特別寄稿:In situラマン分光法による界面電子移動プロセスの探索

葛目 陽義* | |   49

*東京工業大学科学技術創成研究院 特任准教授
In situラマン分光法は、固液界面の局所構造や反応特性の測定を通じて、電気化学的条件下での電子移動プロセスの検証を行うことができる。このため現在、in situラマン分光法は、たとえばエネルギー変換やバイオメディエーション(生物学的環境修復)を利用する装置の開発といった、基礎から応用研究まで広範囲にわたる分野・領域において、その場観察できる強力な表面特性評価ツールの一つとして認識されている。また、精密制御したナノ構造体を表面に導入することで、ラマン信号強度が特異的に増強され、分子レベルでの光学的特性の観察・評価が可能になる。本稿ではラマン分光法の歴史を序論にて簡潔に紹介し、続いて筆者のチームが最近手掛けたin situラマン分光分析の事例を、電位制御条件下の固液界面における電気化学的な、あるいは微生物学的な電子移動プロセスに特にスポットを当てて概観する。