総論 : 地球環境および経済活動への貢献を目指す環境・プロセスシステム事業

中村新哉、井ノ上哲司、江原克信、坂東直人 | |   43

環境・プロセス事業は産業の発展とともに変化してきたといえる。1960年代、高度経済成長後期になると大気汚染や水質汚濁などの公害が深刻化し、環境規制や条例が施行された。これら規制に対応するため、HORIBAグループのコア技術である非分散型赤外線分析(NDIR)やpH計測技術を核に新技術を取り入れ、環境分析市場のニーズにあった分析計の開発を進めてきた。2011年、東日本大震災により引き起こされた福島県第一原発の水素爆発により放射線が福島県周辺に飛散した。当時HORIBAグループはいち早く放射線計を自治体に寄付することで、市民の放射線測定に寄与した。このように環境・プロセス製品は各時代引き起こされた公害・環境問題に対して、見えないものを“見える化する環境計測”の側面から世の中に安心・安全を提供してきた。環境・プロセス事業は環境計測に留まらず、その技術を産業プロセス計測に応用することで産業発展に貢献してきた。1960年代以降、日本の産業発展にともない日本では多くの石油精製・石油化学プラントが建設され、プロセス用ガス分析計のニーズが高まった。HORIBAグループは耐圧防爆認証を取得し、プロセス用としてガス分析計を供給してきた。水質分析製品では上下水道の水質コントロールにより水資源の持続的な活用に貢献し、また非接触で温度を高精度に測定できる放射温度計は温度監視及び温度制御といった工業の重要なプロセスを支えている。