はかることの大切さや科学のおもしろさを多くの子どもたちに伝えたい。
そんなおもいで、HORIBAでは「はかるとわかる」をテーマに、HORIBAの社員が各所へ出向き、子どもたちに実際の装置を使って体験し、学んでもらう出前授業を実施しています。今回はHORIBAグループで水・液体計測事業を担う株式会社堀場アドバンスドテクノが、長崎県、五島列島最北端の宇久島にある、長崎県立宇久高等学校(以下、宇久高等学校)を9月10、11日に訪問し、出前授業を実施しました。宇久島(うくじま)は佐世保港から高速船で約2時間の場所に位置し、人口約1,800人の海に囲まれた自然豊かな場所です。宇久高等学校の全校生徒は9名で、今回は1~2年生の5名に、「島の自然を生かした測定」をテーマに授業しました。授業では、HORIBAのマルチ水質チェッカーU-52、コンパクト型 pH・水質分析計 LAQUAtwin(ラクアツイン)シリーズ、マイクロプラスチック簡易観察キット「ぷらウォッチ®」を使い、海水や食品、飲料水など身近なものの水質、海岸の砂に含まれるマイクロプラスチックを測定しました。今まで分析計を触ったことがない生徒さんばかりで最初は不安な様子でしたが、実際に操作してもらうと「機器の操作が思ったより簡単」と分析計を慣れた手つきで操作していました。自分の目と手を使った測定を通して「はかる」ことで分かる喜びと楽しさを知ってもらい、「科学っておもしろいな」と感じてもらえたようです。
宇久島には天然のウナギやメダカ、ドジョウなど今では希少な生き物たちが暮らしています。全長600mに渡る宇久島最大の大浜海岸で海水を汲み水質を測定しました。一つの測定装置で多様な項目(pHや溶存酸素などの最大11項目)を瞬時に測定できることに驚いていました。事前に私たちが測定した桂川(京都府)や淀川(大阪府)の測定値と比較し、河川水と海水の違いや、川や地域ごとにどのような特徴があるか議論をしました。
コンパクト型pH・水質分析計LAQUAtwinはpH、電気伝導率、Na(ナトリウム)イオン、K(カリウム)イオン、Ca(カルシウム)イオン、F(フッ化物)イオン、塩分を測定できる分析計です。水槽の水や水道水、飲料水(スポーツ飲料、コーヒー、ジュース)、化粧水、日焼け止め、歯磨き粉を測定しました。校内の水槽ではウニを飼育されており、水槽の塩分とpHが海水と近いかを確認しました。さらに、商品に記載されている成分表や化学式、味から測定値を予測し考察をしてもらいました。他にも、未知の液体のpHやイオン濃度を調べ、その液体が何かを当てる実験も実施しました。
「測定してみることで、pHやイオンに興味を持てたので、他の物も調べてみたいと思った」、「酸っぱい味や苦い味をpHという指標で見たり、成分表から値を予測して測定したりすることで、味が値としてどう出るのかが分かり勉強になった」と、いつも飲んでいるものや体に触れるものを測定することで、化学や分析に興味を持ってもらうことができました。
大浜海岸の海は海底まで見えるほど透き通っており、長崎県下一の透明度を誇るそうです。また、環境省の快水浴場百選にも選ばれており、海に飛び込みたくなるほど美しかったです。
海岸で採取した砂からマイクロプラスチックは検出されませんでした。一方で、海岸には海洋を漂流して島に打ち上げられたペットボトルやプラスチック容器などが見られ、海洋プラスチック問題を考えるきっかけになりました。
貴重な機会を作ってくださった宇久高等学校の皆様、ありがとうございました。
宇久島の人や自然、食に触れ、宇久島の魅力を実感し、豊かな自然を守っていきたいと感じました。
今回の出前授業について宇久高等学校のホームページでも紹介されていますので、ぜひご覧ください。
https://www2.news.ed.jp/bunrui/syoukai/topics/ukukotopics/238418.html
今後もHORIBAは、未来の子どもたちへの教育を通じて、はかる楽しさを伝えていきます。