環境負荷評価(LCAとGHGプロトコル)

HORIBA は幅広いエンジニアリングや新たな提案により、製品のライフサイクルやお客様のサプライチェーン全体のGHG(Greenhouse Gas: 温室効果ガス)排出量削減も含めた環境負荷低減に貢献しています。

カーボンニュートラル社会の実現に向けては、ライフサイクルアセスメント(LCA)やGHGプロトコルなどで、製品使用時だけではなく製品の製造~再利用・廃棄までのプロセスや、企業活動全体での環境負荷を評価することが重要です。これらの評価をステークスホルダーへ情報開示したり、優先順位・目標値を明確にして企業自体のGHG排出量を削減することが大切です。また、企業から直接排出されるGHGだけでなく、企業活動に関連している間接的なGHGの排出も含めた削減に取り組むことが、社会全体としての環境負荷低減につながります。

目次

 


 

LCAとGHGプロトコル

LCA(Life Cycle Assessment)は、製品やサービスのライフサイクル(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)を通じた、環境への影響を評価する手法です。
LCAは、国際規格ISO14040と14044で規定されています。

例えば右図は、自動車でのLCAの概要です。従来は「走行時」のCO2排出量のみに焦点が置かれていました。しかし昨今では、LCAで要求されるように、燃料の採掘や素材の調達から製造・使用・廃棄・リサイクルに至るまで、製品ライフサイクルのすべての段階での環境負荷低減がメーカーとしての責務となっています。

またGHGプロトコルは、GHGプロトコルイニシアチブにより公表されているガイドラインです。このプロトコルでは、お客様のサプライチェーン全体をScope 1、2、3(スコープ 1、2、3)と呼ばれる3つの範囲で分類し、それぞれのスコープでGHG排出量を合計することで、企業活動全体(サプライチェーン全体)でのGHG排出量が算定されます。

 

Scope 3は、企業活動全体にわたるScope 1、2以外の間接的排出量が対象で、15 カテゴリーで構成されていています。


GHGプロトコルとGHG排出量の低減

GHGプロトコルでは、GHG排出量(活動量×排出源単位)を、企業により排出されるスコープ 1と2(サプライチェーンの企業部分)と、企業活動やビジネス活動(バリューチェーン)で間接的に排出されるスコープ 3の1から15の各カテゴリーで把握し、大きな削減効果が見込める部分に焦点を当て、GHG削減の計画、実行、評価を行うことが重要です。(下図:サプライチェーン排出量とスコープ 1、2、3)
HORIBAはそれぞれのスコープの課題に対し、GHG排出量削減に貢献するさまざまなソリューションを展開しています。

企業がGHG排出量を減らすためには、まずスコープ 1で自社の工場の生産性を向上させ、使用する材料や燃料を削減することが重要です。次にスコープ 2では、生産に必要な電力量の低減や、GHG排出量の少ない発電(例えば、カーボンフリーの水素やアンモニアによる混焼・専焼など)からの供給電力の使用促進などが求められます。こうした施策が、企業自体のGHG排出量の削減につながります。

企業活動で必要な輸送・配送を支えるモビリティの燃費向上や、輸送物の量・重さ・サイズを減らすことで、ガソリン・ディーゼル・電気等の燃料使用量が減り、スコープ 3のカテゴリー 4、9、11のGHG排出量の削減につながります。また、従業員の出張を減らしたり通勤形態を変えることは、スコープ 3のカテゴリー 6、7でのGHG排出量の削減につながります。

 

HORIBAのソリューション

  • 自社工場での生産性向上

製造時に製品以外の不用物や廃棄物の発生を減らすことは、材料・電力量・製造コストの削減に貢献します。HORIBAは、さまざま産業のプラントや工場における生産性向上ソリューションを展開しています。ここではその一例として、石油化学工場や製油所での生産性向上につながるソリューションを紹介します。

石油化学工場・製油所での使用材料や電力を減らし、CO2排出量を削減

生産プロセスでは製品以外のオフガスと呼ばれる未利用のガスが発生します。プロセス全体で利活用できないオフガスはフレアスタックで焼却処分されるため、CO2排出量の増加につながります。高精度なプロセスガス計測を活用したオフガス量削減による生産性向上は、生産原料・CO2排出量どちらの削減にも貢献します。


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低濃度不純物ガスを 高感度・高速で リアルタイム計測

高濃度原料ガスに含まれる低濃度の不純物ガス(メタン・エタン・アセチレン等)を高感度・高速・リアルタイムに計測し、生産制御システムへフィードバックすることで、発生するオフガス量を減らします。
プロセス用レーザーガス分析計 PLGA-1000

  • 発電効率の向上とクリーンエネルギーでの発電量増大

火力発電所の発電効率向上

火力発電所の発電効率を向上するため、石炭火力ではIGCC(石炭ガス化複合発電)の大型化や商用化が加速しています。さらにIGCCをベースにIGFC(石炭ガス化燃料電池複合発電)やLNG火力発電ではGTFC(ガスタービン燃料電池複合発電)の技術確立へ向けて、さまざまな課題解決が急がれています。また高効率タービンの導入も進んでいます。HORIBAは、発電効率向上や排ガス処理装置の運用・管理に貢献する装置をはじめ、環境負荷低減に重要な役割を担う汚染物質の連続分析装置や、開発実験・実証に用いられる計器など幅広いラインアップの分析装置を提供し、火力発電の課題解決に貢献しています。

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火力発電所におけるガス計測ソリューション | HORIBA

 

クリーンエネルギーでの発電量増大

カーボンフリー水素やアンモニアなどの次世代代替燃料を使用した混焼・専焼による発電量の増加は、温室効果ガス(GHG)排出量の削減に貢献します。そのため、これらの燃料を使用するバーナーや燃焼器、タービンの開発と実証が加速しています。アンモニアを使用した混焼・専焼発電では、一酸化二窒素(N₂O)や未燃焼のアンモニア(NH₃)、窒素酸化物(NOx)の発生を抑える技術の確立や、混焼率の向上が進んでいます。一方、水素を使用した混焼・専焼発電では、逆火防止を含む燃焼の安定化やNOx低減の技術確立、さらにインフラを含めた発電効率の向上が重要なポイントです。HORIBAは、代替燃料製造から燃焼・排ガス処理プロセス、環境規制・GHGの低減に至るまで、燃焼を含めた幅広い代替燃料の利活用に必要なガス計測ソリューションを取り揃えています。

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水素エンジン・アンモニア燃焼/発電用ガスタービン評価 - HORIBA

  • GHGの連続計測

GHG には、二酸化炭素(CO2)、メタン (CH4)、一酸化二窒素 (N2O)、フロンがあります。GHG削減の調査、計画、実施、効果の評価において、排ガス中のGHGの連続計測は、有効な手段の1つです。特にCO2の298倍の温室効果を有するN2Oの削減や管理が色々な産業で求められています。
例えば、熱分解ガス化処理などの最新設備を用いてN2Oを削減する場合、設備の稼働状況の監視だけでなく、導入による効果の検証や評価が重要です。排ガス中のN2Oの連続計測は、このような検証や評価、さらに削減率の向上に大いに貢献します。

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温室効果ガス N2Oの排出削減に貢献
可搬での連続計測に:ポータブルガス分析計 PG-300シリーズ
設備での連続計測に:煙道排ガス分析装置 ENDA-5000 V2シリーズ 
研究室での計測に:マルチガス分析計 VA-5000シリーズ 

Euro 7 Emission Standards: test cells can be configured for emissions, performance, and durability testing
  • モビリティの燃費向上と燃料多様化への対応

現行自動車の燃費向上をはじめ、GHG排出量の削減するために多様化する燃料(H2・バイオマス由来の合成燃料・電気)に対応した自動車の導入の加速も必要です。導入を加速するには、水素エンジンや自動車(FCEV)の開発・実証、合成燃料使用時の性能や腐食性の評価、EVの性能や製造コスト低減などの課題解決が必要です。HORIBAは、多様化する燃料にも柔軟に対応したさまざまな計測ソリューションにより、お客様のモビリティの開発に貢献します。

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現行自動車の燃費向上に役立つ計測ソリューション
水素エンジンの開発・評価に役立つ計測ソリューション
FCEVの開発・評価に役立つ計測ソリューション
EVの開発・評価に役立つ計測ソリューション

  • 従業員の出張回数や出勤日数の低減

分析作業を自宅や遠隔から分析計リモートアクセスでおこない、分析結果を遠隔にいる関係者とリモートで共有・評価し、従業員の出張日数の節減することで、GHGの間接排出量の低減をサポートします。

 

従業員の出張回数や出勤日数の低減をサポート

エネルギーマネジメントシステム(EMS)

研究開発現場における非定常なエネルギー利用を予測し最適化

蓄電池製造・バッテリーリサイクル

粉からクルマ、そしてまた粉へ、バッテリーの開発からリサイクルまでHORIBAの高度な分析装置と分析ノウハウがサポート

分析の自動化・省人化(別サイト)

多層化するお客様の業務をコスト・工数面からサポートするHORIBAの新しい「はかる」サービスやDX

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