携帯タイプの非接触式温度計 IT−540N 発売

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(株)堀場製作所は、物体から出る赤外線量を利用して表面温度を非接触で測定する携帯形非接触式温度計の新型(IT-540N)を開発。2本のレーザ光で測定個所が確認できる照準機能付では、業界一低価格の4万3千8百円。拡大する食品衛生管理用の需要を狙います。

標準価格:43,800円
販売開始:3月10日
販売目標台数:初年度1万台(次年度1.5万台)


非接触式温度計(放射温度計)は、離れた場所から非接触で測れる利点から、高圧変電設備の保守点検や電子部品のハンダ付け工程での異状発熱監視など、工業分野で幅広く使用されています。加えて近年、通常の温度計より10倍以上測定時間が早い放射温度計は、入出荷食材の全数検査が手間なくできるため、食品衛生管理分野での需要が増加しています。中でも、学校給食やコンビニ弁当の温度管理では、正確なうえ操作が簡単、照準機能付で測定個所が確認できしかも、個人や各店舗に一台毎で買える低価格製品が求められています。今回発売する製品は、これらニーズを満足します。また、冷凍食品に十分対応するよう上位機種同等の性能を持ちつつ、最低測定温度を−50℃に広げた(当社旧タイプは−30℃)新センサを採用しました。なお、IT-540Nの他に、照準機能を省いた廉価版のE型と、直径2.5mmと微小部測定タイプのS型も、同時に発売します。

〈 主 な 特 長 〉

  1. 業界一低価格→43,800円
    一人1台のパーソナルユースの放射温度計。
  2. ワイドになった測定範囲(−50〜500℃)
    低温域も高精度測定の新センサ採用。
  3. 衛生的ですぐに表面温度がわかる
    測定物に触れずに1.5秒で結果表示。
    レーザ光2本の照準機能で測定個所を確認。
  4. 廉価版と高機能機種も同時発売
    同性能で照準機能を省いた廉価版のE型(3.28万円)と、微小部の測定に適したS型(5.8万円)も同時発売。


〈 主 な 仕 様 〉
測定範囲:−50℃〜500℃
表示分解能:1℃
最小測定視野:直径40/500mm(=50cmの距離で直径4cmの円内の平均値を測定)
外形寸法:170×40×36mm
質  量:約140g


参考資料

  • 非接触式(放射)温度計とは
    ほとんどの物体からは、赤外線が放射されており温度が高いほど多い量が出ています。通常の温度計は、物体とセンサを接触し熱伝導から温度を求めるのに対して、放射温度計は赤外線の量を赤外センサ(サーモパイル)で検出し温度として表します。測定原理・構造上、測定物に何も接触しないので衛生的でしかも離れた場所から瞬時に測定できるという利点があります。また、センサが触れないため摩耗する個所がなく、モータなど回転する物の測定にも適します。
     
  • 放射温度計の需要
    食品業界では…
    食品分野では今まで以上に、製造工程だけでなく商品の保存状態までを厳しく管理されています。食品分野にはその特徴から放射温度計での温度測定が適しており、より低価格製品が望まれています。今回の新製品は、照準機能付で業界一低価格でしかも−50℃からと低温測定にも適応し、測定もボタンを押すだけと簡単操作です。
     
    • メンテナンス業界では…
      通常高い場所にある電機設備や配電盤などの保守点検においては、地上からでも測定できる放射温度計が適しています。2本の赤色レーザ光で測定している円状の外周を示す照準(ポイントマーカ)機能により、測定個所が確認しやすい本新製品は、このようなシーンで威力を発揮します。また、性能はそのままにポイントマーカ機能のみ省いた廉価版のIT−540Eは、3万2,800円です。
    • 電子材料やプリント基盤では…
      プリント基盤への電子部品の装着にハンダが使われますが、異状発熱により電子部品が損傷する恐れがあるので品質管理面から温度監視はかかせません。放射温度計でまず高速測定し異状温度を発見してから詳しく測定すれば時間短縮になり、管理効率が向上します。電子部品のような微小部分測定には、最小測定視野2.5mmで測定場所を円状の光で示すスポットマーカ付のIT−540S(5万8,000円)が適しています。
       
  • 業界一低価格が実現した訳
    原理上放射温度計は瞬時に測れますが、急激な周囲温度変化がある場合、表示温度にバラツキ(熱アンバランス)が生じます。設立当初より赤外線技術をもつ当社の放射温度計は、以前の製品からこのバラツキを最小限に抑えるよう専用のセンサを搭載しており、安定性・信頼性では一番との評価をいただいています。当社の上位機種と同等の安定性(性能)を保ったうえで、量産可能な新構造の新センサを開発したことを主にコストダウンをはかり、照準機能付では業界一の低価格を実現しました。
     
  • 開発者からの一言
    上記にあるように、従来のセンサ部(サーモパイル)の構造を量産に適した構造に一新し、かつ従来の熱バランス重視のノウハウを活かした新センサの開発に一番苦労しました。つまり、量産形放射温度計を業界で初めて開発し、また自動車排ガス測定装置に代表されるように、世界的に信頼を得ている赤外線を応用した製品の性能を維持したうえでのコストダウンに気を使いました。