水素ロータリエンジンの開発

寺本隆文* | |   6

*マツダ株式会社

クリーン&エコロジーなエネルギとして水素の幅広い利用が期待されている。この水素を燃料とする自動車用エンジンの研究を行なった。ロータリエンジンは高温の排気バルブを有しない、吸気室が低温であるなどの特徴的な構造により水素燃焼の重要な問題である過早着火やバックファイアなどの異常燃焼を発生しにくいことが明らかになった。この結果、水素ロータリエンジンは水素レシプロエンジンよりも高出力を得やすい長所を有していること、さらに高出力化するために作動室への水素の直接噴射法を導入した結果、水素ロータリエンジンの出力がガソリンエンジンの約90%まで達することが判明した。