水素エンジン・アンモニア燃焼/発電用ガスタービン評価

HORIBAは水素・アンモニア燃焼の研究開発に必要な各種ガス分析ソリューションを幅広く揃えており、H2やNH3のみならずNOx、N2O、O2、COまでお客様の計測ニーズにお応えします。また、建屋設備まで含めたターンキーソリューションも提供し、既存エンジンベンチから水素エンジンベンチへの改造なども請け負っています。

水素は、燃焼しても水のみが発生しCO2は排出されないため「究極のクリーンエネルギー」ともいわれており、自動車、船舶の分野では、水素を燃焼する力でエンジン(内燃機関)を動かす「水素エンジン」が日本や欧州を中心に再び注目を集めています。

また発電分野では、従来の化石燃料と水素を混ぜて発電する混焼発電や水素だけで発電する専焼発電の研究開発や実証が行われています。また水素と同様に炭素を含まないアンモニアは、液体水素の1.7倍のエネルギー密度により貯蔵・輸送効率に優れており、直接燃やすこともできるため、船舶用エンジンや発電の燃料としての活用が進められています。

 

目次

水素・アンモニア燃焼への期待と課題

アンモニア燃焼フロー

アンモニア燃焼フロー

カーボンニュートラルの実現には、CO2が発生しないよう水素・アンモニアとも100%で燃焼させる「専焼」によるエンジンや発電が必要です。一方で、これまでの装置・設備・インフラの改造、従来燃料の化石燃料と混ぜて燃焼させる「混焼」によるCO2の排出量削減もカーボンニュートラル実現の移行ステップとして期待されています。

技術課題としては、水素燃焼では、従来の燃料に比べて早い燃焼速度、低い発熱量、高い断熱火炎温度による異常燃焼・NOx発生への対策や燃焼効率の改善が求められています。またアンモニア燃焼では、従来の燃料に比べ遅い燃焼速度、低い発熱量、窒素含有による不安定燃焼、NOx・N2O(CO2の約298倍の地球温暖化係数を有する)の発生への対策や燃焼効率の改善が求められています。

* NEDO 「燃料アンモニアサプライチェーンの構築」をもとに当社作図(https://green-innovation.nedo.go.jp/project/building-fuel-ammonia-supply-chain/)


グローバルでの取り組み

フランス: CRMT 社との戦略的パートナーシップ 

仏CRMT 社は代替エネルギーエンジン・自動車の開発に取り組んでいるエンジニアリング企業です。HORIBA との提携により仏で初となる「Center of Expertise in Hydrogen」の共同設立を予定しており、水素エンジン自動車開発・試験をはじめ、水素の発生から貯蔵・利用まで、水素のバリューチェーン全体において、お客様のあらゆるニーズと課題を解決する最先端の水素ソリューションを提案します。 

このパートナーシップにより、仏アルデッシュ県の中小企業Pipo Moteursは、新開発の水素燃料エンジンの評価を目的に、CRMT社および堀場製作所のフランス子会社ホリバ・フランスと提携しました。このエンジンは2023年のダカール・ラリーに出場の車両に搭載され、厳しい走行条件での挙動について評価が行われます。 

CRMT 社とのパートナーシップの詳細は、こちらのプレスリリースをご覧ください。 


水素・アンモニアエンジン評価に必要な「はかる」

水素エンジンは、自動車の新たな動力源として大きな期待が寄せられています。ガソリン・ディーゼルエンジンの部品や開発環境、内燃機関への高いノウハウを流用・活用でき、またFCVに比べて安価に実現できる可能性があります。さらに、燃料となる水素も燃料電池ほど高い純度は要求しないため、水素活用の一つの手段として検討されています。一方で、過早着火による異常燃焼や冷却損失の対策、高負荷運転時のNOx排出量の低減といったさまざまな課題の解決が必要です。 

また船舶業界では、CO2などの温室効果ガス(GHG)削減に向けた国際的な取り組みが行われています。国際海運は国際海事機関(IMO)において、内航海運は国別の排出量にカウントされ、枠組条約(UNFCCC)のもと、各国での対応が検討されています。IMOの長期目標として、21世紀中のなるべく早期に国際海運からのGHGゼロ排出をめざすとしており、こうした背景から船舶業界においても、水素やアンモニアを燃料とするエンジンの活用が注目されています(参考リンク:国土交通省『「次世代船舶の開発」プロジェクトの研究開発・社会実装計画(案)について』)。 
 
HORIBAは、自動車や船舶等の内燃機関でのエンジン性能や排ガスの計測評価、発電設備でのガスや水質計測、ナノレベルでの材料分析に関して多くのお客様と共にさまざまなアプリケーションを開発してきました。これまで積み上げた計測ノウハウを組み合わせ、水素・アンモニアを燃料として使用するエンジンや発電用ガスタービンの開発や実証に関する性能評価のソリューションをトータルに提供します。 

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● 自動車用 水素エンジン計測 トータルソリューション  
● アンモニアエンジンを含む船舶計測 トータルソリューション 
● 高純度水素ガスを発生(研究開発用途):ポータブル水素発生機 OPGU シリーズ 


発電用ガスタービン評価に必要な「はかる」

発電の分野においても、燃焼時にCO2を排出しない水素・アンモニアを燃料として使用する大規模発電の開発が進んでいます。いずれの発電も混焼発電を実用化しCO2排出量を段階的に削減しながら、将来的には専焼用ガスタービンによる発電への移行が期待されています。 
現在、水素発電は小規模な専焼発電の実証評価は完了し、大規模な混焼発電用の燃焼器が開発・実証段階です。またアンモニア発電では、既設石炭火力発電設備を利用した混焼発電の実証や、ガスタービン複合発電設備(GTCC)ではアンモニアを熱分解し得られたH2を天然ガスと混焼し発電する技術の開発が行われています。 
水素発電の技術課題は燃焼器での逆火*・燃焼振動の防止と大気汚染物質NOxの排出量抑制です。アンモニア発電ではNOx(特に酸素過剰供給によるNO)やN2Oの排出量抑制が大きな課題です。 
*逆火:燃焼器内の火炎が、投入される燃料を伝って逆戻りしてしまう現象。 
 
HORIBAはこれまで、発電設備に関する新技術の開発、大気・水質汚染物の排出量低減や、設備稼働率向上に必要なガスの連続計測についてさまざまなソリューションを提供してきました。水素やアンモニアの燃焼評価に対し、高精度計測を要求される研究開発や環境条件の厳しい現場での長期安定稼働を求められる実証評価に対して、蓄積したノウハウを活かしガス分析計とサンプリングの組み合わせによる最適なソリューションを今後もお客様に提供していきます。 

●水素混焼・専焼発電 
逆火・燃焼振動の防止と大気汚染物質NOxの低減と同時に燃焼効率を向上するための燃焼器の開発が進んでいます。水素発電用ガスタービン開発では、燃料として投入される水素や未燃焼水素やNOxのガス連続計測による評価が必要です。 

●アンモニア混焼・専焼発電 
石炭火力発電設備やガスタービン複合発電設備(GTCC)でのアンモニア混焼率を向上させる開発や実証を行いながら、専焼発電へつなぐための技術開発も行われています。アンモニアを触媒と組み合わせて熱分解し水素を発生させるアンモニア分解装置の開発や、アンモニア分解装置と水素燃焼用の燃焼器を応用した発電の開発も行われています。 

●既設火力発電所でのアンモニア混焼の実証やアンモニア発電用タービン開発 
従来のNOxを含む大気汚染物質のガス計測に加え特に未燃焼NH3やN2Oの計測が必要です。また実証設備でのガスタービンの性能評価では、ガス分析計やサンプリング装置が厳しい現場環境下で故障や性能低下せずに長期安定稼働することも重要です。 

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水素・アンモニア燃料による周辺材料への影響を「はかる」

エンジンや発電用ガスタービンで、水素やアンモニアを燃料として使用する場合、保管設備や燃焼装置など、さまざまな場所で水素脆化*やアンモニア腐食による材料の劣化が発生します。水素脆化やアンモニア腐食によるさまざま材料への影響を分析し評価するには、最適な分析手法や分析装置の選択が重要です。 

*水素脆化:鋼材に応力が負荷された状態で、使用環境による腐食や水素ガス中にさらされたりして水素が侵入することである期間後に突然破壊が生じること 

 

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エンジニアリングサポート・事例

既存のエンジン試験室を 水素エンジン対応にアップデート 

HORIBAは、長年お客様のご要望にお応えし培ってきた内燃機関排ガス計測のノウハウと、新たに獲得した水素・燃料電池評価のノウハウを結集し、水素エンジンの開発に向けたエンジン試験室の新設・改造から水素計や窒素化合物の分析計などの提供、水素脆化対策に必要な金属中の分析装置まで幅広いソリューションをご提案します。 

詳細は、堀場テクノサービスまでお気軽にお問い合わせください。

HORIBAの新たなリスクアセスメント手法(機械安全規格 ISO 12100 準拠)

バッテリや水素を取り扱う試験棟の立ち上げにおいて、その安全対策は、通常の試験設備とは全く違う観点で行う必要があります。

HORIBA独自の新たなリスクアセスメント手法では、「4つの視点(物理的接触・エネルギー伝達・情報通信・物質移動)」でシステム間の関係性を分類することで、リスクを漏れなく洗い出し・対策するとともに、コストと時間を極小化しながら安心・安全を担保します。

ターンキーソリューション

水素を取り扱う試験棟の立ち上げにおいては、従来よりもより厳密な安全対策が必要とされます。

実験棟施工のトータルパッケージであるターンキーソリューションでは、複数業者への発注、仕様決定に至るまでの打ち合わせ、建築の安全・工程・品質管理、さらに導入後の運用・メンテナンスや作業の高効率化まで、安全性と使いやすさを重視しながら、試験室運用開始の直前まで忙しいお客様にかわりHORIBAが一括で施工を承ります。

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ターンキーマネジメント


技術情報

セミナー動画

燃料電池評価を支援する HORIBAの評価装置とターンキーソリューション


燃料電池評価

燃料電池の材料評価から生産プロセス、セル・スタックの性能評価を行います。 

FCV評価

FCV向けの燃料電池の各種性能評価技術とエンジニアリングを提案します。

定置型燃料電池評価

定置向けの燃料電池の各種性能評価技術とエンジニアリングを提案します。

水素ステーション評価

水素ステーションの安全性・品質向上や運用効率化に貢献します。

水電解評価

水素の高圧貯蔵に対応する水電解評価装置を提供します。

水素製造評価

水素製造プロセスへの組み込みエンジニアリングもグローバルに対応します。

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