2019 堀場雅夫賞: 機械学習を用いたリチウムイオン電池充電状態の高精度予測

マティアス プレインドル* | |   53

*Columbia University in the City of New York
この論文では,稼働中の電池セルにあるパターンのパルス信号を印加することによって,これまで充電状態の予測に用いられてきた機械学習アルゴリズムを改良し強化する手法を提唱している。他の手法では非線形性が障害となって解読は困難であるが,機械学習アルゴリズムを用いればパルス応答波形に含まれる情報は解読することが可能だと信じられている。電流パルスの振幅が感度に及ぼす影響をシミュレーションによって解析することで,必要な精度向上を実現できる電流レベルを決めることが可能になる。多段階のフィードフォワードニューラルネットワークを学習させることによって,パルス列と充電状態の真値との非線形な関係を把握することができた。階層数を10から10000とし,反復回数を100万回までとして実験データを学習させた結果,誤差が2%以下で充電状態を信頼性高く予測できるという結果が得られている。この手法を用いる電池セル検査の手順を設計してその仕様を定め,解説も示している。我々が提案する検査手順を普及させる戦略についても考察し,複数の電池セルを制御する既存のバランス調整機器に組み込むだけで,充電状態をより高度に予測することを可能にするための詳細な機器配置も示した。
キーワード:加速劣化試験,充電池管理システム,機械学習,ニューラルネットワーク,充電状態予測