The Responsibility of Scientists and Engineers to the Stewardship of the Earth and Its Environment

Gary S. Samuelsen* | |   技術論文

*University of California Irvine

科学・工学の進歩は社会の技術的・経済的な発展の土台となっているが、それだけに、科学技術者は地球環境の管理に対しても責任を負わなければならない。現在アメリカの大学では、エネルギー保存の法則や、質量保存の法則などの熱力学の基本に関する教育は多くなされているが、環境の拘束力についての教育は軽視されている。世界のエネルギーの90%が燃焼によって供給され、また大気汚染物質の90%以上が、燃焼によりもたらされているにも拘らず、従来、その量やエネルギーが熱力学的に非常に小さいからといって無視してきた。しかしながら、母なる地球は信じられないほど繊細、かつパワフルである。化石燃料はエネルギーを供給する一方で、環境に影響を与えることにより、「地球が有限の閉ざされた系である」ことをさりげなく警告している。今や、環境の境界条件に関する教育が必須の課題となっている。現在の環境問題への高まりは、一般大衆の環境問題への関心が政治の場に作用し、そしてこの政治的圧力に作用されて科学技術者達が動くといういわばドミノ現象に起因している。いいかえれば、いずれも受身的に触発されているといえる。環境汚染のしくみは、「Source→Dispersion→Effect」の流れとなるが、環境の境界条件を教育する場合も同様の手法が必要となる。まず、貴方自身が発生源となり同僚に波及させたり、学生の教育カリキュラムに入れることが次世代の科学技術者に影響を及ぼすことになる。また、このプロセスを通じて、科学技術者だけでなく社会・政治も同様に影響を受けることになる。科学技術者がこの流れに沿って指導力を発揮すれば、社会・政治を確実に動かすことはできる。科学技術者の責務は、自然の原理を定義し、教え、そして応用することである。環境が課している境界条件を無視することができるだろうか。