およそ10,000㎡の広大な生産エリアを舞台に、次世代のものづくりが始まります。
京都府福知山市に、半導体事業の成長を加速する新たな基幹工場「堀場エステック 京都福知山工場(以下、福知山工場)」が完成しました。
生成AIの普及やデジタル化の進展により、世界の半導体需要は拡大を続けています。
こうした変化のなかで、半導体製造を支える装置や周辺機器には、これまで以上に高い品質と安定した供給体制が求められています。
福知山工場は、HORIBAグループでも最新の設備を導入し、市場の期待に応える機能や拡張性を備えています。
そして、ものづくりの力を高めるだけでなく、働く人が心地よく過ごせる空間づくりにもこだわりました。
2026年6月に本稼働を迎え、将来の一大拠点として歩み始めた福知山工場の特長をご紹介します。
この工場で生産される中核となるのが、当社を代表する製品の一つ「マスフローコントローラー(以下、MFC)」です。
MFCは、半導体製造装置に組み込まれ、製造工程で使用するガスの流量を高精度に制御する装置です。
半導体製造では、微細な加工を行うためにガスを使う工程が多く、流量のわずかな誤差が品質や歩留まりに大きく影響します。MFCは、そうした工程を安定して支える、欠かせない存在です。
HORIBAは1980年に国産初のMFCを開発し、長年にわたり技術を磨いてきました。
これまでは京都本社工場や熊本県の阿蘇工場で生産を続けてきましたが、より安定した供給体制を実現する新たな拠点として福知山工場を建設しました。
今回の稼働により、MFCの国内生産能力は将来的に現在の最大3倍に拡張が可能となり、半導体需要の高まりに安定供給で貢献します。
福知山市に工場を建設した背景には、すでにこの地に築かれていた研究開発の基盤と、半導体分野で高まる技術ニーズがあります。
最先端の半導体プロセスでは、チップの高性能化や回路の微細化、生産効率の向上に向けた研究が日々進められています。
HORIBAは、ハイテク材料の流量を正確かつ安定的に制御する機器を、半導体メーカーや半導体製造装置メーカーの要望に応えながら開発を続けてきました。
2013年には、HORIBA初の研究開発専用施設「京都福知山テクノロジーセンター」を福知山市に開設。以来、半導体事業の先端技術をリードしてきました。
その後、半導体需要の拡大を見据え、2023年に福知山テクノロジーセンターの増築および福知山工場の建設を決定。同センターの隣接地に工場を新設し、研究開発から生産までを一体で担える体制を実現しました。
技術を生み出し、磨き上げ、現場へ届ける。そして、生産現場で得られたデータや知見を研究開発に還元し、さらなる技術開発を加速させる。
その循環を支える重要な拠点として、福知山へ投資を続けています。
自働化ラインのロボットアーム
高品質な製品を安定して届けるため、この工場では「自動化」と「データ活用」を生産の仕組みに取り入れています。
単に設備を新しくするのではなく、ものづくりの進め方そのものを進化させています。
MFCの生産工程では、ロボットアームや自動搬送装置を取り入れた「自働化ライン※」を導入しました。
これにより、これまで熟練の技術者が手作業で行っていた、製品の性能を左右する精密な調整作業を自動化。
人の手で培われた技術をロボットによって高精度に再現することで、生産効率を向上するとともに、安定した品質のものづくりを支えています。
さらに、AMR(自律走行搬送ロボット)やAGV(無人搬送車)を活用して工場内の搬送作業を自動化し、人手による搬送負担を軽減。
生産量や稼働状況の変化に応じて搬送を柔軟に調整できる体制を整えることで、需要の変動にも対応しやすい生産環境を実現しました。
もう一つの特長は、HORIBA独自のデータマネジメント技術や計測技術を工場運営に生かしていることです。
福知山工場では、計測機器を用いて生産設備や生産環境の状態を計測し、得られたデータを独自のデータマネジメントシステムで収集・統合・蓄積しています。こうして集約したデータをもとに工場内の状態を見える化し、安定した生産環境の維持に加え、生産管理の最適化や工場運営の改善にもつなげています。
例えば、MFCの生産を行うクリーンルームでは、大気中の微量な汚染物質が品質に影響を及ぼすことがあります。
そのため、自社のAMC(Airborne Molecular Contamination)モニタリングシステムをベースとした環境モニタリングシステムを設置し、クリーンルーム内を継続的に監視することで、生産環境の管理に役立てています。
また、再生可能エネルギーの活用に取り組む当工場では、太陽光発電の余剰電力を用いて水電解装置で水素を製造し、タンクに貯蔵しています。貯蔵した水素を使って燃料電池で発電し、その電力を工場の補助電源として利用しています。
これらの設備においては、水素の製造量や貯蔵量を管理するとともに、設備の運転に伴って発生する排出ガスやドレン排水を計測・監視することで、各装置の劣化診断や状態把握につなげ、設備の安定運用を支えています。
このように、目に見えない環境の変化や設備の状態を見える化し、得られたデータを活用する仕組みが、工場運営の高度化を支えています。
福知山工場は、HORIBAのソリューションを実装し、その技術力を示す次世代工場です。

ものづくりの機能だけでなく、働く人同士のつながりを育む空間づくりにも力を入れています。
広々とした昼食スペースは、休憩時間にゆったりとくつろいだり、気持ちを切り替えてリフレッシュしたり、社員同士で自由に交流したりできる場となっています。
また、工場内の各所には、全6か所のリフレッシュルームを配置しています。それぞれ異なるコンセプトで設計されており、その日の気分や好みに合わせて過ごせる空間として親しまれています。
さらに、工場の屋上部分には山々を望む開放的なスペースも。そこには、バーカウンターを備え、社内イベントの場としても活用する予定で、同じ拠点に働く社員の一体感を醸成する場になります。
こうした環境づくりの背景にあるのが、HORIBAが大切にしてきた社是「おもしろおかしく」です。仕事を楽しみながら、新しい発想や挑戦を生み出していく。そのためには、社員同士がつながり、顔を合わせて話すコミュニケーションが欠かせません。

(左から:昼食スペース、リフレッシュルーム)
(左から:屋上、バーカウンター)
工場は、製品をつくる場所であると同時に、経験や技術を次の世代へつなぎ、地域のなかで新しい価値を育てる場所でもあります。
福知山工場では、2030年までに600〜800名規模の体制をめざしており、新たな雇用の創出を通じて、地域に根ざした企業活動をさらに広げていきます。
新しい仲間が加わることで、そこからまた新しい挑戦が生まれる。HORIBAらしい文化を大切にしながら、半導体事業の成長を支えていきます。
※ 異常を検知し、必要に応じて停止・通知を行いながら、品質を維持しつつ自律的に動く仕組みを「自働化」と表現しています
堀場エステック「京都福知山工場」が本格稼働 - HORIBA



