特別寄稿:次世代の自動車とドライバ特性

景山 一郎 | |   46

著者が自律走行車両普及時にもっとも大きい問題と考える点は,通常のドライバと自律走行車両が混在走行する場合のお互いの認識の差である。自律走行車両は交通ルールを遵守するように構築されているが,通常ドライバは慣れ等から来る独自のルール(たとえば他車両とのアイコンタクト)を前提に走行している。このため,一般車両の交通流に教習車両が流入するような状態に匹敵し,近年海外における交通事故の原因の一つとして注目されるドライバのロードレイジ(Road Rage:ドライバが走行中他車両等に対する苛立ちや激怒)を周りの車両のドライバに与えてしまう可能性を持っているからである。つまり自律走行車両が走行する環境下では,これまで主に行われてきた運転に関する人間工学的な取り扱いでは不十分となり,走行する車両間のドライバ特性の連携が重要となる。そこで,本稿では自動車技術とドライバ特性に焦点を当て,筆者の考えをまとめる。