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■複合解析によるレトルトパックフィルム越しの異物の同定
蛍光X線では元素を、ラマン分光では分子構造を解析することができます。
金属は蛍光X線で同定できますが、分子構造を持たないのでラマンスペクトルは得られません。
赤錆などの酸化物は蛍光X線では金属元素情報しかわかりませんが、ラマンス測定ではFe2O3という様に酸化物の状態がわかります。
これらの2つの装置を組み合わせることによって、さまざまな異物の同定が可能となります。
■染色処理なしでナノマテリアルの細胞上分布を可視化
一般的にナノ粒子の分布は光学画像では観察できないため、蛍光染色などを実施します。
化学結合情報で取得できるラマン分光を用いて、染色せずに酸化チタン(TiO2)の細胞内分布のイメージングを行いました。
その結果、ラマンイメージング像からTiO2が顆粒状になって細胞上に散逸的に分布していることがわかりました。
■花崗岩中含有鉱物の分布
X線回折等による分析と比較してサンプリングの手間が少なく、非破壊分析が得意なラマン分光装置を用いて得られたスペクトル情報から多変量解析を用いた成分抽出を行い、含有鉱物の分布測定を行いました。
特に黒雲母においては、2種類の構造がみられました。
■栄養補助食品中に含まれる鉄化合物の分布を形態ごとに把握
鉄の酸化物は一般的にHematite(Fe2O3)[三二酸化鉄]とMagnetite(Fe3O4)[四三酸化鉄]の2 種類の存在形態が知られており、形態によって溶解度や体内吸収率、体内転流速度などが変わる可能性が考えられます。
ラマンマッピング分析を実施することで、それぞれの形態の分布情報を把握することが可能です。
■光の回折限界を超える空間分解能を実現するTERS測定
金属板上にカーボンナノチューブ、酸化グラフェンを配置局在プラズモンを励起する金プローブでTERSイメージング測定を行いました。
いずれのスペクトルも明確なD-band,Gーbandが取得され、各強度分布でイメージング測定を行いました。
この結果から10nm径のカーボンナノチューブの検出が可能という事が示されました。
■AFM測定とラマン分光測定
原子間力顕微鏡(AFM)とラマン分光統合装置を用いることにより、AFM測定とラマン分光測定を試料を移動せずに測定が可能でです。
照射レーザー光のアライメント機構などにより容易に操作でき、高速データ処理、高い信頼性を実現したナノイメージング測定ができます。
■粉末試料を均一に分散し、粒子ごとの成分・結晶性や粒子径分布を解析
粉体の顕微観察において、粉体が均一に分散した試料を用意することは困難ですが、真空分散ユニットを使用することで容易に試料を均一に分散できます。
その粒子を解析ソフト『Particle Finder』で位置座標検出し、自動で粒子ごとのラマン測定を実施することで、成分や結晶性ごとに分類された粒子データを取得することができます。
また、粒子のアスペクト比、真円度などの統計パラメータから、粒子径分布のデータを併せて取得できます。
■ラマンマイクロプローブにより、グリセリンの皮膚への浸透を評価
化粧品などの皮膚浸透評価への応用を目指し、皮膚深さ方向の保湿成分(グリセリン)分布の経時変化を、ラマンマイクロプローブを用いて評価しました。
相対ラマン強度の変化により、時間の経過に伴いグリセリンが皮膚を浸透している様子が確認することができました。
■液体粒子の分散状態をラマン分光法で可視化
化粧品・医薬品などでよく使われるエマルション状の試料において、油滴の時間経過に伴う状態変化をラマン分光装置を用いてイメージング分析しました。
油滴を均一に分散させた後、静置させると油滴が浮上し、凝集・合一化していく様子がわかります。
このような液体試料であってもラマン分光装置を用いることにより、各種状態を可視化することができます。
■ウイルス種のスペクトル解析
診断や公衆衛生分野でのウイルス1粒子判別検査を目指し、異なる種類のウイルスをラマン分光を用いて比較、ウイルス種によるスペクトルの違いを確認できました。
■分化度の測定
がん細胞の悪性良性は、細胞の分化度(未分化型、高分化型)が関連しています。分化状態を判断する手法は細胞を破壊する化学的手法が使われていますが、単一の細胞ではなく複数細胞の平均化した値となることや、細胞を破壊するため、非破壊での測定が望まれています。ラマンスペクトルおよび主成分分析により、生きたままのがん細胞の分化度の測定が可能です。