HORIBAグループ子会社 仏企業を買収

ナノバイオ技術に進出
最先端医療や新薬など将来市場へ布石

当社のグループ会社で、分光分析分野で世界トップ企業であるホリバ・ジョバンイボン社(本社:フランス)は、たんぱく質のような生体分子のナノレベルでの反応をリアルタイムで計測するための装置を製造・販売するベンチャー企業、ジェノプティクス社(本社:フランス)を4月17日付で買収しました。
この装置はイメージングSPR装置(表面プラズモン共鳴装置)と呼ばれ、日米欧の大学などの研究機関で、バイオ関連の基礎研究領域に利用されていますが、今後は、創薬や医療などの現場での実用化への応用によって大幅な需要増を見込んでいます。
SPR装置が製品群に加わる事で、従来から強みを持つ生化学分野に加え、新たに生物学や創薬など、ライフサイエンス分野のナノバイオ技術研究にも展開し、新たな潜在ニーズを開拓します。

 

買収の背景

ホリバ・ジョバンイボン社は、2007年1月に今回買収したジェノプティクス社と販売代理店契約を締結し、SPR装置を大学などの研究機関を中心に、主に欧州にて販売してきました。
かねてから、市場が急速に拡大すると見込まれるライフサイエンス分野への進出を模索しており、同分野の要素技術の一つとなるSPR装置のノウハウを取得する事で、製造・販売・サービスまでトータルソリューションの提供が可能となり、急速に拡大している市場でのシェア獲得につなげていきます。なお、現在のSPR装置の市場規模は年間100億円と言われており、現在、研究が進められている最先端技術が、臨床検査領域に拡大すれば10倍の市場に成長すると期待されています。

 

SPR(表面プラズモン共鳴)装置について

SPR装置は、生体分子が特定の分子とのみ結合する性質を利用して、生体分子の検出を行なうバイオセンサーの一種です。
表面に金コートされたプリズムの上に、抗体などの既知の生体分子を植え付け、その上に試料を流し込むと、捜し求めている生体分子(病原菌など)があれば、植えつけられた分子に結合します。そこにプリズムの裏面から光を照射し続けると、生体分子の結合により光の反射条件が変化します。その反射光を測定する事で生体分子の種類を特定する事ができます。
この技術は最先端の医療現場にも応用され、患者個々人にあった治療法を行うテーラーメード医療に役立つと期待されています。

 

●ジェノプティクス社の概要

パリ近郊の工科大学院、アンスティテュート・ドォプティック(Institute d'Optic)の大学発ベンチャーとして設立された。SPR装置や装置の消耗品として使用されるバイオチップへのたんぱく質固定化技術などを開発してきた。研究機関や大学との提携を通じて活動を進めてきた開発型企業。

設立:2001年
社長:P.ケルーレダン氏 (P. Kerouredan)
住所:フランス オルセー市
2008年度売上:58万6000ユーロ(約7,000万円)
従業員:11名

 

●ホリバ・ジョバンイボン社の概要

グレーティングや分光器に関して高い技術を持ち、光学応用製品の開発から販売まで行っている1942年設立の歴史のある世界的ブランド。1997年に買収し当社グループに入る。光を応用した分光分析技術において当社グループの中核を担い、その技術力とブランドで世界をリードする存在で、世界の最先端研究者に高く評価されている。特に最先端研究に不可欠な微細・微小の分光分析装置では、世界一のラインアップと技術を有している。
今月、同社社長が当社の常務執行役員にも就任するなど、当社グループ内中核企業のひとつ。