社会の様々な変化のなかで、「はかる」技術で価値を築いてきたHORIBAの真骨頂が、いまこそ発揮される時代に

新しい中長期経営計画「MLMAP2023」を掲げた2019年。
それまで掲げていた目標の達成が現実的となり、前提としていた事業環境が大きく変わるなかで新たな目標を持つことは必然でした。
HORIBAが取り組まなければならない課題との乖離が生じていたからです。
ダイナミックに変化する世界において、お客様の「パートナー」として一緒に時代の荒波を乗り越えていくことで、HORIBAの存在価値を示していきます。

 

HORIBAの強みは、独自の技術と新しい発想を持った人財

21世紀も約20年を過ぎ、気候変動や資源・エネルギー問題、アジア圏における急速な経済成長と発展、5G時代の到来など、世界が揺れ動くなか、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に伴う混乱が新たに生じ、今、世の中はかつてないほどの激流の渦中にあると言ってよいでしょう。HORIBAのコア事業である自動車産業や半導体産業では、変化の影響を顕著に受けており、我々もこの変化に対応することが求められています。
しかし、HORIBAがこのような激動に強いことはこれまでの会社の歴史が示しています。なぜ強いか。それは本質を見極める力と、技術への誇りを持っているから、です。
創業以来、ひたむきに努力を重ね発展させてきた私たち独自の技術は、今やグローバルに認められるまでに至りました。世界に約50のグループ会社を持ち、グループの従業員約8,000名のおよそ6割が外国人という現状も、それを裏付ける事実の一つと言えるでしょう。
今のHORIBAへ至る過程で私たちが重視してきたのは、本質は何かを見極めることができる確かな眼を持ち、これまでの常識や前例にとらわれない、新しい発想で挑戦しつづける人財を育成することです。これが現在のHORIBAの大きな強みになっています。

 

サプライヤーから「パートナー」へ、よりお客様に寄り添った存在に

2019年12月期の売上高は2,002億円(前年比4.9%減)、営業利益は209億円(前年比27.5%減)と、過去最高だった2018年12月期からは減少しました。半導体市況による影響が非常に大きかったわけですが、そのなかで営業利益率10%を確保できたのは、これまで持続的成長を実現してきたHORIBAのバランス経営が、今回もうまく機能した結果だと考えています。
また、2019年には計画を2年前倒しして、2023年に売上高3,000億円をめざす中長期経営計画「MLMAP2023」を策定しました。
先に述べたような社会情勢の大きな変化に、私たちのお客様も、今後の方向性をどう見定めるべきか、難しい判断を迫られているように感じる場面が多々あります。今こそ、HORIBAの力が発揮されるときです。これまでは主として、「はかる」技術とその技術を活かした「製品」で貢献してきましたが、「MLMAP2023」では、HORIBAの製品によって得られるデータを解析し、新たなアプローチからお客様の課題解決に貢献する、データマネジメントの領域へのビジネスの拡大を進めています。つまり、これまで「サプライヤー」であったHORIBAが、お客様と一緒になってこの荒波を乗り越えていく「パートナー」になる、ということです。
「MLMAP2023」は、これからのHORIBAが向かう道筋を示すものであり、我々自身がここで大きく変わるための目標であり、よりどころになります。

 

さらなるグローバル化の鍵は「情報戦に勝つ」こと

市場も人財も、日本国内だけに目を向けていたのでは、成長はあり得ません。HORIBAでは既に多くのいわゆる「グローバル人財」が活躍していますが、そこで感じるのは日本と海外の教育の違いです。記憶力や知識量を重視しがちな日本とは違い、欧米はもちろん中国をはじめとするアジア諸国では、学生の独創的な発想を育てる教育に主眼が置かれています。何かに挑戦して失敗しても、その理由をきちんと分析することが意識されている。まさに、HORIBAが大事にしてきた「チャレンジの繰り返し」にふさわしい人財を育てる教育であると言えるでしょう。
HORIBAが積極的に海外企業を買収する理由の一つが、このような教育を受けた優秀な人財を得ること。新しい発想を大事にするHORIBAグループのなかでこそ、彼らの知見やアイデアをより活かすことができるのです。こうしたHORIBAの考え方は、いまグローバルに認識されつつあると感じています。それにより、一般的には難しいと言われることの多い日本企業による海外企業の買収において、HORIBAは、互いにメリットを得ることができる形で実現できているのだと考えます。
また、グローバル化に関してさらに思うことは、価値のある情報は国内にいるだけでは得られないという点です。社会のIT化が進み、伝達される情報の量・スピードともに圧倒的に増えているのですが、大事なことは、価値ある情報が何で、それがどこにあるのかを知ることです。そのためには、第三者からの情報ではなく自身の目と耳で、新しくかつ正確な情報を得ること、つまり「情報戦に勝つ」ことでしょう。情報を見極める眼力と感性を磨き、5年、10年先を見ていかなくてはならないと考えています。


「文化を持つ」企業であれ!

企業には「文化」が必要であると私は感じています。京都の企業は、二番煎じを嫌い、オリジナリティを重視する風潮が強い傾向にありますが、HORIBAも例に漏れません。差別化を図る、単なる「ブランド」とは少々趣を異にする、どちらかといえば「会社の品格」のようなものではないかと思います。海外買収において、相手側からすすんでHORIBAグループに加わることを希望される背景には、HORIBAのそうした「品格」の存在があると感じています。
この品格を具現化するのは、ほかならぬ従業員“ホリバリアン”の資質と日頃の姿勢ではないでしょうか。会社を訪れた方がよく「皆さんが実に楽しそうに、いきいきと働いていますね」と口にされます。HORIBAでは、社歴や地位に縛られる社風はなく、入社したばかりのキャリア採用の人財を、生え抜きのホリバリアンが温かく迎えます。それは、HORIBAに必要な能力を持った人財が増えた喜びを、皆が心から分かち合えるからなのです。
社会のため、世界のために貢献でき、自分がしたいことに挑戦できる環境。「このような環境に身を置ける幸せ」と「個々人の夢」が相まって、会社を明るくするのです。

※ホリバリアン:HORIBAで働くすべての人を同じファミリーであると考え、ホリバリアンと呼んでいます

 

センスを磨いて従来の概念にとらわれないスケールの大きな発想を

HORIBAは、売上高の約10%を研究開発費に投じてきました。これからもこの姿勢は変わりません。繰り返しになりますが、失敗を恐れずチャレンジをしなければ新しいものは生まれません。そのためには、チャレンジ精神に満ちた人財が不可欠です。研究開発費というのは実は、「人を育てる・獲得する」ための費用でもあると考えています。
HORIBAの価値の源泉は「はかる」技術です。このコアとなる部分はこれからも変わることはないでしょう。しかし、製品はもちろん、営業の方向性や展開の仕方といった枝葉の部分は当然変化していきます。その可変部分には、前例や知識ではなくセンスが問われるのです。そのセンスは、HORIBAの社是“おもしろおかしく”に則り仕事をしていれば、磨かれていきます。何事にも隙間やゆるみといった「あそび」が必要であると、一般的に言われます。“おもしろおかしく”が意味することの一つは、そうしたあそびのスケールの大きさ、つまり従来の概念にとらわれない発想のスケールではないかと感じています。
もちろん売上や利益など、会社の業績を無視することはできません。しかし、ただ販売数を伸ばせば良いというだけではありません。HORIBAを本当に気に入って必要としてくれるお客様をどれだけ増やせるか、つまり、価値を分かってくださるお客様を大切にする、たとえるなら老舗の割烹料理屋のような経営精神が必要ではないかと思います。私自身、赤字にならないことだけを目的としたオペレーションをしようと思ったことは、ただの一度もありません。それはHORIBAの在り方に相反するでしょうし、「長い目で見る」ことが疎かになりかねないからです。

 

探求心を育てることで「夢」が生まれる

社会には解決すべき様々な課題がありますが、その根源にあるのはやはり「人」だと思います。企業での人財育成に加え、その企業に将来加わる可能性のある子どもたちへの教育を向上させることも、経営者である私がなすべきことではないかと考え、2008年より京都教育懇話会の会長を務めています。
2019年末に、京都のとある小学校の5年生に向けて講演を行いました。講演後に質疑応答があったのですが、核心に迫る直観的・直接的な質問をたくさん受けました。私が一つ目の質問にどうにか回答する。するとまたサッと手があがる。その繰り返しでした。探求心を育てる教育が日本でも行われていることに感心したのと同時に、皆が夢を持っていることを強く感じました。
HORIBAも、そしてホリバリアンも、夢を持つことを大切にしています。
「MLMAP2023」が掲げる目標を背景に、それぞれの夢を描き実現に向けて取り組んでいく。その繰り返しが、良い結果をもたらすと信じ、今年度も邁進していきたいと気持ちを新たにする次第です。2020年もこれまでと変わらぬご理解とご支援をよろしくお願い申しあげます。

※京都教育懇話会:企業に加え、学校やそこに集う教職員・学生、さらには塾などの教育産業も含め、地域や立場を問わず、ともに集い、学び、研鑽し、そして情報発信する「場」づくりをめざす、有志による会


2020年4月
代表取締役会長兼グループCEO 堀場 厚