当社は、ガソリンエンジン車から電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車など、幅広い車種の国際基準に準拠した車両性能・排ガス評価試験が可能なシャシダイナモメーターVULCAN EVO(バルカン エボ、以下VULCAN EVO)の国内販売を本格的に開始しました。
2020年4月、日本国内で国際基準WLTP※1に基づく燃料電池自動車や電気自動車の燃費・電費※2測定が義務化されたことに伴い国内販売を本格化したもので、すでに一部の認証機関に導入されています。
さらに各国の認証機関への導入拡大を図り、世界的な排ガス規制への取り組み、及び持続可能な社会を実現する多様なモビリティ開発をサポートしていきます。
※1 WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure):乗用車等の国際調和燃費・排ガス試験方法
※2 電費:電力量消費率
開発の背景
国際基準WLTPでは、排ガス、燃費、電費測定をシャシダイナモメーター上で行うこととしており、日本では2020年4月1日よりWLTPに基づく燃費・電費測定が国土交通省管轄のもと義務化されました。自動車メーカー各社は、従来のガソリンエンジン車に加えて、電気自動車、ハイブリッド車、自動運転車など、モビリティの開発多様化に伴う幅広い評価への対応が求められています。VULCAN EVOは、開発の初期段階から試験室内で積雪や雨天など様々な環境下での路上走行を模擬した状態を正確に再現することで、複雑化する自動車開発プロセスの短縮及びそれに伴うコスト削減に貢献します。
製品の特長
今回販売開始するVULCAN EVOは、現行製品のVULCAN Ⅱよりさらに広範な用途を網羅する上位機種です。ハイパワー(最大 350kW/軸)、ハイスピード(最高 300km/h)に加え、重量車や過積載を想定して軸荷重は最大3,000kgまで対応します。性能試験における低フリクション等の諸要求に柔軟に応じられるよう、メインベアリング方式は加熱ベアリングと電動二重ベアリングを選択できます。また、品質チェックと製品診断を自動化し、システム全体のパフォーマンス向上とダウンタイム低減に貢献します。さらに、自動運転システムADS EVO(エーディーエス エボ)を容易に接続・連動させることができ、一層再現性が良い試験の実現や、電費計測・実路再現などの長時間試験の負荷を大幅に軽減します。
仕様比較 | ![]() | ![]() |
VULCAN Ⅱ | VULCAN EVO(LD) | |
スピード | 最高260km/h | 最高300km/h |
モーター容量/軸 | 最高230 kW | 最高350kW |
ローラー内幅寸法 | 800 mm | 700mm |
軸荷重 | 最大2,500kg | 最大3,000kg |
メンテナンス性 | メインベアリング交換時に、ピットから本体の取り出しが必要 | ピット内でメインベアリングの交換が可能 |
制動力(過負荷) | 最大6400N(12500N) | 最大9800N(19500N) |
試験室の環境温度 | -40℃〜45℃(-40℃〜40℃) | -40℃〜45℃(-40℃〜40℃) |
【シャシダイナモメーターについて】
シャシダイナモメーターは、道路上を走っている自動車の走行状態を、実験室のローラー上で再現する装置です。天候や路面の状態の変化に影響されることなく、高い再現性で路上走行の模擬試験を行えるメリットがあります。当社のシャシダイナモメーター VULCANシリーズは、試験室内で路上走行を模擬した状態を正確に再現するモジュラー式の4WD・2WD車向け48インチダイナモメーターです。ACモーターによる制御とローラー慣性量を設定することで、多様な車種の駆動力と車速を高精度に計測することが可能です。