欧州環境指令に専用機を投入! 電子部品の有害物質を業界最高感度で検出

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当社は、電子部品に含まれるカドミウムや鉛などの有害元素を検出する、蛍光X線検査装置の新型「XGT−1000WR」を開発、11月20日より受注を開始します。
最新のX線ビーム技術により、業界で最も微小な領域(1.2mm)の有害元素を最高感度(カドミウム感度2ppm)で検出可能です。EU(欧州連合)で発効される電気・電子機器に含まれる有害物質の使用規制を受け、急速に高まる分析ニーズに合わせて開発した、現場での品質管理に最適な専用機です。今後急拡大が予想される電子部品の検査市場に、高性能かつ簡単操作の本製品を投入することで、同市場シェアNo1を目指します。

<背景/欧州指令>
環境先進国の欧州では、1国のみならず欧州連合(EU)で共通の規制を「欧州指令」として発効しています。電子・電気機器分野では廃製品のリサイクル(#1)と特定有害物質の使用規制(#2)をメーカーに義務づける欧州指令が年内にも成立する見通しで、欧州に製品を輸出している電機メーカーは、将来国際標準に発展する可能性も見越しその対応を急いでいます。はんだの鉛フリー化や環境負荷の少ない樹脂の採用など、すでに欧州指令に対応した取り組みを進める企業も多く、この動きは産業界全体に拡大しています。
(#1)「電気・電子機器廃棄物指令(WEEE)」
(#2)「特定有害物質使用制限指令(RoHS)」

<有害物質の検出>
最近の電気製品や電子機器は無数の微小な部品から構成され、その調達先も世界各地に広がっているため、有害元素の検出は電気メーカーのみならず、部品メーカーにも波及し、各社で部品の受入検査も含めた検査体制の構築を進めています。
有害元素の含有量の測定には精度の良いプラズマ発光分析装置(ICP)を使用しますが、部品を溶かす前処理や分析ノウハウが必要で現場での全数検査には適しません。そこで通常は1日200検体程度の測定が可能なエネルギー分散型蛍光X線分析装置(XRF)を使って含有レベルを判定し、必要に応じてICPで精密な測定をしています。

<本製品について>
本製品は、特に小型化が進む電子部品に含まれる有害元素を手間なく簡単に測定したいという市場ニーズに応えるために開発した専用機です。従来の汎用のXRF装置では、測定に3mm以上の大きさの試料が必要でしたが、最近の電子部品は微小化が進み、1mm程度の小さな試料を測定するためには10個以上集めて並べる手間をかけるか、測定時間を10倍以上に延ばす必要がありました。またこれらの手間をかけても検出感度は通常以下しか得られませんでした。
今回の専用機は、長年のX線技術を応用しX線ビームの強度を約10倍高めたことで、業界で最も微小な領域(1.2mm)の有害物質を最高感度(カドミウム感度2ppm)で検出可能です。また、CCDカメラの画像を見ながら試料の測定ポイントを簡単に指定したり、試料室を大型化することで長い配線やテレビ枠などの試料も切断することなくそのまま測定できるなど、現場での操作性を考慮して開発されました。当社では、今後急拡大が予想される電子部品の検査市場に、従来の汎用のXRF装置にない特徴を持った専用機を投入することで、同市場シェアNo1を目指します。

<主な特徴>

  1. 業界一、微小領域(1.2mm)・最高感度(カドミウム感度2ppm)で検出可能試料をたくさん集める手間が要らない
  2. 簡単操作
    • 試料をセットし測定ボタンを押すだけ→誰でも同じ測定結果
    • CCDカメラ(倍率50倍)搭載で、測定ポイントの目視指定が簡単
  3. 配線〜TV枠まで、そのまま分析
  4. 大型の試料も切らずにそのまま測定可能


<用途例>
家電、IT機器、玩具、電動工具、自動販売機などの部品中に含まれる有害元素の検出

<予定価格>
1050万円〜1200万円

<販売目標台数>
初年度20台

<主な仕様>
主要測定元素:カドミウム(Cd)、鉛(Pb)
測定元素:シリコン(Si)〜ウラン(U)
分析領域:直径1.2mm
検出下限:2ppm(カドミウム)
外形寸法:610(W)×750(D)×500(H)mm
質量:約250kg

 

参考資料

<ご参考>

  • 測定原理
    物質にX線を照射すると、物質の元素に固有のX線が放射される。このX線を蛍光X線という。蛍光X線は元素によって異なったエネルギーを持っており、その分布からどんな元素が含まれているか、また強度から元素の分量を知ることができる。
     
  • 欧州指令
    「電気・電子機器廃棄物指令(WEEE)」=Waste Electrical and Electronic Equipment
    廃製品のリサイクルに関する指令。メーカーは自社製品を適切に処理し、新製品では設計・製造を含め廃棄に配慮することが求められる。
    「特定有害物質使用制限指令(RoHS)」=Restriction of Hazardous Substances
    電気・電子機器における特定有害物質の使用規制。使用禁止される物質はカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、六価クロム(Cr)、ポリ臭化ビフェニール(PBB)、ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)。
     
  • プラズマ発光分析装置
    (ICP:Inductively Coupled Plasma‐Atomi Emission Spectrometer)
    物質の炎色反応を利用し、その光から物質中の元素の種類と量を分析する装置。極微量の多元素を一斉に分析できるのが特徴。材料中の不純物分析や工場廃液等の環境測定に利用されている。