巻頭言:安全・効率的・持続可能な未来のモビリティーのために

長野 隆史* | |   52

*株式会社 堀場製作所, 取締役
HORIBAの自動車計測事業は,モビリティー全般における排ガス計測の歴史と共に歩んできました。特に自動車の排ガス規制の強化に伴い,複雑化してきた排ガス認証,内燃機関適合において,そのキーとなる計測,分析で世の中に貢献してきたものと自負しています。一方,陸上,海上,空におけるモビリティー全体での重要課題は長らく,環境,エネルギー効率,安全という3分野であると捉え,現在も大きくはその方向性は変わっていないと考えています。
HORIBAは,船舶分野においても冒頭で述べた排ガス計測を主体としたガス計測装置を開発してきました。また,水質環境に関しても,長年,河川や湖,海水の様々な成分を計測できる水質計測装置を提供してきました。さらに,2005年にドイツSchenck社 DTS*1部門を買収することにより,動力系,駆動系,ブレーキ系試験機を中心としたメカトロニクス分野へ事業を拡大し,エネルギー効率分野,安全分野における計測,試験の提供も開始しました。
..(中略).....
このような新しい潮流の波は,船舶の分野にも広がっています。地球は閉ざされた系であるため,船舶が遠く離れた海で放出する排ガスや排水については国境を越えて環境を保全する取組が求められます。また大量のエネルギーを消費する船舶においては効率向上の効果もより大きくなるため,ネルギー関連の施策においても各国の規制考慮して取り組むグローバルな視点が求められています。
人類の根源的な欲求である人,物の移動,これを実現するモビリティー社会は,色々な課題を抱えています。HORIBAは引き続き,従来の計測,分析のコア技術を生かしつつ,HORIBA MIRAの強みである,試験,エンジニアリング,コンサルタンシーを最大限利用し,アプリケーションに重点を置いた計測,分析のトータルソリューションをグローバルに提供することで,モビリティー社会に貢献していきます。