中国で初めて医用機器を現地生産、製品供給を迅速化

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中国戦略機の血球計数CRP測定装置の拡販体制を強化

当社は中国で初めて医用機器の現地生産を開始します。対象の製品は、白血球(5分類)などの血球計数と炎症反応の指標となるCRP(C反応性たんぱく)を同時測定する自動血球計数CRP測定装置「Pentra MS CRP」です。2011年からすでに血液検査用の試薬を現地生産しており、さらに今回、中国市場の戦略機と位置づける本製品も現地生産を開始することで、迅速な製品供給に対応します。

 

中国における医用事業

当社の中国での医用事業は、1996年にフランスのABX社を買収して以来、同社の中国事業を引き継ぎ、病院向けに自動血球計数装置を提供してきました。2011年には中国・上海工場で、血液検査用の試薬の生産を開始し、消耗品にあたる試薬の即納体制を整え、事業展開を進めてきました。このたび、中国で初めて現地生産する医用機器は、日本国内で競争力をもつ血球計数とCRPを同時測定できる装置で、フランスの血球計数技術と日本のCRP測定技術を融合して開発しました。中核部品はフランス・日本から輸送し、上海工場で組み上げるノックダウン方式を導入します。当社は中国市場の成長を見込み、市場のニーズに合致した迅速な製品供給と安定的なアフターサービスの強化により事業基盤を強化します。

 

自動血球計数CRP測定装置について

臨床検査は、赤血球や白血球などを測定する血球計数、コレステロール、血糖値などの生化学分析、CRPなどの免疫血清検査に分類されます。当社の血液検査装置は、世界で唯一の血球とCRPの同時測定が特長で、炎症マーカーとなる白血球とCRPを測定することで細菌・カビやウイルスによる炎症性の疾患などの診断に活用され、主に小児科の個人病院へ提供しています。当該製品はその特長をそのままに、中国で主流の白血球の細胞種を5分類まで測定するニーズにも対応します。5分類することで、細胞種の割合によってアレルギー疾患や白血病などのスクリーニングにも活用できます。また、従来は血球計数装置とCRP測定装置の2台を用いていた測定を、中国市場では唯一、当該製品では1台で世界最短の3分で測定ができ、測定にかかる省力化と時間短縮につながります。

 

自動血球計数CRP測定装置「Pentra MS CRP」の特長について

  1. 1台の装置でアレルギー・白血病など炎症疾患を精密測定
    当社の固有の技術により、遠心分離などの前処理をせずに全血で血球計数とCRP濃度測定が可能。当該製品が初めて白血球5分類に対応する装置。
  2. 1滴の血液で測定時間は3分、世界最少・最短の血液検査装置
    装置の内部を血液サンプリング/測定/洗浄の機械動作を最適化する機構に改良し、測定時間が3分。同時に検体吸引量は35マイクロリットルとわずかな採血量で検査できます。

 

主な仕様

測定項目27項目(白血球5分類を含む血算26項目+CRP濃度)
採 血 量35マイクロリットル
測定時間約3分
外形寸法・質量445(W)×580(D)×516(H)ミリメートル・約38キログラム
測定原理血球計数=電気抵抗法(赤血球数、白血球数、ヘマトクリット、血小板数)
白血球5分類=電気抵抗法および光透過度法
CRP濃度=ラテックス免疫比濁rate法

 

ご参考

  • 中国・上海工場
    社名:堀場儀器(上海)有限公司 会社概要
    住所:上海市嘉定区安亭鎮泰涛路200号
    責任者:総経理 中村忠生(当社 ジュニアコーポレートオフィサー)
    規模:12,600m2/建屋面積:6,400m2/延べ床面積:9,400m2
    生産品目:医用試薬・医用機器、半導体向け部品、大型自動車計測機器、水質測定装置、煙道排ガス測定装置、その他の消耗品・センサー
  • CRP(C‐Reactive Protein/C反応性たんぱく)
    体内に急性の炎症や組織の損傷があるときに、血清中に増えるたんぱく質の一種で代表的な炎症マーカー。組織や細胞の炎症を早く鋭敏に反応し、その度合いを知ることができる。また、病態の改善の際には速やかに減少するので、病態の診断、予後の診断、治療効果の観察に役立つ。