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X線の目で品質管理/見たいところをすぐ分析 X線分析顕微鏡「XGT‐5000」開発

2002年8月30日


当社は、X線を通して元素分布像と透過画像を得られる、X線分析顕微鏡の新型「XGT−5000」を開発、9月より受注を開始します。研究開発用途に加え、品質管理や現場測定にも適するよう、従来よりX線の信号強度を強化し、測定時間を最大で50分の1に短縮しました。また、光学系の改良により、全体像から微小部まで自由自在に拡大観察しながら測定位置を設定でき、一目で簡単に的確・迅速な分析が可能です。測定速度と使い勝手の大幅な向上により、従来まで難しかったX線の目を通した品質管理や現場測定が可能になります。

<人間の目とX線の目>
X線分析顕微鏡は、「観察機能(人間の目)」と「分析機能(X線の目)」を融合させた装置で、人間の目で見たままの画像で試料を観察しながら、X線をあてることで元素分布像と透過画像を同時に得られるのが大きな特徴です。電子顕微鏡と違い、大気中で特別な処理なく非破壊で観察・分析できるため、材料分析の他、生体や遺跡出土品の分析、偽造パスポートのチェック等、幅広い分野で利用されています。
本製品は、このX線分析顕微鏡の「観察機能(人間の目)」と「分析機能(X線の目)」を大幅に強化したもので、研究開発用途に加え、品質管理や現場測定で活躍します。

<X線の目−分析機能の強化>
本製品では、X線導管を通して10μm(=100分の1㎜)まで細く絞ったX線ビームを試料にあてることで、10μmからの微小観察・分析が可能です。このときX線を細く絞るほど、絞り込まれるX線の量は少なくなり信号強度は弱まっていきます。そのため従来のX線分析顕微鏡では、試料によっては測定に数日かかってしまう場合がありました。
今回、X線信号強度を大幅にアップさせることで、測定時間を最大で従来の50分の1まで短縮することを可能にしました。

<人間の目−観察機能の強化>
X線分析の際は、試料を光学顕微鏡で観察してから測定する点を決め、そこにX線ビームをあてています。本製品は、試料の全体像を観察する光学顕微鏡(全体像CCD)と、拡大用の光学顕微鏡を採用したことで、試料の全体像を観察してから自由自在に拡大が可能で、見たい部分を的確・迅速に測定できるのが特徴です。また、拡大用の光学顕微鏡はX線と同軸に備えているため(同軸CCD)、測定位置の設定の際、凸凹の多い試料でも精度が向上しています。

<広がる用途>
品質管理や現場測定で重要になるのは、見たいものをすぐに分析できることです。本装置では光学顕微鏡で試料全体の大きさや色などを観察しながら、見たいところをすぐ拡大し、さらにピンポイントでX線をあてることで、試料の元素分布像や中の様子を透過画像で見ることができます。また、それぞれの画面やデータは相関性があるため、どんな試料のどの部分を分析したのか説得力のある検査報告が可能です。
X線分析顕微鏡を世界で初めて製品化した当社として、測定速度と使い勝手が大幅に向上した本製品を投入することにより、潜在市場は従来の5倍程度に広がるものと考えます。特にX線の目を通した品質管理や現場測定を成長著しいバイオ・IT関連市場に提案していく考えです。


<主な特徴>

  1. 測定時間を大幅短縮(従来比:最大で50分の1)
    従来1日の場合→30分で測定可能。
  2. 見たい場所をすぐ分析
    「全体像観察→100倍拡大像→10μm分析」/一連の操作がクリック3回で可能


<用途例>

  • 電子部品、食品、薬品等の異物分析や不良解析
  • 生体、バイオ試料の観察・分析
  • 鉱物資源や古美術の非破壊分析
  • 新素材、複合材料の開発 他


<予定価格>
1300万円〜2260万円

<販売目標台数>
初年度70台、次年度100台

<主な仕様>
測定対象:バイオ、IT、金属、セラミックス、新素材、高分子など
測定元素:Na(ナトリウム)〜U(ウラン)
最大分析領域:100×100mm
設置寸法:2110(W)×1000(D)×1370(H)mm
質量:約280kg

参考資料

<ご参考>

  • X線分析顕微鏡(測定原理)
    物質にX線を照射すると、物質の元素に固有のX線が放射される。このX線を蛍光X線という。また、物質を透過したX線を透過X線という。蛍光X線から試料表面の元素分析を行い、同時に試料を突き抜けた透過X線から試料内部の観察をする。
    蛍光X線は元素によって異なったエネルギーを持っており、その分布からどんな元素が含まれているか、また強度から元素の分量を知ることができる。
    1994年に当社が新技術事業団から開発委託を受けて、世界で初めて製品化に成功した。
  • 電子顕微鏡との違い
    電子顕微鏡は超微細部分の観察が可能だが、試料を真空に密閉する必要があり、導電性のある物質でないと観察できない。このため生体の分析には不向きなほか、石や鉱物など導電性のない物質を観察するには、試料に金やカーボンを蒸着させるなど前処理が必要。本製品は試料を非破壊で自然状態のままで観察・分析できる。
  • X線信号強度
    X線の信号強度とその検出器の性能は、測定時間や元素の検出限界濃度に大きく影響する。本製品では、X線導管を新たに設計し歪みを小さくする生産技術を確立、あわせて検出器も新設計したことで、測定時間は最大で50分の1と大幅な短縮を実現した。また、元素の検出限界濃度も最大で7倍改善され、分析性能自体も向上している。