巻頭言 : 血球計数装置から臨床検査システムへ

奥 成博 | |   44

血球計数とは血液中の細胞である白血球,赤血球,血小板数と赤血球におけるその大きさや赤血球中のヘモグロビン濃度測定が基本で,その臨床意義は炎症,貧血や止血診断と多くの病態診断の解析に用いられています。血球数の測定は計算盤と呼ばれるプレパラートに小さな溝を切った部所に希釈した血液を流し込み顕微鏡で計測する試算法が古くから用いられてきました。1956年にCoulter社によって開発された電気抵抗法でその計測精度は格段に向上しました。電気抵抗法とは生理食塩水に浮遊させた血球をアパチャーと呼ぶ微細孔を通過させ,その時に生じる抵抗変化を微細孔に定電流を通し電圧変化として計測する方法です。血球通過時の電圧変化は血球の容積と比例するために,その電圧パルスから血球数と血球容積が得られます。この電気抵抗法は,限られた粒子サイズの計測には精度よく,容積も測定できることで現在も血球計数の標準法となっています。