薬品・薬剤の照合など、品質管理機能を強化

|   ニュースリリース

(株)堀場製作所(社長・堀場 厚)は、良否判定項目を分析結果と共に印字できるなど、従来主力の研究開発分野の他に、品質管理分野で必要な機能を強化したFT-IR(FT−730形)を開発しました。
標準価格:400万円
発 売 日:11月15日
販売目標台数:100台(次年度は150台)
販売ルート:日製産業株式会社(本社・東京,社長・石川 昭夫)

物質の化学組成を瞬時に分析するフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)は、化学物質の研究開発に広く使われています。一方、ISO9000(品質保証の国際規格)やPL法などにみられる品質管理の基準化が進む中で、生産や検査工程といった分野でも、手分析に代わってFT-IRの市場が拡大しています。今回の製品は、印刷フォーマットを顧客が報告書レベルまで自由に設計できる機能を入れ、商品の良否判定といった品質管理に必要な項目を、測定結果と共に印刷。迅速な判定結果が求められる品質管理分野に対応します。また、最大26個の試料セット可能のオートサンプラ(自動試料搬送器)など自動化対応のオプションや、微小部分分析用の赤外顕微鏡接続可能など、高い拡張性を持っています。性能面でも、高分解能(0.5カイザー),高S/N(1万:1)と上位機種同等です。なお、分解能1カイザーのFT-720形(350万円)および、同2カイザーの同-710形(280万円)も同時発売します。

〈 主 な 特 長 〉

  1. 品質管理分野に対応
    顧客ごとの品質管理に合わせた報告書の印刷フォーマットを自由に設計できる。
  2. 高分解能,高S/Nの性能で400万円
    最高0.5カイザー,S(信号)/N(ノイズ)1万:1と高性能を持つ普及価格機種。
  3. 自動化分析に対応
    オプションで最大26個セット可能のオートサンプラを用意

〈 主 な 仕 様 〉
測定波数範囲:7700〜350カイザー(cm-1)
分 解 能:最高0.5カイザー(cm-1)
外形寸法:(本体)560×567×270mm
質  量:29Kg


(お客様からのお問い合わせ先)
(株)堀場製作所 CS部
〒601京都市南区吉祥院宮の東町2
TEL.0120-37-6045(フリーダイヤル)
(本リリース内容については広報室まで)
→広報室(内線2011/075−315−6776直通)


参考資料

フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)について
医薬品,石油化学製品(樹脂,フィルム,ゴム等)の化学組成を数十秒と瞬時に解析できる。研究開発分野で主に使われているが、低価格化に伴い、原料薬品や製造物の品質管理分野にも普及してきている。
赤外領域(2.5〜25ミクロン)の光を物質に照射すると、その物質の化学構造毎に決まったパターンの吸収特性により特有の波形(赤外吸収スペクトル)が得られる。この特有の波形を解析することによって、物質の化学構造を推定する。

従来、FT-IRを品質管理分野で使用する時の問題点
品質管理基準と照らし合わせて測定結果を評価するといった作業は、顧客が独自に評価用ソフトウエアを作成または特注する必要がある。例えば、薬品・薬剤の評価を行う場合、薬品ごとに異なる膨大な品質管理データを必要とし、照合試験には多くの作業がともなう。

今回の新製品(FT−730形)について
製品コードや製品名の登録など設定入力をはじめ、定量計算が可能な自動分析ソフトを標準装備。さらに、単に分析結果にとどまらず、報告書レベルまで自由に印刷フォーマットを設計できる機能(印刷レイアウト機能)も搭載と、品質管理機能を強化した装置となっている。特に今回、薬品の成分データ管理の支援機能で照合試験を簡単に行える薬品管理用ソフトをオプションで用意。さらに、新開発の光源により、S(信号)/N(ノイズ)が従来比2倍(1万:1)に向上。心臓部の光学系に光路がズレない機構を採用することで、分解能0.5カイザーと高精度を実現。品質管理用機能を標準装備し、かつ高性能を、この価格帯(400万円)で実現。

用途例

高分子分野−各種フィルム,高分子材料の分析

薬品分野−医薬品,生体膜,添加物の分析

半導体分野−化合物半導体結晶中の酸素・炭素などの軽元素不純物の定性・定量分析

金属分野−金属表面の塗装剤の分析

無機材料分野−セラミックス,触媒の分析


単位 カイザー(cm-1)について
波数を表す単位に用いられる。1cmの長さの中にある光の波の数を表す。波長の場合、数が小さいほど波長が長い。