特別寄稿:リチウムイオン電池の現状と未来

吉野 彰* | |   53

*技術総合研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC),
 2019年ノーベル化学賞受賞

リチウムイオン電池は小型・軽量化を実現した二次電池であり,現在のモバイルIT社会の実現に大きな貢献をしてきた。このリチウムイオン電池の仕組み,特徴,構成材料,電池構造,電極構造を解説する。モバイルIT用途分野(小型民生用途)における25年以上の市場実績とともに,電池性能の向上,信頼性の向上,コストダウンの実現がなされてきた。そして現在,車載用(電気自動車用)という次の転換期を迎えている。単に車が電動化されるということだけではなく,リチウムイオン電池がIoT,AI,5Gといった未来技術と融合した時に起こる大きな社会変革が予想される。この未来の車社会についても述べてみたい。