[報道発表] 掲載内容は発表日時点の情報です。

自動全窒素・全りん測定装置を(株)コスと共同開発

2001年10月25日


(株)堀場製作所(本社・京都市、社長・堀場厚)と、水質計測機器の子会社の(株)コス(本社・京都市、社長・ 峰野 幸弘)は、下水処理場や工場などからの排水の水質管理に用いる自動全窒素・全りん測定装置を共同開発し、11月1日よりそれぞれのルートで受注開始します。この度発売する自動全窒素・全りん測定装置は、使い勝手を重視し、ランニングコストの低減やメンテナンス性の向上をはかりました。製品開発から営業面にわたり両社の得意分野を生かし、水質計測事業のグループ力を結集して、第5次水質総量規制の対象事業所における拡販・ラインナップを強化していきます。



<背景>
水質総量規制は、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海といった閉鎖性海域で汚濁防止のために昭和54年(1979年)以来、排水中の汚濁物質の総量が、4次にわたり規制されてきました。しかし赤潮やアオコ等の問題はいまだに解決されないため、平成16年度(2004年)を目標年度とした第5次水質総量規制では、従来までの規制対象項目CODに加え、全窒素および全りん濃度の2項目が追加される予定です。特に、排水量が400m3/日以上の事業所では、CODに加え全窒素、全りんを自動計測装置で測定することが必要になります。規制地域にある排水量400m3/日以上の事業所は、約3000事業所あまりと推定されています。このような背景から、自動全窒素・全りん計測装置への需要は、第5次水質総量規制にあわせて、2004年までの期間に高まります。

<本製品について>
本製品は、使い易さに重点を置いて開発した製品です。測定機構を改良することで従来製品より試薬消費量は約1/10に、また測定に使用する純水の消費量は従来製品の1ヶ月あたり約700Lから約50Lへと大幅に削減し、ランニングコストの低減やメンテナンス性の向上を実現したものです。環境面でも、消費電力を約1/2に、廃液量も約1/5と環境負荷低減に配慮した製品となっています。

<今後の展開>
水質総量規制では、近年全国的に数が増えているクアハウスや総合病院等の従来まで自動計測装置にあまりなじみがなかった施設も規制対象事業所となります。当社では、この新たな市場に合わせて、従来までの実績に加え、メンテナンス性を向上した新製品を順次発売していきます。また、水質計測機器の専門子会社、(株)コスの直営業による顧客ニーズの把握、営業面のノウハウを融合することでグループ力を結集し、第5次水質総量規制にて必要とされる全窒素・全りん自動計測器市場でNo.1の国内シェアを目指します。


<主な特長>

  1. 業界No.1の低ランニングコスト
    測定機構の簡素化や、測定に用いる試料の少量化を行なうことで、試薬消費量従来比約1/10、純水使用量従来比約1/14を実現しました。また、交換部品の低減も実現しています。

  2. 従来品よりコンパクトサイズ
    従来製品では、別置きだった廃液タンクや純水タンクを架台に内蔵し、また質量を従来の150kgから80kgへとコンパクトにすることで、省スペースでの設置が可能になりました。このため、屋外設置用ケース架台に、自動全窒素・全りん測定装置と共にCODを簡易に測定するUV計を収納することができ、第5次水質総量規制で必要な、全窒素・全りん・COD (UV計)の3成分自動計測器を一つにまとめることができます。

  3. 負荷量演算機能を内蔵
    装置本体に負荷量演算機能を内蔵しており、流量計からの測定値を取り込むことで水質総量規制にて必要な全窒素・全りんの汚濁負荷量を演算します。




<標準価格>500万円

<受注開始>11月1日

<販売目標台数>(発売よりの2社合計)
初年度:100台 次年度:400台

<主な仕様>
測定範囲(以下の範囲で選択)
(全窒素)最小レンジ:0〜2 mg/L 最大レンジ:0〜1000 mg/L
(全りん)最小レンジ:0〜0.5 mg/L 最大レンジ:0〜250 mg/L
測定時間:60分
外形寸法:460(W)×380(D)×1500(H)mm
質 量:約80kg


参考資料


<ご参考>

  • 株式会社 コス
    分析計専業メーカーである(株)堀場製作所のグループ会社で、同社のデバイスやセンサ・ユニット部品等の販売を目的に設立。その後、「水質を測る」を柱に、環境・半導体・食品・ライフライン・農林水産と対象分野を拡大している。従来まで、これら計測事業と、堀場製作所製品のサービス部門の2つの部門から成っていたが、昨春から、堀場製作所の水質計測事業の移管を受けると同時に、サービス部門をグループのサービス新会社に集約し、新体制となった。今後は、同社のもつ顧客・営業力と、堀場製作所からの技術シーズを融合させ、水質監視装置などのエコビジネスへ注力していく。
    水質計測機器専門企業としての体制をより強固にし、水計測のデファクトスタンダードをねらう。

    • 設立年月日:1975年3月28日/資本金:2億5千万円(堀場製作所 全額出資)
    • 社長:峰野 幸弘/社員数:122名/売上高:35億円(2000年度実績)

  • 窒素、りん
    水中の窒素、りん量が増加すると、プランクトンなどの水中植物の繁殖を促し、富栄養化につながる。富栄養化は赤潮やアオコの発生源とされている。また水中ではアンモニアやりん酸等様々な形態で存在するが、今回の第5次総量規制では、水中に含まれる全ての窒素・りん分(全窒素、全りん)が規制項目に追加される予定である。

  • 当社の廃水処理監視用測定の実績
    当社は、昭和51年(1976年)から自動COD測定装置やUV計などの排水処理監視用測定装置を手がけ、この分野では約30%の市場シェアを持っています。また、平成7年(1995年)より自動窒素・りん測定装置を発売していますが、独自に開発した測定原理、紫外線酸化分解法を採用しており、ランニングコストが低く、保守性に優れることが評価され、社団法人日本水環境学会より、平成10年(1998年)に技術賞を頂いています。

  • 水質総量規制
    閉鎖性水域を対象に実施されている規制であり、公共水域へ流れ込む排水に含まれる水質汚濁物質を汚濁物質の濃度だけではなく、汚濁物質の排出総量である汚濁負荷量をもって規制する方法。汚濁負荷量を求めるため、水質総量規制では、汚濁物質の濃度と共に排水流量を測定することが必要となる。今回の第5次水質総量規制では、従来までの規制対象項目CODに加え、全窒素、全りん濃度の2項目が追加されている。規制は、東京湾・伊勢湾・瀬戸内海の関連地域で実施される。規制対象となる事業所数は、約15000箇所にのぼるとされ、特に排水量が400m3/日以上の約3000箇所の事業所では、COD、全窒素、全りんを自動計測装置で測定することが必要となる

  • COD
    Chemical Oxygen Demandの略で、日本語では化学的酸素要求量と呼ばれる。水中の有機物含有量の指標の一つとして用いられ、COD値が大きいほど水質汚濁が大きいといえる。

  • UV計
    排水中の有機性汚濁物質を紫外線の吸光度から測定する装置。試薬を使わないためメンテナンス性に優れ、価格もCOD計より安価。測定結果からCOD値を換算することができるため、CODの簡易測定装置として用いることができる。

  • 紫外線酸化分解法(本新製品の測定原理)
    当社が、他社に先駆けて開発し、自動全窒素・全りん測定装置に採用した測定手法。水中に含まれる窒素化合物やりん化合物を紫外線のエネルギーを使って分解するため、高温・高圧の分解器が不要となり、低温・低圧で分解できる手法である。部品の長寿命化、試薬の少量化、消費電力の低減等のメリットがある。

  • (社)日本水環境学会
    水質に関する研究会の促進や、有意義な活動・技術開発への顕彰など、水環境保全において幅広い活動を行う社団法人。平成10年(1996年)、当社の「紫外線酸化分解法を用いた全窒素・全りん測定装置」が同会から技術賞を受賞した。