特別寄稿:社会経済の変化と安全な飲料水の供給

滝沢 智 | |   48

*東京大学大学院工学系研究科 都市工学専攻 教授
先進国では20世紀後半に水道の普及が進み,水系感染症を克服し豊かな社会を作り上げた。開発途上国においても,21世紀にはいってMDGs1SDGs2などの目標を設定し,世界の国々が努力することにより,安全な飲料水へのアクセスを得る人が増加している。水道は安全な飲料水の供給に大きな役割を果たしているが,水道サービスの質的な向上や公平性,事業経営の持続性など新たな課題も生じている。これらを克服するためには,経営と技術が一体となった水道システムを構築する必要がある。
1 MDGsMillennium Development Goals):ミレニアム開発目標。2000年に採択された「国連ミレニアム宣言」にともなってまとめられた2015年までの開発目標。
2 SDGsSustainable Development Goals):持続可能な開発目標。2015年「持続可能な開発サミット」で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に含まれる一連の目標。