トピックス : 電気化学測定を応用した計測機器

石井 章夫、山内 悠 | |   40

電気化学とはイオンや電子といった荷電粒子が関与する化学現象一般を取り扱う学問であり,その応用範囲は計測機器や分析機器を始めとして,電池,メッキ,半導体素子など広範にわたる。計測および分析の観点で見ると電気化学測定は,他の分析手法に比べて比較的簡便な装置構成で良いという特長があり,その他の化学実験操作や分析手法と組合せて使用されることも多い。例えば,滴定や液層クロマトグラフィ,水晶振動子マイクロバランスとの組合せは有名である。その汎用性や簡便性から研究開発に留まらず,臨床検査や環境計測など幅広い分野にて応用されている。

市販の参考書[1-3]を読めばお分かりの通り,電気化学を理解するためには多くの数式とそれらの相互関係の理解が不可欠であるが,初心者にとってはそれらを理解するのは容易ではない。本稿では理論的な解説は可能な限り排除し,株式会社 堀場製作所が計測機器に応用している測定手法を中心に,実用上で必要と思われる原理やノウハウを紹介する。電気化学測定法を応用した計測機器を利用しているが,もう少し詳しく知りたい,上手に利用したい,と思っている方々の一助となれば幸いである。