大気圧グロー放電飛行時間型質量分析法に基づく革新的ソフトイオン化技術の開発と評価

Jorge Pisonero | |   36

新しく革新的な「ソフトイオン化技術」を,迅速かつ簡単で,信頼性が高く,頑丈な質量分析計と組み合わせることにより,ほとんど表面の損傷なしに,試料表面の無機/有機化合物の直接分析を行うことができる強力な計測技法を開発した。この手法は,半導体表面の直接分析に際し,試料の前処理をほとんど又は,全く必要としない,新しい「研究分野」を開く可能性がある。本プロジェクトでは特に大気圧グロー放電(AP-GD)を提案している。Heガスを使用しHeの準安定種の流れを発生させ,それを放電箱の外部に移動させ,次に試料表面に導くことができる。そして,準安定種と大気ガス成分との反応が反応剤イオンの生成をもたらし,それが試料表面成分の脱着/イオン化を起こす。その後,生成したイオンを飛行時間型質量分析計(TOFMS)に移動させ,陽イオンと陰イオンの両方を検出し種の同定と定量化を可能とする。AP-GD-TOFMSは迅速かつ簡単で,信頼性が高く頑丈な分析方法として有望であり,半導体試料(すなわち,光起電シリコン)表面に存在する無機/有機化合物の直接分析が可能である。空間解像度は試料表面のマッピングを含めmm2の桁まで可能であり,フェムトモルレベルの検出限界も達成しうる。