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可搬性の重金属高感度測定装置 試作機完成

2010年8月 1日


可搬性の重金属高感度測定装置 試作機完成
産学共同開発 ダイヤモンド電極を使った微量重金属測定装置

当社は、慶應義塾大学理工学部の栄長泰明准教授とダイヤモンド電極を用いた、持ち運びが可能な微量重金属イオン測定装置を開発。工場排水や農産物など食品に含まれるカドミウムやヒ素などの重金属4成分を約5分で測定します。電気化学計測装置として世界で初めてダイヤモンド電極を採用し、従来の電極よりもノイズレベルが低いことから、最大100倍もの高感度な測定を実現しました。生活環境の周辺の安全・安心に対して測定を通して、貢献することが期待されています。

高純度のダイヤモンド電極の製造および有害金属イオン定量の技術を有する慶應義塾大学の栄長准教授と電気化学計測装置の開発で半世紀以上の歴史を持つ堀場製作所は、2003年より、液体や土壌に含まれる有害重金属の測定装置の共同開発に着手し、このたび微量重金属イオン測定装置の開発に成功しました。可搬性・高精度測定という特長を持ち、今後、河川・土壌の環境や農産物・食品中の重金属を細やかに監視・調査する装置として役立つと期待されています。

可搬性の低濃度な重金属測定装置

一般的に、重金属は低濃度で存在するため、高精度な測定ができる原子吸光法やICP法が用いられます。その測定法では高圧ガスや高圧電源などのユーティリティが必要で、屋外などの現場での測定は出来ません。一方、このたび開発した測定装置は周辺設備も不要で可搬性があり、どこでも持ち込んで現場で低濃度の重金属測定が可能です。また、その特長から使用者に専門知識がなくても誰でも簡単に高感度な測定ができます。

低濃度を実現するダイヤモンド電極について

ダイヤモンド電極は、電気化学測定における他の電極材料と比較してノイズレベルが極めて低いことが特長です。従来の電極(白金)に比べ、S/N(*1)を最大100倍改善されます。そのため原子吸光法やICP法と同等の低濃度(高感度)を実現します。

重金属測定のニーズ

カドミウムやヒ素などの重金属により、農作物や魚介類など食品に汚染が生じると、人体に悪影響を及ぼします。そのため、重金属を含む排水や廃棄物は監視・管理されています。一方、新興国ではカドミウムなどの重金属の汚染例が多く報告されています。そこで、新興国では汚染状況を管理するため、安価で現場で測定できる重金属測定装置が求められております。このたび開発した装置は、低濃度な重金属を測定でき、かつ現場に持ち込めるという特長を活かして、人々の生活環境の安全・安心に貢献する装置として期待されています。

主な仕様

外寸法 :200W × 342H × 315D (mm)
質  量  :約15キログラム
電  源  :AC100V/バッテリー
測定レンジ : 亜鉛(Zn)  :0-2.00 ppm
          銅(Cu)  :0-3.00 ppm(半導体向けCu;0.2-20ppb)
                ヒ素(As)  :0-0.200ppm
                カドミウム(Cd) :0-0.500ppm
測定時間 :約5分
試料量 :5ミリリットル

*1 S/N
Signal to Noise Ratio の略で信号に対するノイズの量を対数で表したもの。アンプなどの電気回路の性能を表すときなどに使われ、数値が大きいほど雑音が少なく高品質の信号が得られることを意味する。