巻頭言 : 環境計測での社会への貢献

東野 敏也  | |   43

株式会社 堀場アドバンスドテクノ 代表取締役社長

地球が誕生して46億年が経過するといわれています。様々な地殻変動、気候変動を繰り返し現在の地球が形成され、絶妙なバランスにより生命の源となる水と大気が存在し循環することで、多種多様な生命が育まれ繁栄してきました。この長い地球の歴史の中で環境汚染の問題がクローズアップされてきたのは、わずか200年前の産業革命以降であり、地球誕生から現在までを1日とすると、わずか0.004秒の短い時間での出来事になります。科学技術の発展に伴い人々の生活が豊かになってきた一方で、人類の活動が自然の絶妙なバランスを崩し始め、地球環境に影響を与えるようになってきました。当初は特定の地域での局所的な問題として考えられていましたが、現在では、地球温暖化、オゾン層の破壊、ゲリラ豪雨、スーパー台風などの気候変動の問題、原子力発電所の事故による放射線汚染、水質汚濁、PM2.5をはじめとする大気汚染、化学物質による食の安全や生態系への影響、世界的な水資源の枯渇、食糧問題、エネルギー問題など、地球規模の問題として考えられるようになってきました。環境汚染問題は先進国の経済活動における影響が大きいといえますが、途上国においては水系伝染病や感染症など、生活環境のインフラ整備がまだまだ追いついていないことによる環境問題もあります。また、世界的にみると地球上の水の98%が海水、淡水は2%程度、その中の大部分が氷河や万年雪、地下水や永久凍土で我々生物が飲み水として使用できるのが、全体の0.01%も満たない貴重なものです。途上国の成長に伴い水需要が急増することで、2050年までに世界人口の2/3が水ストレスに直面するといわれています。