四重極アレイ構造による小型残留ガス分析装置の開発 -MICROPOLE System ~QLシリーズ~-

北浦 宏和 | |   技術論文

『MICROPOLE System』はFerran Scientific社(米国)からの知的財産権(IP権)取得に始まり,堀場エステックにて独自の設計要素を盛り込みつつ新たに開発した世界最小クラスの残留ガス分析計(RGA)である。“真空の質”を管理するためには,イオンゲージなどによる到達真空の管理だけでは十分ではなく,RGAなどにより存在するガス成分を含めモニタすることが重要となる。RGAの歴史は古く,1950年代までにPaulらにより四重極質量分析技術としてその基礎が確立され,現代においても同様の原理を用いた商品が各社より発売されているが,主として,使用環境圧力が最大10-2Paとあくまで高真空領域における使用に限られたものが多い。そのようななか,中真空(例えば10-1Pa以上)で使用できた場合,プロセスによっては排気状態での装置内残留ガスの測定のみならず,プロセス中であっても連続測定することが可能となる。今回の開発では,Ferran Scientific社の超小型RGA“中真空領域でも測定可能なRGA”というコンセプトを引継ぎつつ更に品質や信頼性を向上し,加えて“PCレス(パソコン無し)で使用可能”という従来のRGAでは存在しなかったユーザフレンドリーなアイテムなどを多数盛込んで製品化を行った。