自動血球計数CRP測定装置「LC−178CRP」発売

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(株)堀場製作所は、赤血球や白血球など血液中の血球成分を測定する血球計数と、炎症の指標となるCRP(C反応性たんぱく)濃度の2つの測定を一体化させた自動血球計数CRP測定装置の新型「LC−178CRP」
をこのほど発売します。従来比2倍のCRP濃度測定上限(20mg/dL)を実現し、肺炎など高いCRP濃度を示す可能性がある疾患の即時診断に役立ちます。また、手術の術後経過や、緊急搬送された患者の様態把握など、より高度な医療での貢献が期待できます。なお、当社の血球計数とCRP濃度を同時に測定する技術は、本年5月に(社)発明協会が主催する全国発明表彰で「日本弁理士会会長賞」を受賞しており、本製品はその受賞内容を活かして開発した製品です。

本製品は、白血球3分類を含む血球計数(演算項目を含めた18項目)と、CRP濃度を1台で同時測定します。血液は、赤血球、血小板、白血球の血球成分と、CRP(C反応性タンパク)などの成分が含まれる血清で構成されています。免疫を役割とする白血球は、リンパ球、単核球、顆粒球に分類されます。血液中の白血球数は、病気や感染などの疾患があれば短時間に増加します。また、CRP濃度が白血球の増加から遅れて上昇します。
白血球数とCRP濃度を同時に観察すれば、感染の重さや進行度を判断するデータが得られ、症状がさらに悪化するのか、反対に沈静化に向かっているのかといった、病期の判断が可能となり、効果的で的確な治療方針が立てられます。さらに白血球の構成成分である顆粒球とリンパ球は、細菌感染とウイルス感染で構成比率が変化するため各成分の構成比率を調べれば、感染の種類の指標になります。また、その増減や比率から、感染症の病原体の推定に寄与します。
このように、白血球3分類を含む血球計数とCRP濃度測定の2つを同時に検査することにより、病原体の推定や疾患状態の判断の手助けにつながる重要なデータが得られます。

小型で設置場所をとらず測定は4分30秒と短時間のため、患者にとっても、診察をうけたその場で測定結果に基づく的確な診断を受けることができ、検査結果のために数日後、改めて来院する必要がなくなります。現在医療になくてはならない血液検査と免疫血清検査を組み合わせた、医療現場での迅速な診断補助に貢献する製品です。

<主な特徴>

  1. CRP濃度の測定上限20mg/dL(当社従来製品の2倍)。
    高濃度検体も希釈なしにダイレクト測定。
  2. サンプル一つで、血球計数とCRPを同時測定。
    全血検体で測定可能。遠心分離など前処理が不要。
  3. 全血18μLの微量測定。耳たぶや指先からの採血で検査可能。小児にやさしい。


<標準価格>556万5000円(税込)
<販売目標台数>初年度 500台(国内)
<主な仕様>
測定項目:19項目(白血球3分類を含む血算18項目+CRP濃度)
赤血球数,白血球数,血小板数,ヘモグロビン濃度,ヘマトクリット,平均赤血球容積,平均赤血球ヘモグロビン量,平均赤血球ヘモグロビン濃度,リンパ球数,リンパ球比率,単核球数,単核球比率,顆粒球数,顆粒球比率,赤血球粒度分布幅,血小板粒度分布幅,血小板クリット,平均血小板容積,
CRP濃度
測定時間:270秒 (注記:血算のみの場合は75秒)
外形寸法:300(W)×410(H)×400(D)mm ,約18Kg


参考資料

<測定原理>

  • 電気抵抗法(赤血球数、白血球数、ヘマトクリット、血小板数)
    血球が電気の流れている小孔(アパーチャー)を通過する際の電気抵抗変化から数を計る。また、抵抗値から血球の大きさを求め、血液球の種類ごとに分類し積算する。
  • ラテックス免疫比濁rate法(CRP)
    血液に含まれるCRPを凝集試薬で、凝集塊をつくり(抗原抗体反応)光をあて、透過の度合から濃度を求める。