Toward In-use Testing

Gregory A. Green* | |   23

*U.S. Environmental Protection Agency

リアルワールド計測に向けてEPAは民間企業と同様、限られた資源で最大限の価値を生み出すよう常に新しい手法を追求している。私達は国の環境資産を保護することが究極の責任であり、常に環境のために仕事をしなければならないと考えている。最近では従来の排ガス認証試験だけでなく路上を走行中の排ガス試験にも着目しており、路上という種々の走行条件のもとでは認証試験時の環境基準に適合しないところがあるのでは、という疑問がある。この新しいアプローチには数々の問題が生じているのだが、最も重要なこととしては路上走行試験に使用できる最適な市販装置がなかったことにある。しかし、現在のシャシダイナモ上での規定モード試験を行っているだけでは、実際の路上での排ガスに対して言及できる範囲は限られる。OVERを車両に直接搭載することで、路上走行中のNOx・CO等の排ガス成分をリアルタイムに測定できる。この装置は、オン・オフロード、ガソリン・ディーゼルを問わずに広く使用可能である。さらに、ROVERを次世代の測定装置、Portable Emissions Measurement Strategy(PEMS)unitへと発展させることができた。PEMSでは計測中のデータ通信機能が付加されており、地理的条件・気象条件の異なる合衆国各地での結果をそのまま比較することができる。これらの装置から得られる多くのデータは、規制目的だけではなく、自動車が環境に与える影響をより正確にモデリングするための重要な情報を提供する。このようにして構築されるモデルは、各種の環境基準案の妥当性評価に応用できる。またROVERやPEMSは、自動車産業による環境負荷の小さいエンジンの開発や環境団体によるモニタリングなどにも役立つと考えられる。EPAではこれら仕様の最終まとめを2002年初頭に設定し、その後は数年にわたって数多くの路上走行データを収集して合衆国における自動車の環境への影響度の解析を進める計画である。この試みは最終的に合衆国の環境と国民の健康面とに大きな利益をもたらすものと信じている。