水質計で「はかる」体験から、地球の未来を考える ー 高校生の探究支援プロジェクト <亀岡高等学校編>

堀場アドバンスドテクノは、「はかる」を通じて身近な環境問題に関心を持ってもらいたいというおもいから、高校生の探究活動を支援する「高校生×HORIBA水質計みらい探究プロジェクト」を実施しました。本プロジェクトでは、次世代を担う高校生にHORIBAの水質計を貸し出し、水質測定を活用した探究活動をサポートしました。2025年から2026年にかけて、応募いただいた多くの高校のなかから選ばれた京都府立亀岡高等学校と三重県立四日市高等学校の2校が、それぞれ地域や身近な自然をテーマに研究に取り組みました。 また、堀場アドバンスドテクノの社員も、水質測定データの読み解き方や考察の進め方などについて助言を行いながら、活動を支えてきました。今回のコラムでは、京都府立亀岡高等学校 自然科学部の探究活動をご紹介します。

研究テーマ① 「亀岡高校周辺の2つの水域の水質は似ているのか ~湧水とお堀の水質調査~」

自然豊かな亀岡市は、水資源にも恵まれた地域です。亀岡高校の近くには、旧亀山城のお堀として知られる南郷公園と湧水が豊富な古世親水公園があります。自然科学部では、以前からこの2つの水域を継続的に観察していましたが、「年間を通じて2つの水域の水質にはどのような違いがあるのか」という疑問をきっかけに、本プロジェクトに参加しました。調査では、気温、水温、pH(ピーエッチ)、電気伝導率(EC)、溶存酸素(DO)、化学的酸素要求量(COD)を定期的に測定し、季節ごとの変化や水質項目の関係性を分析しました。

 

南郷公園

亀山城の内堀で、現在は桂川の支川となる雑水川の一部になっている。東側は水生植物が少なく、西側は水生植物が多いことから、同じ南郷公園でも水質に違いがあるのではないかと考え、東西2点で測定を行った。

古世親水公園

亀山城の外堀にあり、湧水がある。

継続的な観測を通じて、それぞれの水域の特徴が見えてきました。

ー 湧水の水温は、他の 2  か所と異なり、季節による水温変動がみられなかった。湧水は地表の温度変化の影響を受けにくいためと考えられる。

ー 水生植物が多い南郷公園の西側では、東側よりもpHの値がやや高かった。これは、植物の光合成によって水中の二酸化炭素が消費され、pHが上昇したためだと考えられる。

ー 南郷公園では、夏季にpHが高くなる傾向がみられた。これは、日照時間が長くなり、光合成が活発になったためだと考えられる。

ー 古世親水公園では、電気伝導率が高かった。これは、湧水が地下を通る過程でカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分を取り込み、それらを多く含んでいるためだと考えられる。

ー 南郷公園では、溶存酸素に季節変動が見られた。これは、水生植物の呼吸や、枯死した植物の分解が影響しているためだと考えられる。

こうした考察から、生徒たちは湧水と池という異なる環境が、それぞれ特徴的な水質を生み出していることを明らかにしました。さらに電気伝導率の変化のパターンが両地点で似ていることに着目し、「水源が同じなのではないか」という仮説を立て、過去の文献や地図を調べながら考察を深めました。

 

  
(左)コンパクト水質計「LAQUAtwin」(ラクアツイン)を使った測定 (右)測定データを考察する様子

研究テーマ②「ツバメ類の巣材の比較 ~ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ~」

ツバメの巣には、藁を使う種と使わない種があるのはなぜか、ツバメの巣はなぜ壁に付着するのか、などさまざまな謎があります。亀岡高校周辺ではツバメ類の巣が多く確認されており、自然科学部では数年前からツバメの巣づくりに着目した研究を続けています。ツバメの巣は、種類によって違いはありますが、主に土と藁を材料に作られています。
今回は、「ツバメの種類によって、巣づくりに使う土は異なるのか?」をテーマに、校内や地域から回収した3種類のツバメの巣を調査しました。HORIBAのpH計と電気伝導率(EC)計を用いて測定を行い、さらに土壌分析用ふるいで粒径分布も分析しました。

調査の結果、ツバメ類の巣に使われる土は主に砂サイズの粒子で構成されていることが分かりました。さらに、巣材の電気伝導率やpHを調べることで、ツバメの種類や採泥場所によって巣材の特徴が異なる可能性が見えてきました。 また、巣材は屋外の土よりも電気伝導率が高く、土以外の物質が含まれている可能性が考えられました。 例えば、ツバメやイワツバメがなど、藁を使用してつくった巣に含まれる土は、巣材の pH が低い傾向が見られたほか、コシアカツバメの巣材では、採泥場所である校庭のラインパウダーの影響によってpH が高くなっている可能性もあり、巣材の違いには材料や採泥環境が関わっていることがうかがえました。 また、巣材そのもののの測定だけでなく、藁と土を混ぜて再現実験も行ったり、これまで亀岡高校で積み重ねてきた知見も活用したりすることで、ツバメの巣づくりを詳しく調べました。 身近な存在であるツバメの巣にも、測定して初めて分かった違いがあり、生徒たちはデータをもとに熱心に考察を重ねました。

 

  
(左)土壌分析用ふるいにかける様子 (右)LAQUAtwinを使った測定

 

探究活動を通じて育まれた「考える力」

左から 中野あゆみ 先生、奥村昌美 先生

2026年3月には、探究活動の集大成として堀場アドバンスドテクノ本社で成果報告会・交流会を開催しました。生徒たちは研究成果を発表するとともに、他校の生徒やHORIBA社員との交流を通じて、新たな気づきや学びを得る機会となりました。今回のプロジェクトについて先生方に伺いました。共通して挙がったのは「継続して測ることの大切さ」でした。

ー 今回の探究活動で、特に大切にされていたことは何ですか。

一番大きかったのは、継続して測ることです。亀岡は水資源に恵まれた地域ですが、生徒たちにとっては身近すぎて、その価値に気づきにくい面があります。実際に数値として捉えることで、「当たり前にある自然」のおもしろさや奥深さに気づいてほしいと思っていました。

ー 活動を通じて、生徒たちには、どのような変化がありましたか。

最初は、導電率やpHの意味をつかむところから始まった生徒もいましたが、調査を重ねるうちに、データと現場の状況を結びつけて考えられるようになっていきました。「なぜそうなるのか」と問いを立てたり、仮説を考えたりする姿勢が少しずつ育っていったのが印象的でした。ツバメの研究でも、地道に測定を重ねながら自分たちで考え、必要に応じてやり方を工夫する姿が見られました。

HORIBA社員とのオンライン面談で、研究内容について相談する様子

ー 考察の部分で、難しさはありましたか。

ありました。データを見てすぐに結論を出すのは難しく、最初は「どう考えたらいいんだろう」と戸惑う生徒もいました。ただ、結果がはっきり見えなくても、測定を続けることで少しずつ傾向が見えてきます。大切なのはすぐに答えを出すことではなく、データをもとに考え続けることだと伝えていました。

ー 研究発表を通じて印象に残ったことはありますか。

一番嬉しかったのは、生徒たちが自分たちの言葉でしっかり話そうとしていたことです。原稿の丸暗記ではなく、伝えたいことを整理して自分の言葉として理解して発表していたので、質疑応答でも落ち着いて受け答えできていました。

ー 企業と1年間継続して取り組んでみて、いかがでしたか。

長期的に寄り添っていただけたことが、とてもありがたかったです。単発の出前授業とは違って、1年間一緒に走っていただけたことに意味があったと思います。専門の方から直接アドバイスをいただくことで、教員自身も学ぶことが多く、生徒への指導にもつながりました。データの意味が分からなくなったときに、すぐ相談できる環境があったことも心強かったです。機材の貸し出しだけでなく、測定の意味や考察の進め方まで含めて支援していただいたことが、今回のプロジェクトの大きな価値でした。生徒にとっても、教員にとっても、非常に学びの多い取り組みだったと思います。

※本プロジェクトは、京都新聞社にも取材していただきました。
城跡にある二つの公園、つながってないのに似た水質、なぜ? 高校生が専門メーカーと調査、思いがけない展開とは|京都新聞デジタル 京都・滋賀のニュースサイト (外部サイト)
 

 

導入授業の様子はこちら

成果報告会・交流会イベント当日の様子についてはこちら

 

関連情報

高校生×HORIBA水質計 みらい探究プロジェクト 2025 (本プロジェクト特設サイト)

堀場アドバンスドテクノのサステナビリティ

新たな社会貢献活動の創出 ーサステナビリティ推進プロジェクト 「Project Colors」ー

 

本活動に関連するSDGs