HORIBAでは、科学技術やものづくりの楽しさを次世代に伝えるため、学校やイベントで出前授業を実施しています。今回は株式会社OpEL.(つくるまなぶ京都町屋科学館)様と協力し、京都市内にある同志社中学校で初めての出前授業を実施しました。
今回の出前授業は、OpEL.様とのコラボレーションによって実現しました。
OpEL.様は、ものづくりを通じて子どもたちの創造力を育む活動を行っている会社です。その活動内容は、HORIBAが掲げる「科学を楽しく学んでほしい」というおもいと深く共鳴していました。この共通の目標をきっかけに、お互いの強みを活かしてコラボレーションが実現。HORIBAの「はかる」技術を身近に感じてもらえるような授業を、2回にわたって一緒に企画しました。
第1回の授業では、「石を磨く」というテーマで、生徒たちが自分で石(滑石)をやすりで磨く体験をしました。磨いた石の光沢度をはかるために、HORIBAの「光沢計」を用い、はかることの大切さを学ぶ内容です。
HORIBAの光沢計は、実際に大理石や墓石などの石材を磨く現場でも活躍しており、石材の仕上がり品質を保つために大きな役割を果たしています。今回はそのプロセスを自らの手で体験してもらいました。
まず、生徒たちは石の片方の面を、光沢計を使わずに目視で確認しながら、納得するまで磨きます。
「これで十分かな?」と思ったら、次に裏面の作業に進みます。裏面では、ある程度磨いた段階で光沢計を使って測定し、事前に用意した基準値をめざしてさらに磨きます。基準値に達したら、だんだんと目の細かいやすりに切り替えて仕上げを行う、という流れで進めました。
集中して作業を進める生徒
作業中は、生徒たちが集中して黙々と石を磨いている姿が印象的でした。
自分がどれだけ磨けたかを数値で確認できることで、「まだまだ磨ける」という目標が明確になり、友達と競い合う姿も見られました。
「友達よりぴかぴかになった」や「基準よりもっと高い数値になった!」といった達成感を味わいながら、楽しそうに取り組む姿がとても印象的でした。
ぴかぴかに磨き上げられた石
第2回はHORIBAグループで水・液体計測分野を担う、株式会社堀場アドバンスドテクノからコンパクトpH(ピーエッチ)計 LAQUAtwin(ラクアツイン)を用いました。座学では、OpEL.様の担当者から、天然染料は植物や鉱物など自然由来で、風合いや色合いが穏やかであるのに対し、化学染料は人工的に合成されるため発色が安定して鮮やかであること、そしてpHの違いによって染め上がりが変化することも説明がありました。
私たちからはHORIBAのpH計の歴史を紹介し、改めてpHって何?pH計はどのような仕組みではかっているのかを説明しました。
pH計はHORIBAの創業製品でもあります。LAQUAtwinの使い方も伝授!
今回のテーマでもある毛糸を染める体験は以前からOpEL.様で実施されていたプログラムですが、今回のコラボ授業ではさらに踏み込み、毛糸に色を染める条件にpHが関係するのか?ということを意識して、実験しながら染色しました。
準備した溶液は、クエン酸を混ぜた水(酸性)、何も入っていない水(中性)、重曹混ぜた水(アルカリ性)の3つ。染料は天然染料(クチナシ)と、化学染料を用意しました。
どの組み合わせが一番染まりやすいでしょうか。実験では、生徒たちは3人ずつ3グループに分かれて活動しました。
まず、「赤い絵の具で糸が染まるか」を試し、色が定着しないことから「染め」と「着色」の違いを学びました。その後、pH計で水とクエン酸水、重曹水を測定し、酸性・中性・アルカリ性の違いを体感しました。
染料を入れる前にpH計で溶液の数値を確かめます。
さらに、羊毛を下処理した後、天然染料や化学染料を異なるpHの染液で染色し、pHによる色の変化を観察しました。
染料を加えると、一見どれも同じ色に見えますが…
染められた毛糸をみると一目瞭然。
色が最も濃く出たのはクエン酸を混ぜた水で、化学染料を使用すると特に鮮やかな発色になりました。
一方、天然染料は淡くて優しい発色。色を染める用途によって条件を変えることが重要であるということが分かりました。
実際の実験結果がこちら!
色の染め方のコツをつかんだ生徒たちは自分の好きな色を作成。
何色を混ぜれば理想の色になるか、より濃い色にするにはどうすればよいか、染液を混ぜたりグラデーション染色に挑戦したりしながら創意工夫を楽しみます。
自分なりに工夫しながらオリジナルの毛糸を作成し、最後にストラップにして作品を仕上げました。
授業終了後、生徒からは、「授業で習ったことを活かせた」「pHで色が変わることに驚いた」、「実験結果がストラップという形になって嬉しかった」といった感想が寄せられ、実験が実生活につながる貴重な体験となりました。
中学生になると理科の授業もだんだんと難しくなりますが、日ごろの学校の授業からすこし視点を変えると、科学の知識が私たちのゆたかな生活と密接に関わりがあることが分かり、興味がわきませんか。私たちHORIBAの「はかる」機械も、最先端の技術で皆さんの身近な生活を支えています。
HORIBAはこれからも、「はかる」技術を通して、さまざまな年代の子どもたちに科学のおもしろさを伝えていきます。






