バイオ医薬品開発と分析化学

津本 浩平* | |   技術論文

*東京大学大学院

抗体医薬品をはじめとするバイオ医薬品開発研究において,分析化学的手法の重要性が認識されている。それは,特に,抗体医薬品ではタンパク質が分子コロイドとして存在し,かつ配列に規定された立体構造を持つ生体高分子を,コロイド安定性と構造安定性の双方から精緻に解析する必要があるためである。本稿では,近年高度化が著しいコロイド安定性に関する方法論と,高濃度下における構造安定性評価におけるラマン分光の有用性を中心に現状を概観する。