特集論文:顕微ラマン分光法がバイオメディカル研究に与えたインパクト

Fran ADAR*1,Catalina DAVID*2,Marinella SANDROS*1 | |   49

*1 HORIBA Instruments Inc.,*2 HORIBA FRANCE SAS
ラマン分光法は,赤外(IR)吸収分光法を補完する振動分析手法である。この2つの手法は分子や結晶の振動を通じて材料の情報を提供する。赤外分光法がより広汎に利用される一方,ラマン分光法は明確に異なる特徴を持っており,これが生体物質の測定にメリットをもたらす。本稿で紹介する3つのトピック(微生物同定・疾患診断・ラマンイメージング)は,顕微ラマン分光法が世界的に画期的な活躍を遂げている事例や,導入によって未解決の問題を克服する可能性を取り上げている。これらの活動の一部にとって極めて重要な意味を持つ測定装置のイノベーション(とりわけラボオンチップ)に関する情報についても触れる。参照先はすべてが網羅されているわけではないが,関心を抱いた読者に諸文献への入口を示すものとなれば幸いである。