次世代を担う世界中の子どもたちに「はかる」ことのおもしろさを伝えたい―――そのようなおもいから、HORIBAはグループ一丸となって次世代教育に積極的に取り組んでいます。中長期経営計画「MLMAP 2028※1」では、重要な柱のひとつとしてサステナビリティ戦略を掲げており、HORIBAの活動を通じて社会にインパクトをもたらし、持続可能な未来づくりに貢献することで、私たちのビジョン「Joy & Fun for All」の実現をめざしています。
今回は、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、ホリバ・タイ社(タイ)が実施した次世代教育イベントのようすをご紹介します。
※1MLMAP(Mid-Long Term Management Plan):HORIBAグループでは、中⻑期経営計画を「MLMAP」として推進しています。
2025年6月5日、世界環境の日(World Environment Day)を祝して、ホリバ・タイ社のチームは、チャチューンサオ県のWat Khlong Chao小学校にて、環境保全に関する教育イベントを開催しました。イベント当日は、4~6年生の児童67名、教職員10名以上、そして19名のホリバリアン※2が参加しました。 世代を超えて学びやアイデアを分かち合い、短時間ながらも、活気と笑顔が溢れる有意義な1日となりました。近年、世界中で気候変動やサステナビリティへの関心が高まるなか、子どもたちが自ら考え、体験し、成長のきっかけとなるよう、さまざまなコンテンツを準備しました。
※2 ホリバリアン:HORIBAでは全従業員を家族のように捉え、「ホリバリアン」という愛称で呼んでいます。
今回のイベントの大きな特徴の一つは、HORIBA製品を使用した「測定体験」です。『「はかる」と「わかる」』をテーマに、普段の学習では体験することが難しい「はかる」分野のおもしろさを体感することができます。さらに、実際のデータ分析や実験を通じて、持続可能な社会の実現に必要な「考える力」や「探究心」を育むことをめざしています。
今回はHORIBAのマルチ水質チェッカ「U-50」、自動車排ガス測定器「MEXA-584L」を使い、身近な環境問題をテーマに水質や空気を測定する実験をおこないました。
まずは、携帯型のマルチ水質チェッカ「U-50シリーズ」を使った水質計測です。U-50は、一度の測定で複数の項目を調べることができるのが特徴です。例えば、pH(酸性・アルカリ性)、DO(溶存酸素)、濁度(にごり具合)や温度など、さまざまな水質指標を測定でき、リアルタイムで結果を知ることができます。使い方はとてもシンプルで、プローブを浸して、表示を読むだけ。今回の実験では、子どもたちに炭酸飲料や洗剤水などの液体サンプルを測定してもらい、まずは身近なものから科学の仕組みを知ってもらいました。また、きれいな水と汚れた水の違いを数値で見て理解することで、環境への関心も高まりました。
バイクは小型ですが、様々な排気ガスを排出します。では、バイクからどのような種類のガスが出ていて、それが環境にどんな影響を与えているのか、どうやって調べるのでしょうか。そこで活躍するのが、HORIBAの自動車排ガス測定器「MEXA-584L」です。これはバイク専用に設計された高精度な排ガス分析装置で、エンジンが効率よく燃料を燃やしているか、排気ガスがどのような成分でできているか、また車両の状態によって排出量がどう変わるかを調べることができます。
マルチ水質チェッカ「U-50」と同じく、プローブをバイクの排気口に取り付けるだけで、装置が排気ガスを少量吸い込み、分析を行います。画面には、以下のようなガスの濃度が表示されます。
CO(一酸化炭素):不完全燃焼による有害なガス
CO₂(二酸化炭素):温室効果ガス
HC(炭化水素):未燃焼の燃料で、大気汚染の原因とされる
O₂(酸素):燃焼後に残る酸素
今回の実験では、年式や整備履歴の異なる2台のバイクを用意し、車両の年齢やメンテナンス状況によって排出される汚染物質の量がどう変わるかを観察しました。
実際に排気ガスの値を目で見て、その影響を理解し、環境への負荷と日常生活のつながりを考えることで、地球の環境問題を実感することができます。また、身近な乗り物を通じて、燃焼や空気の成分といった科学的な概念にも触れつつ、技術の発展が汚染対策に貢献する可能性についても考えました。さらに、環境を守るためには、車両のメンテナンスなど使用者による日々の小さな行動が大切だということも、生徒たちに伝えることができました。

地球環境や科学への理解と関心をさらに深めてもらうため、クイズやアンケートを実施しました。例えば「家でどんな環境保護をしていますか?」という質問には、「家で木を植えている」といった答えもありました。また、「ゴミを価値あるものに変えられるとしたら?」という質問には、「ゴミを木に変えて地球を守りたい」といった創造的なアイデアも飛び出しました。
さらに、科学に対する関心や可能性を探る「理科意識調査」のアンケートも実施し、すでに多くの子どもたちが科学への興味を持っていること、また、このようなHORIBAの活動が子どもたちの意識向上に良い影響を与えていることが分かりました。

これからも子どもたちの創造的な学びや遊びを応援するため、学校への寄贈活動もおこないました。スポーツ用品や文房具、知育ボードゲームなどを学校に贈り、イベントの合間にはアイスクリームも振る舞われ、子どもたちの笑顔があふれる時間となりました。知識と喜びの両方を届ける、意義あるひとときとなりました。


イベントの最後には、校内で植樹活動を行いました。ただ木を植えるだけでなく、希望の根を育てるという意味も込められています。この土地が緑で豊かになり、ここで学ぶ子どもたちの心も一緒に成長してほしい――そんな願いを込めた取り組みです。
小さな一歩ですが、この一本の木が、子どもたちの夢や希望とともに大きく育っていくことを期待しています。イベントに参加した子どもたちが、将来研究者やエンジニア、社会を変える人財、そして次世代のホリバリアンとなり、より良い世界を創っていくことを心から願っています。

今回の活動は一区切りとなりますが、ホリバ・タイ社は今後も
・より多くの学校でプログラムを展開すること
・社会の変化に合わせた新しい知識を提供すること
・植樹活動を毎年続けること
を目標に、持続可能な未来づくりに取り組んでまいります。



