[報道発表] 掲載内容は発表日時点の情報です。

成分分析もできるPM2.5モニターを開発

2014年8月29日


 


PM2.5自動成分分析装置

大気汚染の原因を解明する研究に貢献

当社は、微小粒子状物質(PM2.5)の質量濃度(マイクログラム/㎥)と含有元素を同時に測れる「PM2.5自動成分分析装置」の開発に成功しました。本装置は既存のPM2.5測定装置(*1)に蛍光X線分析機能を搭載することで、連続して質量濃度測定と成分分析ができます。当社の環境計測技術(PM2.5測定)と科学分析技術(成分分析)を融合し、PM2.5などの大気汚染問題の解決に向け、実用的な観測データを提供します。今後は、PM2.5の成分情報も監視できる大気監視システムの構築に役立てられると期待され、またPM2.5の発生メカニズムの解明や人への健康影響など多様な研究の一助になればと願っています。

PM2.5における成分分析の必要性

中国をはじめとしたアジア諸国では、産業の発展に伴う様々な環境汚染に直面しています。近年注目されているPM2.5などの大気汚染問題は、国境を越えた広域的な問題であることから、アジア諸国の共通課題として認識されており、政府間で協力体制の強化が図られています。そのためには、PM2.5の効果的な対策を行うためには、質量濃度だけなく、PM2.5は何を含んでいるか、どんな発生メカニズムかを解析することが重要になってきました。
当社は、自動車・環境・科学・半導体・医用と様々な分野向けの分析計測機器を開発しています。このたび、科学分野の分析技術(蛍光X線分析)を環境分野のPM2.5測定装置に応用することで、PM2.5の質量濃度測定に加え、元素分析も可能となる「PM2.5自動成分分析装置」の開発に成功しました。本装置を通して、新たな大気汚染監視システムの構築や発生源の解明に向けた研究の発展に貢献できると期待しています。

質量濃度と成分分析を可能にする独自技術

PM2.5の一般的な測定原理は、大気中の粒子から分粒器を使用して2.5マイクロメートル以下の粒子を取り出しフィルターに捕集します。そのフィルターに放射線の一種のベータ線を照射すると、捕集された量に比例してベータ線が吸収される原理を用いて、重量が求められます。
また、PM2.5を高精度に測定を行うために専用フィルター(*2)を開発しました。これにより、PM2.5の低濃度質量測定に加えて、蛍光X線分析装置を使って、PM2.5の成分で人の健康に悪影響を与えるとされる重金属などを分析することができます。
このたび開発した本装置では、工業製品の品質検査向けに提供する業界最小の有害元素分析用蛍光X線分析装置で培った分析計の小型化技術を応用することで、既存のPM2.5測定装置の大きさをほぼ変えることなく装置化に成功しました。環境計測技術と科学分析技術といった異なる分野の独自技術を融合させることで、アジア広域で展開される地球環境保全に向けた動きに対応します。今年中に観測地でデモ機の検証を進めるなど、製品化にむけた改良を進めます。

PM2.5自動成分分析装置の特長

  1. 1台で質量濃度と元素濃度の測定が可能
    当社独自の小型分析計析装置の分析部を応用し、19インチサイズに搭載したコンパクト設計。 既存の大気監視システムへの導入により、発生源プロファイルとその寄与を解析可能。
  2. 質量濃度技術と蛍光X線分析技術を統合
    大気中PM2.5成分測定マニュアル(環境省)に記載されている蛍光X線分析法と等価性評価試験(環境省)で評価された装置に搭載されているβ線吸収方式を採用。
  3. 特許技術の独自フィルターで、低濃度かつ高精度な元素分析を実現
    化学的バックグランドが極めて低いため、蛍光X線分析をはじめとした分析に最適。

用語解説

(*1)既存のPM2.5測定装置
2010年に発売した大気汚染監視用微小粒子状物質(PM2.5) 濃度測定装置。測定原理にβ線吸収法を採用し、捕集したPM2.5の質量濃度を1時間ごとに自動測定する。この装置は、環境省の等価性測定装置として評価され、中国の環境保護部の認証も取得している。
なお、PM2.5とは大気中に浮遊する粒子状物質のうちでも特に粒径の小さいもので、呼吸器の奥深くまで入り込みやすいことなどから、人への健康影響が懸念されている。

(*2)専用フィルター
特許を取得している専用フィルターは、一般的に使用されているガラス繊維フィルターやPTFEフィルターとは異なり、PTFEと不織布の2層構造にすることでフィルター強度と化学的バックグランドを実現。そのため、蛍光X線元素分析に適した特性を持つ。