総説 :  社会の発展と共に70年「Your Partner in Science」をモットーに成長するHORIBA科学事業

西方 健太郎 | |   45

As ‘Your Partner in Science,’ HORIBA Scientific has been Developing Together with Society for 70 Years.

堀場製作所の前身である「堀場無線研究所」は,終戦直後に研究開発型企業としてスタートしました。その創業製品である国産初のガラス電極式pHメータは,戦後の食糧増産のために使用された化学肥料の開発にも大きく貢献しました。また,当時,京都大学との共同研究により得られた赤外線用単結晶技術は,赤外線ガス分析計や,自動車排ガス分析や環境・プロセスモニタリングの事業を産み出しました。これらの技術・製品・事業は1960年代後半から顕著になってきた地球環境問題への対策や自動車・エネルギー産業の発展にもきく貢献しています。更には,赤外線用結晶の製造技術を確立後,ヨウ化ナトリウムシンチレータの開発へと展開し,この展開がその後の放射線・X線計測の技術や事業を産み出しました。これらの事業が生み出された背景にも,高度化する産業の研究開発や品質管理の現場において,高度な固体分析を求める声がありました。このように,HORIBAは創業時より,液体,固体,気体という物質の三態に対する分析・計測技術を磨き,社会と共に発展して来た歴史を有します。本稿では,創業から70年を振り返りながら,HORIBA科学事業の歴史について振り返りたいと思います。