新卒採用とキャリア採用、その比率をご存じでしょうか。
HORIBAグループでは、2024年の採用者のうち、実に約65%がキャリア採用者でした。
新卒採用が84名、キャリア採用が155名と、新卒の約2倍となる多くの転職者が、キャリアの次の舞台としてHORIBAへ入社しました。
転職は人生における大きな節目であり、新たな目標へのスタートラインでもあります。
一方で、「新しい職場でうまくやれるか」「同期がいないから孤独を感じそう」など不安もつきものです。
HORIBAでは、多様なバックグラウンドを持つ人財※が集うからこそ、「採用」だけでなく「入社後のサポート」にも力を入れています。その取り組みの一つに、キャリア採用者を対象にした自社研修所での1泊2日の宿泊研修があります。
“企業の研修所”と聞くと、堅苦しい雰囲気や決められたプログラムを淡々とこなす場所―。そんなイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。しかし、HORIBAの研修所は、その常識を覆します。
「おもしろおかしく」という社是を大切にするHORIBAならではの研修所、そして単なる“教育の場”を超えたキャリア採用者研修を紹介します。
研修の舞台は、堀場製作所の本社から車で1時間ほどの場所に位置する滋賀県高島市朽木。
福井と京都を結ぶ鯖街道に面し、横には一級河川の安曇川が流れ、山々に囲まれた自然豊かな地です。そんな地に佇むリゾート施設のような見た目の建物は、1991年にHORIBA初の研修所として開設されました。

(2009年に約2.5倍の規模へと拡張する増築が行われ、現在の姿に)
社員による公募で決められた研修所の名は「FUN HOUSE(ファンハウス)」。
FUN(おもしろい)、FUND(知識・技能の蓄え)、FUNCTION(機能)と3つの意味が込められています。
手掛けたのは、当時の専務だった堀場厚(現 堀場製作所会長 兼 グループCEO)。
「おもしろおかしく」仕事に励むには主体的な姿勢が不可欠。だからこそ、強制的な研修を行わない代わりに、自発的に「行きたい」と思える研修所を作ろうと考えたそうです。
そのため、各部屋には床暖房が備え付けてあり、寝具は羽毛布団。サウナ付きの大浴場に、シャワールームは飛行機のファーストクラス用ラウンジ仕様、と一流にこだわった快適な設備に。
さらには朝昼晩と提供される地産地消の食材をふんだんに取り入れた作り立ての食事、極めつけは備え付けのサーバーで味わえる生ビールをはじめとしたアルコール類が飲み放題!(もちろん研修を終えてからです)
ただ贅沢な場所だから“行きたくなる”という仕掛けではなく、世界を股にかける一流の製品を手掛けるには、自身が「一流を学ぶ」必要があるというおもいが込められているのです。
例えば、大浴場に備え付けられている椅子や桶は職人の手による檜づくり。檜は使用後にしっかりと乾燥させないと黒く変色してしまいます。一流のものはメンテナンスも怠ってはいけないということを理解することになります。
自然豊かな地で、一流のものに触れ、五感をフルに活用し、知識を「智慧」に昇華する場所。それがFUN HOUSEというHORIBA流の研修所です。

キャリア採用者研修の参加者は毎回20名前後、もちろんキャリアや年齢もさまざま。さらには全国各地の拠点から集まるため、ほとんどが初対面です。共通点はHORIBAへ入社して1年ほどということ。
入社直後は、部署になじむことや業務を覚えることに集中する時期です。少し慣れてきた1年目というタイミングで、これまでのキャリアを振り返り、これからの目標やめざす姿を改めて考える機会として、この研修を設けています。
初日のプログラムではHORIBAのフィロソフィーを学び、そして改めて自身のキャリアを見つめなおします。キャリアと言っても、振り返るのはこれまで培ってきたスキルや働くうえで大切にしてきた価値観。
それらを自分の中で整理するために使用するのが、自己理解カードという「チャレンジ」や「決断力」など、さまざまな言葉が書かれたカードです。80枚ほどの中から、自身に最も当てはまる5枚のカードを選び、その中から優先順位を決めていきます。

選んだカードを使って班分けされたメンバーにそれぞれのキャリアを紹介し、互いにフィードバックを行うことで、自然と距離も縮まります。
入社して1年が経ったタイミングだからこそ、改めて自身の個性やスキルを再認識することで、自信を持ってこれからのキャリアに向き合えるようになるのかもしれません。
FUN HOUSE最大の特徴に、30人ほどが座れるオープン暖炉があります。
これも、研修所を手掛けた堀場会長のこだわりの一つ。「人は炎を前にして話をすると、自然に腹を割ってお互い本音で語り合うことができる」というご自身の経験に基づいています。
研修時間が終われば、酒を酌み交わし、のびのびと会話をしてほしいとのおもいから、「コミュニケーションの場」として、建物自体が暖炉を中心とした設計になっているのです。
FUN HOUSEでは、単なる受講や発表だけを行うのではなく、参加者同士が本音で語り合うことが最も重視されています。

まさにその狙いどおり。初日の夜に開かれる懇親会では、暖炉の炎やお酒の力もあり、徐々に趣味やプライベートの話だけでなく、「実は転職理由が…」なんてぶっちゃけトークも飛び交い、気づけば部署を超えた“キャリア同期”が誕生していました!
なお、FUN HOUSEでは消灯時間が決められていません。唯一のルールは「朝食に遅れないこと」。
この研修所にはもう一つ大事なルールがあります。それは、ベッドメイキングを自分で行うこと。
「自分の使ったものは自分で整える」。そんな小さな習慣も、一流を学ぶための大切なポイントです。
ちなみに、今回の研修では、参加者全員がベッドメイキングを終えたうえで、無事に朝食時間に揃いました。
2日目は、HORIBAの人事制度を学び、職群や評価制度などを理解することで、今後の働き方を具体的にイメージします。それを踏まえ、初日に使用した自己理解カードで今後発揮したいスキルをしっかりと再認識し、研修の集大成として、90分という時間をかけ自身のキャリアプランについて考えるワークが行われます。
このワークの特徴は、自然に囲まれたFUN HOUSEという地で、各々がリラックスできる好きな場所で行うということ。非日常な空間で思考を深め、一人静かにペンを握り、自分の未来をじっくり描いていきます。

もし明確なキャリアプランが見えなかったとしても、これから自分自身が「おもしろおかしく」働くための軸や目標が見つかれば研修の成果として上出来ではないでしょうか。
最後は、参加者でキャリアプランと研修についての感想を共有しました。そこでの声を少しだけ―
≪感想≫
「転職してから1年間、目の前の仕事で精一杯だったけど、自分を見つめなおす良い機会になった」
「普段つながることのない部署の方とも知り合えて、キャリア同期ができて良かった」
実は、本記事を執筆した私自身もキャリア採用であり、今回の研修に受講者として参加してきました。
HORIBAが大切にする「おもしろおかしく」という価値観は、人が人と本音で向き合う場作りにも反映されているように感じました。1泊2日という短い時間の中で、キャリア採用者同士が“同期”となり、企業文化に触れ、自身のキャリアを見つめなおす、とても有意義な研修となりました。
転職は人生の大きな転機。そんな新たな一歩を支え、HORIBAという舞台で今後のキャリアを共に歩めるように―。
HORIBAは人財をしっかりサポートする体制や機会を築き、誰もが働きやすい環境作りにこれからも取り組んでいきます。
※ 人財:HORIBAでは、従業員を大切な財産と考えて「人財」と表現しています。