[報道発表] 掲載内容は発表日時点の情報です。

走りながら生の排ガス計測 世界初 車載計測システムを開発

2002年7月18日


当社は、実際の路上を走行中の自動車から排出されるガスを測定する、世界で初めての車載型排ガス計測システムを開発しました。
本システムにより、排ガス重量、燃費、位置情報など実走行での排ガス状況を把握できます。決まった走行パターン(モード測定)ではなく、未知の領域であった実路走行でのガス排出状況が明らかになり(実路測定)、環境・エネルギー対策に有効なデータ収集が可能になります。


<背景>
従来、車両の排ガス計測は実路走行をシミュレーションした実験施設の中で行われていました。近年、地球環境問題の観点から、車両から排出されるガスが環境に与える影響に対してますます関心が高まっており、従来の実験施設での測定では分からなかった、実際に走行している車両から排出されるガスの様々な状態を把握しようとする動きがあります。特に渋滞のような交通状況や天候などの車両走行条件の変化が排ガスに与える影響を解明する要望が高まっています。
当社では、世界のトップシェアを誇る排ガス計測技術をもとに、省電力・省スペース・耐振動性に優れた排ガス計測装置を車両に搭載し、走行中の実データが得られる今回の車載計測システムの開発に成功しました。

<本システムの特徴>
本システムは路上走行中の車両から排出されるCO、CO2、HC、NOx、A/Fを連続測定、排ガス流量計の測定値から走行距離あたりの排ガス重量と燃費を算出します。さらにGPSからの位置情報や各種センサーによる走行環境も含めた車両走行状況を総合的に計測することができます。特に従来まで本格的な実験施設でなければ計測が難しかった排ガス重量が、車両上でリアルタイムに分かるのが大きな特徴です。

<本システムが活躍する領域>
車両に計測装置を搭載し、実走行での排ガス計測を実現したことで用途は従来の専門的な計測から、身近で実用的な領域まで広がります。例えば、排ガスの実態走行調査、自動車および触媒の研究開発、排ガス経年変化調査などに大きく貢献できるものと考えます。


<用途例>

  • 交通状況、環境要因(天候、温度など)による排ガス排出調査
  • 渋滞箇所、交差点周辺など局地汚染の解析
  • 自動車および触媒の研究開発
  • 使用過程車からの排ガス経年変化調査 他



<対応車種>

  • ガソリン、ディーゼル車
  • ハイブリッド車、LPG・天然ガス(CNG)など代替燃料車
  • 大型トラック、クレーン車やブルドーザーなど建設重機にも対応
    (システムは約1m四方のスペースがあれば塔載可能)



<システムの構成>

  1. 加熱型NDIR分析装置(CO、CO2、HCを計測)
  2. 直挿型NOx-A/F分析計(NOx、A/Fを計測)
  3. 流量計測ユニット(排ガス流量を計測)
  4. GPS受信器(緯度、経度、高度)
  5. 環境モニタ用センサ(温度、大気圧、湿度)
  6. データロガー−ノートパソコンおよびソフトフェア
  7. 電源ユニット−12Vバッテリー×2






参考資料

<ご参考>

  • 測定範囲
    CO;0-12vol%、CO2;0-25vol%、HC;0-5000ppm(ヘキサン換算濃度)
    NOx;0-2500ppm、A/F;9.5-200
    排ガス流量;0-3m3/min、0-6m3/min、0-12m3/min、0-20m3/min
    (車両の排気量に応じて選択)
    大気圧;0-160kPa(0-1.6気圧)
    大気温度;0〜40℃
    大気湿度;20〜90%




−用語説明−

  • 自動車技術会
    1947年(昭和22年)に設立以来、自動車に関して社会的に要請の高い課題や将来技術に取り組み、調査研究の成果をシンポジウム等でより広く社会に提供している。
    自動車技術会の主要な事業活動のうちの一つに学術講演会があり、エンジン、安全、交通システム、リサイクル等自動車に関する最新研究成果が発表される。
    今回の春季大会では併設展示会として「自動車技術展 人とくるまのテクノロジー展」が開催される。今回開発した本装置も、展示会に参考出品の予定。
  • A/F(空燃比)
    排ガス中の空気と燃料の質量比。エンジンの燃焼状態により空燃比は異なり、排ガス流量と掛け合わせる事で燃費を算出できる。このことから本システムでは、アイドリング時、低速時、加速時などさまざまな走行時の車の燃費をリアルタイムに計測している。