「堀場雅夫賞」 第1回の受賞者決定/授賞式を来月開催

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当社は、本年5月に「分析計測技術」に関する国内外の大学または公的研究機関の研究開発者対象の奨励賞として創設した『堀場雅夫賞』の第1回受賞者をこのほど決定しました。今回の選考テーマは、当社創業の礎でもある”pH計測”に関してです。本年5月から7月にかけて公募し、海外含め16件の応募がありました。今回テーマの”pH計測”分野で権威の先生などで構成する審査委員会が応募内容から研究の将来性を審議し、以下の3名に決定しました。授賞式ならびに受賞者と学究界からの参加者とのセッションなどを、2004年10月18日(月)京都大学芝蘭会館で行います。

<受賞者と受賞研究内容>

  • 東北大学大学院 環境科学研究科環境科学専攻 助手
    陶 究(すえ きわむ)氏
    受賞テーマ:「電位差法による超臨界水溶液のpH測定装置の開発」
  • 甲南大学先端生命工学研究所所長(理工学部機能分子化学科教授)
    杉本 直己(すぎもと なおき)氏
    受賞テーマ:「DNAをセンシング素材として用いた細胞内pH測定法の開発」
  • (財)電力中央研究所 環境科学研究所 主任研究員
    下島 公紀(したしま きみのり)氏
    受賞テーマ:「ISFET-pH電極を用いた海洋の現場計測用pHセンサの開発」



<堀場雅夫賞について>
本賞は計測技術発展のため、本年5月に当社創業者の名前を冠して創設した、社外対象の研究奨励賞です。毎回、対象テーマを計測の要素技術から選定し、単なる助成金にとどまらず受賞研究の実用化を支援するのが特徴です。第1回の今年は当社創業の礎となった「pH計測」の分野が応募対象でした。本年5月10日から7月30日まで公募し、計16件(国内15件/海外1件)の応募がありました。第1回の本賞受賞者3名は、その応募の中から、画期的でユニークな分析・計測技術の創生が期待される研究開発に従事し、将来の分析計測技術発展の担い手になるという観点で、実績と将来性を審査委員会で審議し選考されたものです。
なお、次回2005年の本賞の対象テーマは、当社主力製品”自動車排ガス測定装置”にも応用している「赤外線」の予定です。


  • [第1回 堀場雅夫賞 審査委員](敬称略、順不同)
    名誉審査委員長:堀場 雅夫(堀場製作所 取締役会長)
    審査委員長:堀場 厚(堀場製作所 代表取締役社長)
    副審査委員長:
    小久見 善八(京都大学大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 教授)
    審査委員:
    一山 智(京都大学大学院医学研究科 臨床病態解析学講座 教授)
    逢坂 哲彌(早稲田大学理工学部応用化学科 教授)
    中村 進(産業技術総合研究所 計測標準研究部門 主任研究員)

    <授賞式について>
    本賞の授賞式は、創業者堀場雅夫の母校で、創業当時「産学連携」の礎となった京都大学の施設内(芝蘭会館)で行います。受賞者による講演やポスターセッションを通じて、研究内容を広く社会にアピールする予定です。
    日時:2004年10月18日(月)15時から20時まで予定
    場所:京都大学芝蘭会館
    (京都市左京区吉田牛の宮11-1/TEL 075-771-0958)

    【第1回 堀場雅夫賞授賞式プログラム(予定)】
    第一部:受賞記念セミナー(15:00〜17:15)
    • 受賞者講演:今回受賞者の3名
    • 堀場雅夫講演:当社取締役会長 堀場雅夫
      (堀場雅夫賞 名誉審査委員長)
    • ポスターセッション
      (受賞者の研究内容についてのポスタープレゼンテーション)
    第二部:授賞式(17:30〜18:00)
    • 受賞研究紹介
    • 賞状・副賞授与
    • 審査講評:
      京都大学大学院工学研究科 物質エネルギー化学専攻 教授 小久見善八 氏(堀場雅夫賞副審査委員長)
    第三部:受賞記念パーティー(18:15〜20:00)




参考資料

【受賞テーマについて】

  • 東北大学大学院 環境科学研究科環境科学専攻 助手
    陶 究(すえ きわむ)氏
    (受賞テーマ)「電位差法による超臨界水溶液のpH測定装置の開発」
    超臨界水溶液のpHを直接かつ高精度で評価可能な装置を世界で初めて開発。超臨界水反応場を利用したナノ粒子やナノワイヤーといった新規機能性金属酸化物材料の設計や、廃棄バイオマスからの有用化学原料の回収プロセスの構築に寄与するものと期待される。

  • 甲南大学先端生命工学研究所所長(理工学部機能分子化学科教授)
    杉本 直己(すぎもと なおき)氏
    (受賞テーマ)「DNAをセンシング素材として用いた細胞内pH測定法の開発」
    DNA(デオキシリボ核酸)を検出媒体とした世界でも類のない、細胞内のpHを測定できるpHセンサーを開発。生体分子をセンサーの素材として活用する試みは、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーの分野で注目を集めており、本pHセンサーは、簡便に細胞内のpH測定ができるため、癌の早期診断やアポトーシス(細胞死)検出のための新しい診断システム開発に発展すると期待される。

  • (財)電力中央研究所 環境科学研究所 主任研究員
    下島 公紀(したしま きみのり)氏
    (受賞テーマ)「ISFET-pH電極を用いた海洋の現場計測用pHセンサの開発」
    海洋の表層から深海までの海水のpHを高精度に現場で計測できるpHセンサを開発し、実際の海洋において現場pH計測を行ってきた。pH電極にイオン感応性電界効果型トランジスター(ISFET)を用いることで、水溶液中での高精度かつ長時間連続観測が可能になった。地球規模の炭素循環に対して、海洋の果たす役割やメカニズムの解明に役立てることで、地球環境の将来予測も可能になると期待される。