同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーは、理系科目が好きな小・中学生の力を伸ばし、科学者のタマゴを育てることを目的としたプログラムです。学校法人同志社 同志社一貫教育探究センターが次世代を担う科学者を育成する新たな取り組みとして2025年に開校し、「創造の丘から世界へ」というコンセプトのもと、大学や企業と連携しながらハイレベルな科学教育を提供しています。
このプログラムは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)の「2025年度 次世代科学技術チャレンジプログラム」に採択された事業で、全9社が連携企業として参加しています。HORIBAもその一社として、子どもたちの学びを応援しています。
企業訪問の日、HORIBAには、小学5年生から中学3年生までの児童・生徒7名、大学生サポーター6名、同志社一貫教育探究センター所長であり理工学部教授でもある大久保様、コーディネーターの反田様にお越しいただきました。
まず、HORIBAという会社がどのような事業をしているのか、どんな分野で活躍しているのかを紹介しました。その後、受託分析・試験施設である「HORIBA Analytical Solution Plaza」を見学しました。ここでは、エネルギー・環境、バイオ・ヘルスケア、先端材料・半導体といった最先端の分野に加え、宇宙、文化財、食品、水など、私たちの身の回りから宇宙まで広がるさまざまな分野で使われているHORIBAの分析・計測装置を見ていただきました。
理科室の実験とはひと味違う、本物の分析装置がずらりと並ぶ空間に、小学生から大学生まで、皆さん真剣なまなざしで説明を聞いていました。
見学では、装置をただ見るだけではなく、実際に「はかる」体験もしてもらいました。
蛍光X線分析装置による10円玉の測定では、普段使っている硬貨を装置にセットし、その成分を分析しました。この装置は非破壊で測定できることが特徴です。画面に表示されるグラフを見ると、どのような元素がどれくらい含まれているのかが分かります。指輪やネックレスも本物かどうかわかるよ、と談笑しながら、見た目では分からないものも、「はかる」と「わかる」ことを楽しく体験してもらうことができました。
マイクロプラスチック観察キットを用いた体験では、海や川の環境問題として注目されるマイクロプラスチックを観察しました。肉眼では見えにくい小さなプラスチック片が、キットを通してはっきりと見ることができます。環境問題と計測・分析が密接につながっていることを体感できる時間となりました。
休憩をはさんだ後は、「はかるとわかる」をテーマにしたワークショップを実施しました。ここでは、放射温度計と光沢計という二つの測定装置を使い、科学的なものの見方や考え方を体験してもらいました。
最初のテーマは温度の測定です。使用したHORIBAの放射温度計は、マイナス50度から500度まで測ることができる装置で、対象に触れずに温度を測定できます。会議室内の机や椅子、壁などを測って違いを確かめたあと、テラスに出て雲の温度を測るチャレンジも行いました。
雲の温度を「実際に数字として見る」という経験は、とても印象に残ったようで、「そんなものまで測れるの?」という驚きと笑いがあふれる時間になりました。
次のテーマは光沢の測定です。光沢計は、物の表面のツヤを数値で表す装置です。今回は4種類の紙を用意し、まずは自分の目で見て、手で触って違いを感じてもらいました。そのうえで、同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーが用意した簡易顕微鏡を使い、紙の表面の凹凸を観察しました。
観察を終えた後、一人ひとりに「どの紙が一番光っているか」「どの順番でツヤが強いか」を予想してもらい、いよいよHORIBAの光沢計で測定しました。結果がモニターに表示されると、「自分の予想と全然違った」という声があがり、会場が一気に盛り上がりました。
このワークショップを通じて、予想を立て、測定し、結果を確かめるという科学研究の基本的なプロセスを体験してもらうことができました。感覚だけではなく、実際に「はかる」ことで、ものごとの本当の姿に近づいていく。HORIBAが大切にしている考え方を、子どもたち自身の体験として感じてもらえたように思います。
ワークショップの後半には、HORIBAで働く技術者との交流会を行いました。
参加したのは、株式会社堀場製作所の開発者と、株式会社堀場アドバンスドテクノのテクニカルサポート担当者です。
開発者からは、分析・計測装置の開発に携わるエンジニアとして、完成した製品が世界中の研究や産業の現場で役立っていることのやりがいについて紹介しました。
テクニカルサポート担当者からは、お客様の現場で装置を安心して使っていただくためのサポートを行う仕事について、実際のエピソードを交えながら、理系の知識とコミュニケーション力の両方を活かす場面が多いことを伝えました。
子どもたちからは、「どうしてHORIBAに入社したのですか」「学生の時はどんな勉強をしていましたか」などの質問が寄せられ、大学生サポーターの皆さんも、将来の進路を意識した質問を積極的にしていました。理系の学びがどのように仕事につながるのか、企業で働くとはどういうことなのかを具体的にイメージしてもらえる時間になりました。
アンケートには、「見学がとても楽しかった」「光沢計での測定結果が予想と違っておどろいた」「普段は知れないことが知れて楽しかった」「実際の装置を使って『はかる』体験ができてうれしかった」といった感想が寄せられました。事務局の方からは、「交流会は子どもたちだけでなく、大学生にとっても非常に良い機会になった」とのコメントをいただきました。学校や学年の枠をこえた交流が、新たな気づきや将来を考えるきっかけになったことがうかがえます。
HORIBAは、「はかる」技術や製品を活かしながら、子どもたちや学生の皆さんに科学のおもしろさを届ける活動を続けています。今回の同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーとの取り組みは、その一つの形です。
今回参加してくれた子どもたちの中から、将来、研究者やエンジニアとして世界で活躍する人が生まれるかもしれません。たとえ進む道が理系でなかったとしても、自分の目で確かめ、データをもとに考える姿勢は、どんな分野でも必ず役に立ちます。
HORIBAはこれからも、地域や教育機関と連携した学びの場づくりを進めていきます。