場合や、TC中のVOC/POC割合が少ない場合に有用です。

図2 液体中炭素の形態別分類

図2 液体中炭素の形態別分類

 さまざまな分解手法

表1にTOCの酸化分解手法を示します。有機物の酸化方法は、燃焼(乾式)酸化方式と湿式酸化方式に大別されます。分解手法により、適した測定レンジやアプリケーションは異なります。それぞれの概要を以下に示します。なお、TOCADERO ONEは1200℃燃焼酸化(無触媒)方式を採用しています。

<高温燃焼酸化(無触媒)>
1000℃以上に加熱された燃焼炉に試料を注入し、試料中の有機物を燃焼させることにより二酸化炭素に変換する方法です。検出器にはNDIR(Non-Dispersive Infrared Absorption:非分散形赤外線吸収方式)を使用します。高価な触媒を使用しなくても、十分な酸化力を得ることができます。

<燃焼触媒酸化>
650~1000℃に加熱された燃焼炉に試料を注入し、試料中の有機物を燃焼させることにより二酸化炭素に変換する方法です。燃焼時に触媒を使用することにより、酸化力を補います。検出器にはNDIRを使用します。

<二段階湿式酸化>
第一段階では、試料にアルカリ試薬を添加した後にオゾンを添加し、ヒドロキシラジカルを生成します。第二段階では、さらに酸試薬を添加することにより、最終的に有機物を酸化し、二酸化炭素に変換します。検出器にはNDIRを使用します。

<超臨界水酸化>
試料を375℃/22.1 MPaの超臨界状態にし、酸化剤を添加することにより二酸化炭素に変換します。検出器にはNDIRを使用します。

<湿式酸化方式>
試料にペルオキソ二硫酸アンモニウムを加え、UV照射を行うことで二酸化炭素に変換します。導電率センサを使用して測定します。

<UV酸化>
試料にUV照射を行い、二酸化炭素に変換します。導電率センサを使用して測定します。

 

表1 TOC計の酸化分解手法5)

種類酸化手法
高温燃焼酸化(無触媒)1000℃以上に加熱された燃焼炉に試料を注入し、試料中の有機物を燃焼させることにより、二酸化炭素に変換する方式。燃焼時に触媒は使用しない。
燃焼触媒酸化650~1000℃に加熱された燃焼炉に試料を注入し、試料中の有機物を燃焼させることにより、二酸化炭素に変換する方式。燃焼時に触媒を使用する。
二段階湿式酸化第一段階では試料にアルカリ試薬を添加した後にオゾンを添加し、ヒドロキシラジカルを生成する。第二段階ではさらに酸試薬を添加することにより、最終的に有機物を酸化し、二酸化炭素に変換する。
超臨界水酸化試料を 375℃/22.1 MPa の超臨界状態にし、酸化剤を添加することにより、二酸化炭素に変換する。
湿式酸化方式試料にペルオキソ二硫酸アンモニウムを加え、UV照射を行い、二酸化炭素に変換する。
UV酸化試料にUV照射を行い、二酸化炭素に変換する。

 分析が困難な試料

TOCを測定するにあたり、数多くの分解手法が存在しますが、すべての測定方法に共通する点は、「有機物を酸化」させて「二酸化炭素に変換」し、測定することです。しかし、アプリケーションによっては、以下のように酸化が困難な試料が存在するため、測定は容易ではありません。

<食品工場>
油脂分、でんぷん、タンパク質、糖類、アルカリ性洗浄液

<発電所>
潤滑油

<製紙工場>
ファイバー、黒液凝縮液、ドレッグス、トール油、ライムスラッジ、チップ

<鉄鋼工場>
ノルマルヘキサン抽出物質、酸洗排水

コラム - 「難分解性有機物」とは

有機物は、炭素などの原子と他の原子が主に共有結合により結合しており、有機物の酸化分解とは、熱などを用いて共有結合を切断し、炭素原子と酸素原子が結合して二酸化炭素に変化する反応です。結合を切る(開裂)ために必要なエネルギーを「結合エネルギー」といいますが、単結合よりも二重結合・三重結合のほうが結合エネルギーは高くなります。

(結合エネルギーの一例) 
C-C 348 kJ/mol            C-F 441 kJ/mol 
C=C 607 kJ/mol            C=O 724 kJ/mol 
C≡C 828 kJ/mol            C≡N 791 kJ/mol

難分解性有機物は、結合エネルギーが高く、酸化分解に必要な温度も高いと考えられます。難分解性有機物の酸化分解が不十分な場合、真値よりも低い測定結果となるだけでなく、試料の不完全燃焼により配管や検出器(NDIR)の汚れを招く可能性があります。

 TOCADERO ONEの開発コンセプト

上述のとおり、TOC測定にはさまざまなアプリケーションから多様な要求が寄せられます。TOCADERO ONEが採用する1200℃燃焼酸化・無触媒方式は、最も幅広いアプリケーションに対応可能な手法の一つであると考えられます。加えて、HORIBA TOCADERO社におけるアプリケーション事例の蓄積を活かし、下記の特徴を備えています。

  • トラブル発生の最小化
  • メンテナンスコストの最小化
  • 予防保全機能
  • 高いセキュリティ機能
  • Industry 4.0に適合可能な通信規格
  • コンパクトなサイズ
  • 試薬消費量を減らし環境に配慮
     

 TOCADERO ONEの測定フロー

TOCADERO ONEの内部構造は、図3のとおりです。本機は1200℃燃焼酸化方式を採用しており、触媒は使用していません。測定モードは、TC法・NPOC法のうち一方を選択します。ここでは、最も多用されているNPOC法の測定フローを示します。

  1. 試料が送液ポンプにより試料ベッセルに送られます。
  2. 3 wt%塩酸400 μL(アプリケーションにより異なります)が、酸注入ポンプにより試料ベッセルに送られます。
  3. 通気処理を行い、IC・VOC/POCが二酸化炭素に変換され、遊離します。
  4. 試料は複数回に分けて燃焼炉に送られ、試料中の有機物が燃焼されて二酸化炭素に変換されます。
  5. 燃焼後のガスはガスクーラーで冷却され、ガスフィルターでダスト・塩の粉・塩化水素ガスをろ過した後、NDIRに送られます。
  6. NDIRにて二酸化炭素濃度が測定されます。
図3 TOCADERO ONE の内部構造

図3 TOCADERO ONE の内部構造

 TOCADERO ONEの特長① 1200℃燃焼酸化方式 - 無触媒

TOCADERO ONEの最大の特長は、1200℃という高温で燃焼させる点にあります。高い燃焼温度により高い酸化能力を発揮することが可能ですが、1000℃を超えるような温度で燃焼させる場合には、燃焼炉の安全性や耐久性への配慮が必要となります。燃焼炉への負担を軽減するために燃焼温度を下げる場合、酸化力も低下してしまうため、酸化力を補う目的で白金触媒を使用せざるを得なくなります。TOCADERO ONEは高価な白金触媒を使用しないため、ランニングコストおよびメンテナンスコストの低減が可能となりました。

酸化力の高さは、0~20000 mg/Lという測定可能範囲に表れています。この測定範囲は、希釈機能を併用することにより、より高濃度のサンプルの測定も可能にしています。特に、フミン酸やフルボ酸などの腐植物質、リノール酸やドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリマーといった「酸化が困難なサンプル」に対しても、高い酸化分解力を発揮します。酸化力の低さに由来するフォールスネガティブ(偽陰性)の心配がありません。

1200℃という高い燃焼温度は、耐久性に優れたセラミック製燃焼炉の製造技術により実現されています。高温での連続運転により、アルカリ・アルカリ土類金属・酸蒸気の影響を受けて、セラミック製燃焼炉にはクラック(ひび割れ)が発生することがあります。しかし、TOCADERO ONEのセラミック製燃焼炉は、多くのアプリケーションにおいて3年以上の寿命が期待できます。ドイツには伝統的に工業用高温燃焼炉に関する高いノウハウがあり、数多くの世界的トップメーカーが存在します。TOCADERO ONEに用いられているセラミック製燃焼炉にも、ドイツの伝統的な技術が活かされています。

 TOCADERO ONEの特長② トラブルフリーのサンプリング

燃焼前に発生するトラブルに対しても配慮されています。SS(Suspended Solids:浮遊物質)を含む試料や粘度が高い試料を測定する場合、送液ラインや前処理チューブ内に汚れが付着し、次回の測定に影響を及ぼしたり、送液ラインが閉塞したりするなどのトラブルが発生する場合があります。

TOCADERO ONEは、送液ラインや試料ベッセルといった接液部の材質に、ホウケイ酸ガラスやフッ素樹脂といった不活性な素材を採用しています。これにより、吸着やメモリー影響(前回測定サンプルの影響)を可能な限り最小化しています。さらに、大口径の送液ラインやスマートサンプリング(図4:オプション)を採用し、パーティクルを含有する試料にも対応可能としています。加えて、3段式前処理オーバーフロー槽(図5:オプション)を備え、万全の体制を整えています。

図4 スマートサンプリング

図4 スマートサンプリング

図5 3段式前処理オーバーフロー槽

図5 3段式前処理オーバーフロー槽

 TOCADERO ONEの特長③ 短い測定時間

新開発の試料ベッセル(図6)により、試料の定量・酸注入・通気処理を、高い精度、最小限のサンプル量、最短の時間で行うことが可能となりました。高い酸化能力を有する燃焼炉や、吸着の影響に配慮した送液機構だけでなく、測定中の二酸化炭素によるコンタミネーションに配慮した気密性の高い送液機構との相乗効果により、NPOC法では最短測定時間3分、TC法では最短測定時間1分というスピードで、高精度な測定が可能となりました。

図6 試料ベッセル

 TOCADERO ONEの特長④ 業界最小クラスの試薬消費量

TC法の場合は試薬が不要ですが、NPOC法の場合は、燃焼前に酸性試薬を添加した後に通気処理を行う必要があります。新開発の試料ベッセルにより試料量を最小限に抑えられるため、酸性試薬である3 wt%塩酸は、1測定あたりわずか約400 μL(アプリケーションにより異なります)で前処理を行うことが可能となりました。

二段階湿式酸化方式の場合、8.8 wt%硫酸・4.8 wt%水酸化ナトリウム・オゾンなどの薬品が大量に必要となりますが、TOCADERO ONEの場合は、少量の試薬で測定が可能です。測定に使用した試薬はすべて廃液として排出されるため、試薬使用量を抑えることで環境への影響を最小限に抑えることが可能となりました。

 TOCADERO ONEの特長⑤ 予知保全機能

トラブルフリーな構造に加え、予知保全機能を提供することで、メンテナンスコストのさらなる低減を実現します。TOCADERO ONE内部には数多くのセンサが配置されており、リアルタイムでモニタリングを行っています(図7)。モニタリングの結果を評価し、予知保全情報を機器情報画面に表示します(図8)。

各装置・消耗品の状態に応じて「色(緑・オレンジ・赤)」が変化するため、装置の状態を瞬時に把握できます。メンテナンスの必要性やトラブルが発生した際には、画像を用いた分かりやすいナビゲーションにより、対応方法を説明します(図9)。不意のトラブルが発生した際にも、迅速な復旧が可能です。

図7 TOCADERO ONE 内部の各種センサ情報

図7 TOCADERO ONE 内部の各種センサ情報

図8 機器情報画面

図8 機器情報画面

図9 メンテナンス情報詳細画面

図9 メンテナンス情報詳細画面

 TOCADERO ONEの特長⑥ 使いやすさに配慮したインターフェース

TOCADERO ONEのインターフェースには、7インチのタッチパネルを採用しています(図10)。スマートフォンのようなナビゲーションにより、直感的な操作が可能です。トラブル情報やメンテナンス情報については、写真を用いたナビゲーションにより対応方法を案内します(図9)。

TOC計を運用する際の設定項目は、測定方法の選択だけでなく、繰り返し測定回数の設定や酸性試薬注入後のパージ時間設定など、多岐にわたります。しかし、TOCADERO ONEのナビゲーションに従うことで、経験の浅い運用担当者でも容易に設定・運用が可能です。

 TOCADERO ONEの特長⑦ Industry 4.0を推進するための通信規格

Industry 4.0(第4次産業革命)とは、2011年にドイツ連邦政府が掲げた「2020年に向けたハイテク戦略の実行計画」の一つです。日本においても、DX(Digital Transformation:デジタルトランスフォーメーション)やSociety 5.0(ソサエティ5.0)への取り組みが活発化しています。

TOCADERO ONEにおいても、予知保全機能によりOEE(Overall Equipment Effectiveness:設備総合効率)の改善やコスト削減に貢献するだけでなく、最新の通信規格に対応することで、企業内におけるシームレスなIndustry 4.0の推進に貢献できます。TOCADERO ONEに標準搭載されている通信規格はModbus TCP※1(図11)であり、アナログ電流出力および接点出力はオプションとなります。Ethernet※2をサポートすることで、工場内の情報系ネットワークとの接続が容易になり、測定現場やDCS(Distributed Control System:分散制御システム)まで足を運ばなくても、事務所からEthernet経由でアクセスすることが可能です。また、OPC UA※3にも対応しており、アクセシビリティに加え、セキュリティにも配慮したネットワーク構築が可能です。

※1 Modbus は Schneider Electric USA Inc の商標です
※2 Ethernet は日本における富士ゼロックス株式会社の商標です
※3 OPC UA は OPC Foundation の商標です

図10 校正履歴画面

図10 校正履歴画面

図11 Ethernet でのアクセス画面

図11 Ethernet でのアクセス画面

ここからは、アプリケーション別に課題と解決策を提示していきます。

 アプリケーション事例① 排水処理前段(原水)

(課題)
・難分解性有機物が多く、酸化が不十分な場合はフォールスネガティブ(偽陰性)が発生し、正確なトレンドを把握できません。
・汚れに起因する配管・燃焼炉・検出器のトラブルが多発し、多大なメンテナンス工数を要します。

(解決策)
・1200℃高温燃焼(無触媒)方式の高い酸化力により、難分解性有機物を完全に酸化することが可能です。
・不完全酸化が発生しないため、検出器の汚れも発生しません。
・ホウケイ酸ガラスや大口径テフロン製配管の採用により、接液部への汚れの吸着を防止します。
・曝気槽でのC/N比測定にも活用可能です。
 

 アプリケーション事例② 二酸化炭素回収・貯留

(課題)
・アミン吸収法に用いる吸収液(アミン)は、酸化や分解により二酸化炭素の吸収性能が低下します。
・TOC計によりアミン中の二酸化炭素濃度を測定する場合、アミン由来の炭素の影響を受ける可能性があります。

(解決策)
・TIC(全無機炭素)測定モード(海外仕様に限ります)により、アミン由来の炭素の影響を受けずに測定できます。
・高感度のNDIR検出器により、高精度な測定が可能です。
 

 アプリケーション事例③ 空港における排水モニタリング

(課題)
・冬季は除氷剤(エチレングリコール)を多用するため、濃度変化が激しくなります。
・潤滑油や「タイヤかす」など、難分解性有機物が多く含まれます。

(解決策)
・高い酸化力や大口径配管の採用により、トラブルの発生頻度を最小限に抑えます。
 

 アプリケーション事例④ 水蒸気改質による水素製造

(課題)
・復水に有機物などが混入すると、触媒の活性低下だけでなく、ボイラやタービンなどの金属部品の腐食も引き起こします。

(解決策)
・メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタンなどの原料由来の炭化水素だけでなく、イオン交換樹脂由来のポリスチレンスルホン酸も検出可能です。

 SDGs貢献をめざして

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の達成は、民間企業や私たち国民・個人が主体的に取り組むべき課題です。弊社は環境測定分野に携わる企業として、弊社製品を通じてSDGsの達成に寄与したいと強く願っています。
SDGs達成という観点からTOCADERO ONEを見ると、以下の特徴が挙げられます。

・水質汚濁防止法において排水基準が設定されているBODやCODよりも迅速な分析が可能であり、試薬消費量も大幅に少なくなります。
・マイクロプラスチックやマイクロポリュータントを包括的に検出可能です6)。
・メンテナンスコストを低減できます。
・軽量かつ省スペースです。

したがって、以下の目標6、14、15に対しては直接的に、また他の項目に関しても間接的に貢献できると考えています。

「6:安全な水とトイレを世界中に」
すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する

「14:海の豊かさを守ろう」
持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する

「15:陸の豊かさも守ろう」
陸域生態系の保護・回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化の阻止・回復および生物多様性の損失を阻止する

 今後の展望

「水質計測器には多大なメンテナンスコストが付き物である」というネガティブな印象を持っているユーザーは多くいます。TOCADERO ONEの開発コンセプトは「Next Generation Water Analytics(次世代の水質計測)」であり、弊社はTOCADERO ONEを通じて、このネガティブな印象を覆したいと考えています。
TOCADERO ONEは、ヨーロッパをはじめ世界中で数多くの納入実績があり、現場で得られた知見・経験を予知保全機能に反映させています。水質計測器で測定するサンプルに二つとして同じものはなく、アプリケーションによって課題はさまざまです。しかし、ユーザーとともに課題に立ち向かい、得られた知見・経験を他のユーザーやアプリケーションにも活用することで、「世界中のあらゆる水質を守る」という弊社のミッションを実現したいと心から願っています。
 

<参考文献>
1) 水質汚濁防止法第4条 : 環境省「昭和四十六年政令第百八十八号 水質汚濁防止法施行令」
2) 水道法第4条 : 厚生労働省「水質基準項目と基準値 (51項目)」
3) 厚生労働省「第十八改正日本薬局方」
4) 中上英一 2010。全有機体炭素計の紹介。かんぎきょう 106, 17-18
5) QuickTOCultra : Online TRUE TOC for every kind of water. Especially for the rough stuff.
6) Total organic carbon (TOC) : a simple tool for assessing micro (nano) plastics and nanocellulose recovery during size-based fractionation

 

2026年10月時点の内容です。
掲載内容について、改良のために仕様、外観等、予告なく変更することがあります。

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