2022年1月29日より京都市京セラ美術館で開催されているKYOTO STEAM※12022 国際アートコンペティションにおいて、アーティスト 興梠 優護(こうろぎ ゆうご)さんとHORIBAとのコラボレーション作品「龍猫図」が展示されています。
興梠さんとHORIBAがコラボレーションすることが決まった2021年春より、共に活動を進めてきました。
光や視覚、色彩といった曖昧なもの、感情の揺れ動きをビジュアルとして表現する興梠さんと「はかる」技術を追求するHORIBA。「アート×サイエンス・テクノロジー」によって生まれた作品をぜひご覧ください。
龍猫図
KYOTO STEAM 2022 国際アートコンペティションとは
「アート×サイエンス・テクノロジー」をテーマにさまざまな人が協働する新しい文化・芸術の祭典「KYOTO STEAM―世界文化交流祭―」のコアプログラムです。公募にエントリーした41件の企業等団体と111件の作品プランのなかから、アーティストと企業・研究機関による11組の組み合わせが選抜されました。この11組のコラボレーション作品を展覧し、表彰する国際コンペティションです。
開催日時 | 2022年1月29日(土)~ 2月13日(日)10時~18時(入館は17時半まで)※月曜日休館 |
会場 | 京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ |
料金 | 一般 1,000円(税込み) /中学生以下無料 詳細はKYOTO STEAM 2022の公式サイトをご覧ください。 |
作品「龍猫図」について
「京都にゆかりのあるものにしたかった」と語る、興梠さん。
京都市京セラ美術館にも収蔵されている「絵画の中の動物」にインスピレーションを受け、分析・計測技術と組み合わせた「龍猫図」を制作しました。
メインモチーフである「龍」は、元来、鹿・兎・牛・鷹・虎など九つの動物のイメージが複合してできたものだと考えられています。制作過程では、動物の毛や羽、脱皮殻、鱗をHORIBAの「三次元蛍光測定装置 Aqualog」※2で成分分析し、数値やイメージング画像を絵画に重ね合わせることで、見えているものだけではない、幅のある世界観を生み出しています。
また、虎を見ることのなかった絵師たちが参考にしたといわれる「猫」をモチーフに加え、現代的で虚実の入り混じる動物参集図に仕上げています。鑑賞者の位置や時間によって見え方が緩やかに変化する「光」の仕掛けも施されています。
最先端の分析計測ソリューションを体験
光によって龍の鱗などが浮かびあがる
興梠 優護さんからのメッセージ
HORIBAさんとコラボレーションをさせて頂いたきっかけは、光を応用して普段見えないものを可視化して社会に貢献する研究や、普段見られないビジョンそのものに興味があったからです。コラボレーションにより、光が相互に及ぼす影響など「光」そのものや色彩について捉えなおし、改めて理解を深めることができました。
その結果「龍猫図」はこれまで制作している作品よりも、よりカラフルなものとなっています。それぞれの色が響き合い、より美しく見える色彩の関係性を心がけました。龍や猫のイメージを描きながらも、俯瞰すれば色の塊としても捉えられるような、抽象と具象の両立、またはバランスも考慮しています。
作品鑑賞を通して、穏やかな光のなかでまどろむような、ゆったりとした気持ちになっていただけると制作者として嬉しく思います。
堀場製作所デザイナー 大角 雅幸コメント
私は、普段、会社の広告宣伝物の制作や製品デザインをはじめとしたHORIBAグループ全体のブランディングデザインを担当しています。
今回のコラボレーションでは、興梠さんにHORIBAの最先端の分析計測ソリューションを体験していただけるラボへ数回に渡りお越しいただき、HORIBAの技術者と興梠さんをつなぐコーディネートをさせていただきました。アート作品においてHORIBAの技術はどのようなことができるか、何が提供できるのか、どのような手法があるのか議論を重ね、さまざまなサンプルを測定し、作品へとつなげました。
分析・計測技術は、普段、私たちの目には見えない、わからないものを数値や画像として可視化することで世の中に貢献しています。今回のコラボレーションは分析した値をアートとして、いつもとは違った手法で見せる発想で、HORIBAとしては初めての挑戦でした。作品「龍猫図」を通して、「はかる」技術をより多くの方に知っていただくきっかけになればうれしく思います。
※1 STEAM:
Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)という5つの英単語の頭文字を組み合わせた造語で、理数教育と創造性教育の各教科を横断的に学び、実社会での課題解決に生かしていくための教育手法です。
※2 三次元蛍光測定装置「Aqualog」:
蛍光性溶存有機物質と呼ばれるアミノ酸の一種やタンパク質を評価する装置で、水処理プラントにおける飲料水や上下水の水質調査、環境関連の水モニタリングに使用されています。