同志社ジュニア・クリエイティブ科学アカデミーは、理科や数学などに関心を持つ小・中学生の探究心を伸ばし、将来の科学者や技術者につながる力を育てるプログラムです。
学校法人同志社 同志社一貫教育探求センターが運営し、大学や企業と連携しながら、学校の授業だけでは触れる機会が限られる、本格的な科学や技術を体験する場を提供しています。そのなかでHORIBAは連携企業の一社として、施設見学や分析・計測装置を使った体験を通じて、科学のおもしろさを伝えています。
今回は、小学5年生から中学2年生までの児童・生徒14名、学生メンター3名、教員4名の計21名が、水質・液体計測装置の生産現場や分析ラボを見学。分析・計測装置を使って、アクセサリーの素材や、食品に含まれる目に見えない粒の大きさや分布を調べるワークショップに挑戦しました。
最初に訪れたのは、水質・液体計測装置の開発・生産フロアです。
ここでは、HORIBAの創業製品であるpHメーターをはじめ、工場や下水処理場、半導体工場などで使われる水質計測装置を見学しました。
pHメーターのガラス電極の先端部分は、熱でガラスを溶かし、息を吹き込んでドーム状に成形します。
加熱する時間やガラスの量、息を吹き込む強さや時間には、熟練した技術が必要です。HORIBAでは、職人が培ってきた感覚や経験を時間や圧力などのデータに置き換え、自動化にも生かしています。
電極の組立や検査では、ロボットも活躍しています。人の手による細かな技術と、ロボットの安定した動きを組み合わせることで、高品質な製品を生み出しています。
参加者からは、「ガラス電極式pHメーターのガラスの部分を人の手で作っていたことに驚いた」という感想が寄せられ、人の技能を機械に伝える仕組みや、職人とロボットが協力する生産現場の見学は、参加者にとって印象的なものになりました。
次に向かったのは、堀場テクノサービス本社ビル内にある分析ラボ「Analytical Solution Plaza(ASP)」です。
ASPには、食品、半導体、環境、医療、文化財など、さまざまな分野で使われる分析・計測装置が並んでいます。HORIBAが分析・計測技術で貢献する主な分野として、「エネルギー・環境」「バイオ・ヘルスケア」「先端材料・半導体」の3つの分野を紹介しました。
エントランスでは、HORIBAの創業製品である初期のガラス電極式pHメーターも展示されています。この装置は、創業者の堀場雅夫が第二次世界大戦後間もない1950年に開発した国産初のガラス電極式pHメーターです。
戦後の食糧難の時代には、農作物を育てるための化学肥料の製造や品質管理に使用されました。現在のpHメーターの生産現場から創業期の製品までを通して、HORIBAの「はかる」技術の原点と、その歩みを知ってもらいました。
さらに、HORIBAが小惑星探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星リュウグウの試料分析に参画したことや、砂の中のマイクロプラスチックを観察できるキットについても紹介しました。
参加者からは、「マイクロプラスチックを見分ける技術を生かしたキットがあることに、とてもびっくりしました」という声がありました。身近な環境問題から宇宙探査まで、「はかる」技術が活躍する場所の広さに驚いた参加者も多かったようです。
施設見学の後は、「身の回りのものをはかろう」をテーマに、蛍光X線分析コースと粒子径分析コースの2チームに分かれてワークショップを行いました。
蛍光X線分析装置は、アクセサリーなどの素材分析に加え、文化財や美術品を壊さずに調べるためにも使われています。絵の具に含まれる元素を調べることで、作品の制作時期や過去の修復について考える手がかりが得られます。
また、粒子径分布測定装置は、食品や化粧品の開発・品質管理などに活用されています。
参加者は、まず見た目などの感覚から結果を予想。その後、実際に装置で測定し、予想と結果を比較しました。
蛍光X線分析コースでは、蛍光X線分析装置MESA-50を使用して、指輪やブレスレットの素材を構成する元素を調べました。
まず、アクセサリーの色や光沢、重さなどから、「どれが高価そうか」を予想しました。その後、装置でX線を照射し、含まれている元素を分析しました。
蛍光X線分析装置は、X線を照射すると元素ごとに異なる信号を発する特性を利用して、物質の中にどのような元素が含まれているかを調べます。試料を壊さずに分析できるため、大切なアクセサリーや文化財の調査にも役立ちます。
実際に測定すると、金色に見えるものが必ずしも高価とは限らず、見た目の印象と実際の素材が異なることが分かりました。
参加者からは、「見た目では何も判断できなかったことに驚きました」という感想が寄せられました。
また、「人の目で見ただけでは成分はわからないので、いろいろなものの材料を調べてみたい」という声もありました。
身近なアクセサリーを題材にしたことで、蛍光X線分析の仕組みと、目に見えない成分を調べる意味を、実感を持って学ぶことができました。
粒子径分析コースでは、レーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置LA-960V2を使用して、牛乳やヨーグルトなどの食品に含まれる小さな粒の大きさを調べました。
粒にレーザー光を当てると、粒の大きさによって光の散らばり方が変わります。その違いから、粒の大きさや、大小のばらつきを調べることができます。
参加者は、試料を観察した後、装置で測定。粒の大きさが、食品の口当たりや舌触りとどのように関係するのかを考えました。
測定結果を見て、参加者からは、「最初に自分が予想していたものと、結果は違った」という声が聞かれました。感覚だけでは分からないことを、データで確かめるおもしろさを実感した様子が伝わります。
また、「小麦粉や抹茶、七味といったものの粒子の大きさも測ってみたい」という声も聞かれました。今回の体験をきっかけに、別の食品や身近なものも測ってみたいという、新たな探究心が生まれたようです。
今回の体験では、参加者が物質の成分や粒の大きさを数値やグラフで確認しました。見た目では同じように見えるものも、測定すると違いが分かります。一方で、見た目が異なっていても、同じ元素が含まれていることもあります。
こうした体験を通じて、「この経験を通して、目に見えないものを数値化することの大切さを学びました」という声が聞かれました。装置の見学や実験にとどまらず、「もっと知りたい」「ほかのものも調べてみたい」という探究心を育むきっかけになったことがうかがえます。
また、体験の楽しさについては、「何より体験自体がとても楽しかったです。みんなで協力し合っている感じがして、すごく良い経験になりました」という感想も寄せられました。
実際の分析・計測装置に触れ、測定を行い、予想と結果を比べる。思いがけない結果に驚き、そこから新たな疑問を見つける。こうした一連の体験が、科学への興味を深め、次の探究や挑戦へとつながっていきます。
「見えないものを知りたい」という好奇心は、未来の研究や技術を生み出す第一歩になるかもしれません。HORIBAはこれからも、「はかる」技術を活用した体験型の学びを通じて、次世代を担う皆さんの学びと挑戦を応援していきます。